邪念入りプレイ記録 その13

「クァン・リー」
和解に向けて走る…
はじまりのおわり


とうとう終わりっすねぇ。
ちょっと感慨深いモンがありますよ〜(涙)
まーたちょこっと創作してます。



「クァン・リー」

進化の回廊、16F
終点?
白い舞台のような部屋。
中央にクァン・リーが光を纏って浮かんでる。クァン・リーの周囲には、世界の風景の映像が浮かんでる。
「クァン・リー!おまえの好きなようにはさせない!」
エヴァンが叫ぶ。
「世界が大きな幸せに紡がれてゆく…。ボクの奏でる調べが、世界をひとつに結ぶんだ。生物も、大地も、新たなる進化へと向かう。ヒトは不完全であるがゆえに増えすぎたり、いさかいあったりする…。ヒトは修正されなくてはいけないんだ」
夢見るような口調のクァン・リー。
周囲の映像が消え、エヴァンを見下ろす。
「まだわからないのかい?ヒトはもっと心を寄せ合いたいと望んでいる。これ以上の幸せがあるのかい?生まれ出るまでに、ボクは多くのことを学んだ。すべてがひとつになって、新たなる未来が開く。これこそがヒトの理想なのさ」
「理想なんざくそくらえだ!」
一言で否定し、クァン・リーにゆっくり近づくエヴァン。
「確かにおれはバカだったよ…。おまえの姿にずっとだまされてた。おまえがこんなにバカだと思ってなかったぜ!」
ムっとするクァン・リー。そりゃそうだ、バカ呼ばわりだもんな。
「どういうこと?」
「自分の思いを失ったら、寄せ合う心が無かったら、もう人じゃないってことがまだわからないのかよ!おまえは人の姿をしてるだけの化け物だ!心をおもちゃにする化け物になんぞ、人の良さは絶対にわかりっこない!」
「愚かだね、エヴァン。ボクと戦おうというんだね?究極生命であるボクに勝てるわけないじゃない!」
凄む…クァン・リー…。ちょっと怖い。
「おれはおまえと決着をつける事に決めたんだよ!やってみなきゃわからない!これが…おれがおれである証なんだ!」
「なぜボクのことわかってくれない!?エヴァン!キミはボクの世界には必要ない!消えちゃえ!!」
クァン・リーの怒りが頂点に!
光が溢れて、次に現れたクァン・リーの姿は上半身こそ少年のままで、その周囲はホントにバケモノちっくになっちゃったよ〜!

バトル突入!クァン・リー!
あ、あんまり強くない?討て討て〜〜!
シッポ攻撃はちょっと見た目がイヤンです!
程なくバトル終了〜
と思ったら、さらに進化してしまうクァン・リー!
今度は少年の面影さえもなく、まーじーでーバケモンです!

ラストバトル、リアル・クァン・リー!
ぎゃー!フォースギアのタイムエボリューションがめっちゃイヤ〜〜!クァン・リーのIPがキュキュキューと進みやがる〜!!
裁きのギロチンは、防御力がなんとか足りてるようで、たいしたダメージ無し。
冥府の門…、開いた場所から逃げれば当たらないのね?逃げなかったウルクは一発即死!ぎゃー!
光の波動は、もう怖すぎてキャンセルしまくり!み、見たくないわよぅ〜〜(泣)

結構時間かかったけど、なーんとか勝利!



和解に向けて走る…

光の泡の中に、横たわるように浮かんでいるクァン・リー。
「負けた…?究極の生命であるボクが…?なんでこんなバカげたことが起きたんだ…」
夢の中でつぶやくような声。

暗闇の中。
エヴァンがその声に向かって走る。
水の上?足跡ごとに波紋が広がる。

「ボクは進化の究極じゃないというの?そんなことはない…。安息の世界、絶対の真理は存在する…」

エヴァンが立ち止まる。
「まだわかってないのかよ!?究極だとか、完全な存在なんてありゃしないんだ!みんな、おまえのひとりよがりだ!」

「なぜキミはボクを拒絶するんだ?ヒトの願う安息を与えようとしたのに、なぜ身勝手をするの?なんで戦いを挑むの!?」

エヴァン、あたりを見回して、声の聞こえる方向がわかる。
遠く、円筒形の高い台の上に、クァン・リーが浮かんでる…。
果ての無いような壁面は、宇宙。

「いつまで勝手に決め付けてるんだ!戦いをなくすために相手の心を消すのなら、相手の存在を消したことと同じじゃないか!自分の持つ言葉で、自分自身の心で語り合うことができない世界なんか、だれも望んじゃいない!」

