短歌を始めてから5ヶ月が過ぎました。
此処では、今まで投稿してきた歌の中から季節を詠んだものを集めてみました(初夏から夏へ)
季節の移り変わる様を少しでも感じて頂けましたら幸いです。
初夏
☆透き通る 水掻きひろげ春の田を 僅か僅かと蛙動きて (すきとおる みずかきひろげ はるのたを わずかわずかと かえるうごきて) |
☆濡れ石に春の名残のひとひらを 落とし去り行く通り雨かな |
☆谷あいの艶なる流れ手にすれば 真珠の如し指間より落つ (たにあいの つやなるながれ てにすれば しんじゅのごとし ゆびまよりおつ) |
☆夏近し 茶摘みの音の響く里 青色匂い部屋かすめゆく |
☆はやばやと簾下りたる庵あり 風鈴の音が遠くを過ぎる (はやばやと すだれおりたるいおりあり ふうりんのねが とおくをよぎる) |
☆里山に 望む入日や紅さしつ そろり消えゆく今日引き連れて |
☆清らなる流れの中に鮎踊る 行く手の網を知るや知らずや |
夏真っ盛り
☆せせらぎの 流れふたつに分けながら 朽木寝そべる背には沢蟹 (せせらぎの ながれふたつにわけながら くちきねそべる せにはさわがに) |
☆ひさかたの雨に潤い夏木立 キラリたま露 風になびかせ |
☆その姿 映して競う花菖蒲 揺れてきらめく水鏡かな |
☆人なくて久しき庭の石鉢に とろとろ揺れて浮き草の住む |
☆濡れみどり 風に誘われ波を打つ 海と見まがう梅雨の里山 |
☆注ぎ止み 緑にかかる霧間より 夏鳥を聴く谷遠くまで (そそぎやみ みどりにかかるきりまより なつどりをきく たにとおくまで) |
☆あやまちて片葉化粧で誰を待つ 風にゆらゆら半夏生草 (あやまちて かたはけしょうでだれをまつ かぜにゆらゆら はんげしょうそう) |
☆長雨に 玉の雫を抱きつつ 恨み顔する月見草かな |
☆闇脱ぎて みじか命を咲き急ぐ 浮き葉の間より白蓮の舞 (やみぬぎて みじかいのちをさきいそぐ うきはのまより びゃくれんのまい) |
☆山の霧 薄れゆくごと河鹿笛 瀬に寄る足に しばし止む声 (やまのきり うすれゆくごと かじかぶえ せによるあしに しばしやむこえ) |
☆軒先に庵の夏を独り占め 揺れて迎える吊りしのぶかな (のきさきに いおりのなつをひとりじめ ゆれてむかえる つりしのぶかな) |
☆限られた時のはざ間を急ぐかに 止まり木に降る蝉時雨かな (かぎられた ときのはざまをいそぐかに とまりぎにふる せみしぐれかな) |
☆空仰ぎ咲きて盆菊今年また 愛しき人の還る日近し |