選択 中編


  
「ちょたじゃん。ちょたこそなんでここにいるわけ?」

「俺は氷帝の生徒ですから」

「氷帝?」

「そうです。ここは氷帝学園中等部ですよ」

「ふ〜ん、ここが」

「どうかしたんですか?」

 明らかに表情が変わった。驚きから好奇心と力量を探る鋭い眼差しに。

「リョーマ君?」

「昨日日本に着いたんだ。で、夜クソ親父が自分の行く学校くらい自分で決めろって学校リストアッ

プしたメモと地図渡された」

「……南次郎さんらしいですね」

 小さい頃に何度か会った程度だが、鳳は南次郎の性格を見抜いていたため、苦笑するしかない。

「初めて来たトコに地図だけで息子放り出すわけ? フツーの家でも」

「ないとは言い切れませんが、ほぼないでしょうね」

「わかってたけどね……」

 微妙に振るえているのは気のせいではないだろう。

 気付きながらも気付かない振りをする鳳。そして話を南次郎からそらすことにする。







「で、リョーマ君は迷いながらもボールの音に惹かれてここにたどり着いたわけですね」

「まあ、そんなトコ」

「ここが氷帝だと聞いて驚いたのは何故なんですか?」

「ああ、それは親父がピックアップした学校に氷帝の名前があったから」

「そうなんですか? そのメモみせてもらっても構いませんか?」

 返事の代わりにリョーマはぐちゃぐちゃに握り潰されたメモを鳳に渡した。

 引き延ばしながら見たそれには氷帝の他に青学・山吹と都内で強豪と言われる3校の名前と住所が

書かれていた。

「まだ決めてないんですか?」

「まあ」

 曖昧な返事は迷っている証拠。

 リョーマと同じ学校に通えるかもしれないと考えると行動は早かった。

「じゃあ氷帝にしましょう! 学年は違いますけど知り合いがいた方が心強いでしょうし、南次郎さ

んもメモに書いてます通りここのテニス部は強いですよ。実力主義ですから学年は関係ないです。リ

ョーマ君の実力なら充分レギュラーになれると思いますし、僕自身リョーマ君と一緒にテニスして全

国制覇したいです!」

 目をキラキラさせて自分の思いを語る鳳。

 リョーマの返事を期待と不安が混じった表情で待つ姿はまさしく大型犬だった。

(変わってないなぁ……)

 背が高くなり顔つきも引き締まり、少年から青年に変わろうという成長期。中身も変わったかと思

いきや以前とほとんど変わっていなかった。そのことに少しホッとしたリョーマだった。







「リョーマ君?」

「あっ、何でもない」

「本当に?」

 リョーマは上下にブンブンと首を振る。

「じゃあ、学校どうするんですか?」

「もちろん青学だよね」

 第三者の声が鳳の問いに答える。







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   ◆◆コメント◆◆      はい、すみません(-_-;)      予想はしっかりしてたのですが、前後の2話で完結させるつもりだったのですが、      見事にダメでした(死)      なので、続きます。      けれど、次で必ず取りあえずは終わります!(日本語変ですが気になさらずに/笑)      早ければ、明日辺りにUP出来ると思いますので……      本当にすみませんm(_)m       2005.2.11 如月 水瀬