クァン・リーの浮かぶ台に向かって、走り出すエヴァン。

「フフフ…。キミとボク、いったいどちらが正しいんだろう…きっと勝ったキミの方が正しいんだろうね…」

「…違う!なに言ってやがるんだ!おれだけが正しいなんてことじゃない!わかりあおうとしないのはおまえじゃないか?だいたい、みんな自分の心を無くしちまって、すべてがたったひとつになっちまったら!」

立ち止まって、目を伏せて、小声で。
「寂しいじゃないか…」

壁面や床の宇宙はひび割れ、所々崩れ落ちている。
クァン・リーを包む光の膜が消え、弱々しく、浮かんだまま立ち上がる。

「ああ…そうだったのか。ボクは寂しかったんだ。そうか…。初めて自分がわかったみたいだよ」

やっと納得したように、疲れたように、クァン・リーがつぶやく。
エヴァンがクァン・リーに近づくために走る。

「ボクは生まれた時に何かを忘れてきたんだ。与えられた夢だけを追わされ続けていた…。
この世界はボクに不似合いだったんだ。
さよなら、エヴァン。
キミとの話は楽しかったよ…」

「おい、あきらめるな!こうやって、おまえは今おれと話し合うことができるじゃないか!自分の心に気付いたんなら、おまえはおれたちといっしょだ!わかり合うことができるハズだ!」

エヴァンがクァン・リーに近づこうと懸命に走る。
その様子を、幸せそうな笑みを浮かべて見守るクァン・リー。

「ボクは、キミたちとわかりあうことなんてムリさ。人のようにボクは作られていない…」

クァン・リーが右手を上げると、ポツポツと雨が降り始める。
この、クァン・リーの世界が溶けてゆく雨…。
次第に強くなる雨の中を、クァン・リーのいる台を懸命に上がるエヴァン。

「このバカ!なぜ生きようとしないんだ!おれが…おれがおまえをわかってやる!」

「キミは優しいんだね…。ヒトはお互いの心の響きで、この世界に美しい旋律を満たさなくちゃいけない。それこそが、キミが勝ち取った、キミたちの望む未来なのだから…。よかったのさ、これで…」

微笑んだままのクァン・リーから、光の粒が漏れてゆく。
精霊の光?

「やっとボクは他人の夢から…運命から開放されるんだから…」
「おい、クァン・リー!?」

クァン・リーの元にたどり着いたエヴァン。
その姿を抱きしめようとした瞬間、クァン・リーは形を失って光の粒になり、空へ昇ってゆく…。
光の軌跡を視線だけで追うエヴァン…。

「ボクも…自分の夢が………見てみたかった…」

キラリ。
何かが光りながら落ちてくる。
エヴァンの手元に…。
音の…じゃない、クァン・リーのカケラ?

