・・・Happy together!
・・・part2〜羊師弟の恋愛困難あるいは、こんなん〜
・・・vol.2
アルコールを過剰に摂取しすぎた身体は熱い。自分の筋力で支えることもできず、弛緩しきった肉体は重い。
「臭っ、熱っ、重っ!」
帰ってきたという喜び一瞬、鼻をつまみたくなるほどの、あまりの酒臭さにムウの下から這い出るも。
恋人の、いささか率直すぎるセリフに抗議の声もなく、そのままベッドに深く沈んでピクリとも動かないため、不思議に思って顔をのぞきこんだ。
見ると、ふだんは血の気の薄い顔が、限界まで鮮やかな朱色に染まっているではないか!
「み、みみ、水っ!水っ、水っっっ!!!」
症状に息を飲んでベッドから飛び出し、ドアまで急ぎながら。
呼吸の確保が先だと思い出し、急ブレーキとUターンといった勢いでベッドに戻って、頭と身体を横向けにムウを寝かし直してやる。
途端、空気がアルコール臭に染まった。
紫龍の知るところでは、酒に強いと自負する人間が支離滅裂な状態に陥っても、表情も口調もまるで変わらず平然と飲み続けるほど、ムウは酒に強い。
そのムウが意識も定かでなく、まして前後不覚になるなど!一体どれだけの量を詰め込んだというのか?
---こんな誰の助けも呼べない場所で、急性アルコール中毒だったらどうしよう!!!
所見では、すでに酩酊のレベルではないことが明らかだ。泥酔。それも、ほとんど昏睡に近い。
出来る処置から早めになさねばと、酒臭さに顔をしかめながらも、呼吸がしやすいように、衣服の締め付けをゆるめようとして腰紐に手をかけたが、
---汗もかいてるし、いっそ全部、脱がせたほうがいいか?
一緒に暮らして1年ほどになるが、ムウの衣服を自分からすべて脱がす(途中まで、ならある)のは初めてということに思い至り、こんな状況だというのに、つい躊躇してしまう。
が、戦闘においても見られないほど、酸素を求めて激しく上下する胸部と、早く荒く、乱れる呼吸に覚悟を決めて、色気もへったくれもない勢いでバババッ!と、すべての衣服を剥ぎ取った。
解き放たれた肢体は充分に魅力的だったが、その、血の朱に染まりきった色合いを目にし、心配のあまり胸がはちきれそうになる。涙が出そうだ。
それなのに。
めずらしく、なされるがままのニオイの元はといえば......
「ムウ、寝ないで!いま寝たら死ぬってば!寝るなったら、起きて!!......起きろ、コラーーーッ!!!」
ジャミールに、紫龍の本気も本気の怒声が響き渡った、記念すべき夜だった。
意識がなくて、良かったのかもしれない。
Happy Together! part2/vol.3
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