でも、ちょっとうらやましい話


0.はじめに

 北野誠というタレントが、ラジオで自分の元マネージャのことを話していました。人の話をそのまま載せるのは本意ではないのですが、面白いので紹介しようと思います。この元マネージャの方は40前で独身。仕事は真面目で上司からの信頼、そして後輩からの人望も厚く、非常に有能なマネージャなんだそうです。しかし、これといった趣味があるわけでもなく、時間のあるときに風俗でマットプレイを満喫するのが唯一の楽しみといえば楽しみだったのですが、最近競馬を覚え、週末に休みが取れると場外馬券場へ出かけてそこで過ごすという楽しみが増えたそうです。

1.朝
 朝からふらりと寄って、1、2Rを
「ほぉ〜・・・うんうん・・・なるほど・・・」
などとうなずきながら観戦、その日の傾向を確かめます。そして3Rあたりからぼちぼちと買い始めます。

プシュ

缶ビールを空けてガソリン注入です。肴は場内販売のお好み焼き、フランクフルト、やきそばが中心で、それをバクバクと食らいます。ま、何の気なしに買っているのでそうやすやすとは当たりません。

2.昼
「む。む。これはそろそろ気合を入れて買わんといかんな」

カンッ

いよいよワンカップ登場です。勢いよくふたを開けてあおります。肴はスルメ、チーズかまぼこ、お好みあられなどにシフトされます。しかし気合を入れたところでそう簡単に当たるはずもありません。

「う〜ん、なんで当たらへんのやろ・・・そや!ワシ朝から全然メシ食うてへんがな!」

この方先ほどからお好み焼きややきそばなんかを散々食い散らかしているのですが確かに「食事」としては本日一度も食物を摂取していません。どうやらそれが負けの原因になっていると考えたようです。近所のレストランに寄って、カツカレーの大盛りビールとともに平らげます。

3.午後
 午後になって、なんレースか消化しましたが馬券はなかなか当たってくれません。この間ももちろんビール、ワンカップをグビグビと飲みながらジャンクフードをバクバク食べ続けていることはいうまでもありません。そうこうしているうちに、とうとう軍資金が底をついてしまいました。

「アカン!ワシもう金あらへんがな!しゃあないなあもう・・・」

そしてこの方が貯金箱がわりに利用しているアコムへ出掛け、幾ばくかの資金を引き出して場へ戻ります。しかし、どうやら今日は勝利の女神様はこの方へ微笑んでくれないらしく、まだ当たりません。

「やばい、マジでもうええ加減当てとかなシャレにならん!」

キリキリキリッ

とうとうウヰスキーの口金を切ってしまいました、最後の気合注入です。つまみはビッグかっちゃん、棒サラミなどに切り替えられ、最後の大勝負に挑みます。しかし!こういう勝負事はなんべんやってもあかんものはあきません。とうとうひとつも当たらず、坊主で場外をあとにすることになりました。

4.帰路
 駅に至るまでの道すがら、一人でファミリーレストランに寄り、ヤングステーキセット(大盛り)とビール。そして今日、使いすぎて疲れ果てた頭をほぐすため、サウナに寄ってゆっくり心と体をリラックスさせます。勝っていれば帰りには勿論風俗へ寄ってマットプレイを心ゆくまで堪能するのですが、負けたのでサウナだけです。サウナに入ると汗をかいて小腹が空きますので、駅前の吉野家に寄って並盛を2杯とビール。そして電車に乗り、駅に着いたら今度は地元のコンビニでオーザック、ハッピーターン、おばあちゃんのぽたぽた焼きなど今日のテレビの友を買いだします。缶ビールに手が行きかけますが、ふと手が止まります。

「うーん、考えてみたらワシ、朝から酒ばっかり飲んでるなあ・・・アカン!体をもうちょっと気遣ったらなアカン!」

そしてビールに手を出すのをやめ、コカコーラの1.5リットル入りペットボトルを2本買って帰ります。一人暮らしのマンションに帰り、テレビでレースダイジェストを見ながら

「あー!あのときこの馬を買うとったらなあ!クソーッ!」

と、一人反省会を開いてスナック菓子をバリバリとほおばり、コーラをグビグビグビィ・・・

こうして一日が過ぎ、夜は更けてゆくのですが・・・


こんな人生、どうなんでしょう?



−了−


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