救えなかった。わかってやれなかった。
やりきれなさでエヴァンの心がいっぱいになる。
小さなカケラを力強く握り締める。

「クァン・リー!!」


進化の回廊、16Fにジオゲートは無い。
不安定すぎるクァン・リーの世界で、ロッカのおばちゃんたちの力を望むのも無茶な話。
今さら退路は無く、途方にくれる一同。
「先になんとか脱出しててくれ!おれはクァン・リーを引っ張ってくる!」
そうエヴァンが言い捨てて、クァン・リーの声を追っていってしまってから、たいした時間も経たないうちに、作られた世界…とはいえ美しかった壁面・床・オブジェが一気に風化してゆくように古びてゆく。
「脱出しろ…と言われても、これではどうしようもないぞ」
ウルクがあたりを注意深く見渡す。
ドサリと音を立てて、壁が崩れる。一瞬砂のように積もり、後にフワリと消えてゆく。
「そうでもないかもよ?この床が崩れたとき、そこに飛び込んでみましょう。きっと砂が助けてくれるわ」
「危なくない?…って言っても、それ以外に無いよね…」
カーマインの提案にティトも頷いて、次の行動を起こす時期をじっと待つ…。
「エヴァン…大丈夫だよね?」
「うむ。今頃、クァン・リーと共に脱出しておるかも知れぬな」
「そうね…、外で会えることを祈りましょ。…床が崩れ始めたわ!行くわよ!」
3人が穴の開いた床に飛び降りてゆく。
とても危険な行為のハズなのに、3人は怪我をすることも無く、疲れることも無く、何かに護られているかのように…崩れる回廊を下へ下へと降りてゆく。
一番下まで降りきって後ろを振り返ると、進化の回廊からはさらさらと水が流れ落ちている。
「水?どうして!?」
「とりあえず、この建物から出るぞ!」
ウルクの大声に引きずられるように、軍中央施設を転がり出る3人。
圧縮された大気に押されるように、そのままエスカーレの高原地区まで走る。
そこまで来て、改めて後ろを振り返ると、目の前の巨大な緑色の建物が急激に色を失って崩れ落ちてゆく。
「おう、無事だったか!?」
ブランドルが脱出してきたばかりの3人を呼ぶ。
ロッカに残っていたはずの、残りのメンバーが徒歩でここまでやって来ていたのだ。
「……エヴァン?エヴァンは!?」
ミャムの問いかけに3人は答えられない。
「クァン・リーのところ…へ行ったのか?」
「あいつらしいや…」
ジェイドとブランドルの声に、あきらめたような響きが混じる。
「帰ってくる…。エヴァンは絶対に帰ってくる!」
叫ぶように言うルティナ。
皆の視線の先からは、強い風圧と共に光の粒が押し寄せてくる…。



クァン・リーの作った世界が、緑色の巨大な貝状の建造物が壊れてゆく。
尖った枝の先が、緑から灰色に変わり、崩れ落ちる。
その崩れたモノは光の粒に変わる。
精霊?
土・火・水・風。
それぞれの遺跡でクァン・リーのために集められた精霊の力が、今、光の粒に変わってそれぞれの場所へ戻ってゆく。
山脈を越えて、谷を越えて、湖を越えて、野原を越えて…。
花畑の中から1匹のウマカンガルーのチビが覘いて、その親と一緒に戯れている。
精霊の風が、花びらを散らしてゆく…。


まぶしい光の波が引いてゆく。
強い風圧のような波は、決して不快なものではなく、暖かくその場にいた7人の頬を撫でて消えていった。
軍中央施設の上に、クァン・リーの創った世界は跡形も無い。
…何もかもが無くなった。

「う……ん」
聞きなれた声に、皆が振り返る。
芝生の上に転がって、眠っている…。





はじまりのおわり

最初に見えたのは青い空。
逆光の中で、仲間たちが自分を覗き込んでいる。
「…夢、か?」
つぶやくエヴァン。
ぼんやりしていると、こめかみにぎゅむぎゅむと衝撃が走る。
「イデデデデデデ!」
「こら!寝ぼけてんじゃねえぞ!しっかりしろ!このクソガキ!」
ブランドルが乱暴にうめぼしをかましている。
慌てて起き上がってその手を払う。
「…いいかげん、クソガキって呼ぶのはやめろよ!…ってぇなあ!」
ため息と呆れ口調、いつものようにルティナが突っ込む。
「まったくお気楽だな、おまえは…。もう少し『やったぞ!!』という達成感は無いのか?」
「おや?さっきまではあんなにハラハラしてたわりに、ずいぶんな言い方だな、ルティナ」
「なによ!心配してアタリマエじゃないか!あたしたちのリーダーなんだから!」
ジェイドの指摘に、ルティナが照れ怒ったり。
「エヴァン、エヴァン、エヴァン!ね、それやってもいい?ね?ね?ね?ね?」
「あ?ああ…。で、なにを?」
突然ミャムちゃんのおねだりに、まだボケまくるエヴァン。
「えっへへっ!じゃあ、いっくよ〜!」
嬉しそうにクルクルと回りながらジャンプするミャムちゃん。
「やったやったー!!エッヘン!」
勝利ポーズ、キメっ!
ミャムの笑顔につられて、ようやくみんな声を上げて笑える。

「うむ。みな、元にもどった。悪しき力は消え去り、この街も平穏になったのだ。精霊の力を御するものが消え去ったせいか、風の香りにも精気が満ちてきたようだ…。まさに心地よい息吹だ…。心が躍る!」
ウルクが街の様子を語る。
みんなすっかりもとのまま、自由な心を取り戻した、エスカーレの街。

