3 カカシ先生が苦手だ。 受付所で会うたびに試されるような視線を感じる。好かれていないのは薄々気づいていたが、ナルト達のことが 心配だったため関わらずにいられなかった。きっと迷惑だったに違いない。 とはいっても元生徒で現在下忍の3人については、誠実な指導をしてくれているらしく、ナルトへの対応にも隔たりはないらしく、 きっと子供達にとって良い指導者なのだろう。 自分とカカシ先生との関係は、彼らの元教師と現担当。それ以上でもそれ以下でもない…はずだった。 「俺にAランクの任務ですか?」 内密に火影に呼びつけられたイルカは困惑していた。カカシが出て行った後、そこに残るは火影とイルカの 二人のみ。カカシがいる時は努めて平静なふりをしていたが、内心では驚いていた。もちろんイルカとてそれなりに高ランク任務 の経験はある。 (いや、むしろ数年前までは……) それが普通、だった。 「俺をわざわざ行かせるのには何か裏があるんですか。」 「…現時点では何とも言いようがない。お前を行かせる意味があるかどうかも未だあいまいじゃ。じゃが、お前とカカシの実力ならば どんなことがあっても必ず任務遂行できよう。」 イルカはわずかに目を伏せた。 「…もう五年もたった。無論わしとて五年前のことは忘れぬ。そして、出来ることならばお前を再びこのような任務に就けたくはなかったのじゃが…」 最後は迷うように締めくくった火影に、イルカは静かに言葉を返した。 「俺は木の葉の里のアカデミー教師ですが、火影様の『風』でもあるんです。この任務お引き受けします。」 そう言い残して消えたイルカを案じ、火影は呟く。 「本当に傷は癒えたのか?イルカよ…」 答える者は、居なかった。 |