Review No.V-007

林原めぐみ
ベストアルバム
VINTAGE S

スターチャイルド
KICS 790(キングレコード(スターチャイルドレーベル))

主張するアニメソング

 声優ならではの 「主張のあるアニメソング」 というところだろうか。ことさらにアニメ本編を描写しすぎることなく、自らの主張を織り込みながら詩をつくり、そして自ら歌う。 『スレイヤーズ』 シリーズあたりで、 アニメの主演主題歌の作詞・歌 というパターンがすっかり定着した感があるが、気がつけば、こんなにたくさんの名曲が生まれてしまっている。この 『VINTAGE S』 には、林原めぐみの声優、作詞家、歌手としての足跡がぎっしり詰まっている。
 さてここで、 何をもって声優の実力と言えるのか 、について少し考えてみたいと思う。
 声優と言えば、 「キャラクターにふさわしい声を当てるもの」 と相場が決まっている・・・と、つい最近まで思っていた。もちろん、それができるのが実力のある声優と言って間違いはない。しかし、その上のレベルにいる声優達は、 「キャラクターのほうを自分のイメージに引き寄せる」 ことができる。誤解を恐れずに言うならば、 「キャラクターを育てる」ことができる のである。

 たとえば、 『スレイヤーズ』「リナ=インバース」 や、 万能文化 猫娘』 「ヌクヌク」 などは、林原めぐみのハマリ役だろう。一方、 『セイバーマリオネット 「ライム」 は、林原めぐみに育てられたキャラクターではないだろうか? (ストーリー的にも、「ライム」は「小樽」に育てられるキャラクターだが) もし、別の声優が「ライム」を演じていたら、まったく違うアニメ作品に仕上がっていたかもしれない。


 この 『VINTAGE S』 には、過去にシングルCDとして発売された曲が15曲収録されている。そしてその大半が、前述のアニメ3シリーズ( 「スレイヤーズ」 「セイバーマリオネット」 万能文化 猫娘」 )の主題歌である。いかに、この3シリーズが林原めぐみの実力を世に知らしめる作品となったか。それは改めて言うまでもないだろう。
 さて、この 『VINTAGE S』 にはビデオテープが付いている。内容は、林原めぐみの お宝ビデオ集 。異色 (・・・かな?今までのアルバムに比べると) アルバム 『ふわり』 から数曲と、CD発売時のCMがいくつか入っている。ほかにも、 『虹色のSneaker』 フルコーラスなど、プロモーションビデオ的なものも数点収録。メインのCDよりもサイズ的に大きなオマケだが、中身は相当なお宝だ。これだけでも十分立派な作品と言えるのではないだろうか。

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