「本当に…おわったんだね。良かった…、世界が、ぼくたちの元に帰って来たんだ…」
本当に嬉しそうなティト。こんなティト、今まで見たことないよ!
「どうだい?アタシたちノーチスの人間だって、なかなか捨てたもんじゃなかったろ?でもねぇ、あんまり見習わない方がいいわよ。エヴァンみたいなムテッポウなコゾウが増えたら困っちゃうもんねぇ!」
「うん!」
「おい!『うん』じゃないだろ、そこは!」
カーマインが茶化して、ティトも嬉しそうに頷いて、エヴァンがさらに突っ込んで。
「でも、エヴァンがいたからこうなったんだ。ムテッポウで頭が悪くても、それはそれで大切なのかも…」
「ルティナまで!真剣な顔してなに言ってんだ!…ああ、そおかよ!どおせ頭は悪いッスよ!」
自分で認めてどーするよ?
拗ねてるエヴァンのアタマを掴んでブランドルが揺する。
「しかし、この事件は一体なんだったんだろうな。精霊暴走から遺跡の探索、究極生命やらの出現、おれにゃ何なんだかさっぱりわからん!」
「古代の人々の目指したもの、すなわち、人の進化、世界の協調、そして統一か…。すべてが我らの未来への警告とも思えるな」
ジェイドの重い分析に、エヴァンが軽く笑う。
「そんなんじゃないさ。古代の人は、きっと理屈ばっかり考えて、相手を誰も信じられなくなったんだよ。世界をひとつにしてお互いをわかろうとしたけど、クァン・リーさえひとりぼっちだった…。ただ、みんな寂しかっただけなのさ」
「そうよそうよ、ひとりになっちゃったら、せっかく美味しいものが見つかっても、誰にも教えてあげられないじゃない!ねえねえ!みんなでおいしーもの食べに行こうよ!ここのお魚ってすっごく好きなんだ!」
ミャムが笑って宣言!
みんなで下町へ行こう〜〜

エスカーレの下町もみんないつもどおり。
ひなたぼっこのおじいちゃんおばあちゃんも、市場も、駅前の広場も、みんないつもどおり。
人々の自由な声が聞こえる。


そして、港の前に、ディーネとエヴァン。
海を見つめながらディーネがつぶやく。
「あの世界は、心を安らかにはしてくれたけど、イヤな虚しさばかりがつのる所…。あんなさびしさを感じたことはなかったわ」
海からエヴァンに視線を移して、笑む。
「ありがとう、エヴァン。エスカーレを…、そして私も、あなたが救ってくれたのね」
「よ、よせよ。おれは、クァン・リーがガマンならなかっただけさ。勝手に押しつけられるってのはどうもね」
ディーネの心からの感謝に、照れるエヴァン。
「ディーネが言ったんだぜ?物事をよく見て、よく考えろって…。へへっ結局、おれなりのことしかできなかったけどな」
「究極の存在が世界を管理して、永遠の平和を築く。確かにすべてひとつになればできるけど…恐ろしい話よね」
エヴァンの手の中で消えた、ひとりの少年のこと…。
ちいさなカケラを見つめるエヴァン。
「それは…?」
「ヤツの心…の、カケラかな」
「ヤツって…クァン・リー?」
ポケットにカケラをしまう。
「ただ、クァン・リーは本気で考えてた。…どっかで、歯車がくるっちまっただけだもしれないな…」
「いつの日か私たちも、古代の人が考えたようにクァン・リーのような存在を必要と思う時が来るのかしら…ふふっ、心を消されるなんてイヤな経験は2度としたくないけどね」
「難しい話はヤメにしようぜ。おれたちはこの道を選んだんだ。好きなようにやっていくしかないのさ!」

階段の上から声がかかる。
「エヴァン!コンサートを開いてくれるってさ!おれたちのために、だってよ!」
ブランドルのダミ声。
「はやく来なよ、エヴァン!!」
ルティナの通る声。
ミャム・ティト、カーマイン、ジェイド、ウルク。
みんなが、階段の上でエヴァンを待ってる。

「おれは幸せもンだよ!ああいうやつらがいるからかな!…ああ!今すぐいくぜ!」
ディーネに笑顔で言って、みんなのもとへ駆けて行くエヴァン。
笑い声に包まれている。

「ふふっ。まだわかってないのね。あなたがああいうやつらにしちゃったのに!まったく!」
ディーネも笑って、みんなのもとへ。

風が吹いて、エスカーレのかざぐるまがクルクルと回る…。



END




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