御同朋の社会を目指して!

「教育基本法」改正・私の見方

現在、子供たちが学ぶ教育現場では様々な改革が急ピッチで行われていま
す。その中の一つに、現在の「教育基本法」を改正して、新たな法律を作ろうと
する動きがあります。
でも、「教育基本法の改正だ!」と言われても、何がどういけないのかわから
ない方も多いのではないでしょうか。実は私も最近までその一人でした。
そこで、このページではこれから何回かに分けて、政府が進める「教育基本
法」改正の意図について、私の見方・意見等を述べてみたいと思います。
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A他人とのかかわりに関すること
この項目では、主に子どもたちから「ありがとう」の言葉や「感謝」の心を、育て
るのではなく、無理に引き出そうと工夫されている意図がみえてきます。
たとえば、小学校5・6年生用には、ページの真ん中に<「ありがとう」って言えま
すか?>と書かれていて、<わたしたちは毎日の生活の中で多くの人々に支えら
れて生きています。 これまで大きくなったのも、 いろいろな人のお世話になって
きたおかげ。 あなたには、そのようなすべての人たちに感謝の気持ちがありま
すか?>と問うてきます。
そして、下のほうに「はい」と「いいえ」というボタンが用意されていて、「はい」と
答えた人には、<これからももっともっと自分を支えてくれる人々に感謝を>と感
謝の増産を求め、「いいえ」と答えた人には、<あらためて自分のまわりを見まわ
してみて、 ときどきこのページを開いてボタンとにらめっこしてみよう>と、この質
問から逃げることを許しません。また、迷っている人に対しては、<あなたの心に
は、必ず「はい」のボタンにふれるようとする「あなた」がいます>と、全ての子ども
たちに「はい」のボタンを押すことを求めてきます。
また、小学校3・4年生用には、<あなたの先生の好きなところや、 楽しいとこ
ろを書いてみましょう><先生のえ顔>を描きましょう、というのがあります。そし
て、例として次のような文書が載っています。<わたしの先生は、楽しくてよくほめ
てくださる先生です。でも、きまりを守らなかったり、うそをついたりすると、大声で
しかります。じゅ業で分からないことがあれば、ほうか後に教えてくれます。きびし
いけど、いつもわたしたちのことを考えてくれる先生です。わたしは、先生が大好
きです>と。
どうでしょうか、どれもこれも一見すると正しいことを言っている気がします。子ど
もたちから、「ありがとう」の言葉や「感謝」の気持ち、先生の長所などすべて「前
向きな」回答を得ようと。特に、浄土真宗のお坊さんが見たら、「このような教育を
して欲しかったんだ!」って言って、泣いて喜ぶかもしれません(以前、実際に私
はそう思いました)。
しかしよくみてみると、「ありがとう」や「感謝」と言っても、一体何に感謝するの
か、その内容は全く触れられていません。まるで子どもたちに何も考えることなく、
何でもかんでも「感謝」しろと言っているように聞こえます。
先生の好きなところや、先生の笑顔を無理に書かせるところもそうです。先生だ
って人間です。理不尽な振る舞いもあれば、欠点もあります。3・4年生にもなれ
ば、子どもたちはちゃんとそれを見抜いています。それなのに、そんな面を書くと
ころはどこにもないのですね。
このように、この項目では、否定的な面を述べることや、何かに対して批判をす
ることは一切許されていないのです。まるで、子どもたちから「現状で困っていると
ころ、苦しんでいるところ、適切でないと思うところをきちんと把握し、的確に表現
し、議論し、建設的に問題を解決していく」力を奪おうとしているようにはみえるの
は私だけでしょうか?
「感謝」の一言で、一人ひとりの批判的精神を封じ込め、今ある状況を丸ごと受
け入れていく、まさに大人(国家)にとって都合のいい「いい子」を作り出そうとして
いるような気がします。
05.1.23(tomo)
参考資料:『「心のノート」を考える』 岩波ブックレットNO.595 三宅晶子著
『「心のノート」で目論まれている情操とは』 小武正教著 詳しくはコチラ→
http://saizenji.com/page133.html
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