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グラフィック・デバイス

g D (calc-graph-device) コマンドは、 操作中のグラフを g p コマンドで描く際の デバイス名(GNUPLOT の用語で言えば"terminal name")を設定します。 これはデフォルトのデバイス名には影響しません。 空の名前を入れると、デフォルトに戻ります。 `?' を入れると、GNUPLOT がサポートしているデバイスの一覧が出ます。
(訳注: 全てが利用できるわけではなく、適切なデバイスを選ぶ必要がある。 訳者の方法で MS-Windows の pgnuplot/wgnuplot を使用している場合、 wgnuplot のウィンドウに出力される。 "Press return for more: " など表示して止まってしまっていたら、 そのウインドウに RTN を入力して再開させる必要がある。)

g D に正の数値接頭引数を付けると、 今度はデフォルトのデバイス名を新たに設定し、 普通の g D で指定しない限りそのデバイスがプロットに使われます。 ここで空入力すると、現在のデフォルトを表示します。 特別なデバイス名 default は、 X window システムを使っている場合 (環境変数 DISPLAY の存在によって示されるように) Calc が x11 を選ぶことを意味し、 それ以外の場合 GNUPLOT 3.0 以降では dumb、 GNUPLOT 2.0 では postscript を意味します。 (環境変数 DISPLAY の存在によって示されるように) これは最初のデフォルト値です。

dumb デバイスは "dumb terminals"、 つまり特にグラフィック機能の無い端末へのインターフェイスです。 これは `*Gnuplot Trail*' バッファに -| のような記号でグラフの文字絵を描き、 そして Calc がこのバッファを表示します。 グラフは Emacs 画面と同じ大きさに描かれます。 多くの端末でそれは 80 × 24 文字です。 グラフは Emacs の "recursive edit" で表示されますが、 qM-# M-# を押すと "recursive edit" を抜け Calc に戻ります。 dumb デバイスは GNUPLOT 3.0 以降の版にしか存在しない事にご注意ください。

dumb に続けて、スペースで区切った 2つの数字を指定することができます。 これらは好みのグラフの幅と高さを文字数単位で表したものです。 デバイス名 bigdumb と同じですが、 幅・高さが Emacs 画面の 4倍のグラフを描きますから、 グラフ全体を見るにはスクロールしなければなりません。 `*Gnuplot Trail*' バッファ中では、 SPC, DEL, <, > は各 4方向に 1画面分スクロールするように 定義されています。

負の数値接頭引数を付けると、 g Dg P (calc-graph-print) で使うデバイス名を 設定または表示します。 この初期値は postscript です。 Postscript プリンタが無かったら、 もう一度 dumb を使って テキストプリンタ用のプロットを生成させることができます。

g O (calc-graph-output) コマンドは、 GNUPLOT で使う出力ファイルの名前を設定します。 いくつかのデバイス、特に x11 では、 アウトプットファイルは無く、この情報は使用されません。 他の多くの「デバイス」は postscript のようにまさにファイル形式で、 この場合、欲しい形式の出力が g O で名づけたファイルに出力されます。 g O stdout RET とタイプすると、 GNUPLOT が標準出力すなわち `*Gnuplot Trail*' に書き出すように設定されます。 これはデフォルト設定です。

もうひとつの特殊な出力名は tty で、 GNUPLOT がグラフィックスコマンドを標準出力に直接書き、 それを Emacs が端末に受け渡すことを意味します。 なかでも Tektronix グラフィック端末はこのように動作します。 これを実現するために Calc は GNUPLOT にテンポラリファイルを書かせ、 次にサブシェルで `cat tempfile >/dev/tty' を実行します。 典型的 Unix システムでは、テンポラリファイルを端末に直接コピーし Emacs をバイパスします。 後で画面をリフレッシュするために、C-l をタイプする必要があります。

g O に正や負の接頭引数を付けると、 それぞれデフォルト出力ファイル, プリンタ出力ファイルの名前を設定します。 どちらの場合も auto が指定可能で、 g p (または g P) コマンド用のテンポラリファイル名を Calc に決めさせることができます。 このテンポラリファイルは、いったん表示あるいは印刷されると削除されます。 出力ファイル名が auto でなければ、 自動的に削除されることはありません。

デフォルトデバイス, プリンタデバイス, そしてそれらの出力ファイル名は、 m m (calc-save-modes) コマンドによって永久にセーブできます。 デフォルトのデータ点数 (g N 参照) や X geometry (g X 参照) も セーブできます。 その他のグラフ情報はセーブされませんが、 単純に `*Gnuplot Commands*' バッファの内容をセーブすれば、 グラフの形態を保存することができます。

Calc をインストールする際に、システム全体のデフォルトデバイス, プリンタデバイス, 出力ファイルを設定することができます。 関連する Lisp 変数は、calc-gnuplot-default-device および -output、 そして calc-gnuplot-print-device および -output です。 出力ファイル名は上記の文字列か、 評価された時に出力ファイル名を表す Lisp 表現のどちらかでなければなりません。

その他の重要な Lisp 変数は calc-gnuplot-plot-commandcalc-gnuplot-print-command で、 それぞれ出力を表示したりプリントするシステムコマンドを表します。 コマンドが不要ならば nil であっても構いませんし、 出力ファイルを指定する文字列として `%s' を含むことができます。 また、 これらの変数は出力を表示またはプリントする Lisp 表現を含んでも構いません

g x (calc-graph-display) コマンドは、 どの X window システムのディスプレイにグラフを描くかを明示します。 空行を入力すると、現在のディスプレイ名を表示します。 このコマンドは、現在のデバイスが x11 でなければ無効です。

g X (calc-graph-geometry) コマンドは、 X window の位置やサイズを指定するコマンドに似ています。 通常の値は default で、 ウィンドウマネージャがウィンドウを対話的に配置することを意味します。 `800x500+0+0' と入力すると、 画面の左上隅に 800 × 500 ピクセルのウィンドウを生成します。

`*Gnuplot Trail*' と呼ばれるバッファは、 GNUPLOT とのやりとりの履歴を保ちます。 ここには Calc が GNUPLOT に「タイプ」したコマンドや、その反応を表示します。 Calc ここに現われるエラーメッセージを検出するよう努め、 検出したらこのバッファを使用者に示します。 なにか間違いが疑われる時、使用者は自分でこのバッファをチェックできます。

g C (calc-graph-command) コマンドは、 使用者にテキスト入力を促し、それを GNUPLOT プロセスに送信します。 `*Gnuplot Trail*' バッファは一見シェルバッファのようですが、 その中でコマンドを打つことはできません。 この目的には g C を使わねばなりません。

g v (calc-graph-view-commands) コマンドと g V (calc-graph-view-trail) コマンドは、 それぞれ `*Gnuplot Commands*' バッファ, `*Gnuplot Trail*' バッファを 別のウィンドウに表示します。 どちらかのバッファに見せるべき内容あり、 と Calc が判断した場合は、自動的に表示切替が起こります。 関連バッファが既に表示されている時に g vg V をタイプすると、 コマンドに対応するバッファは再び隠されます。

g v を使うひとつの理由は、ユーザー自身のコマンドを `*Gnuplot Commands*' に追加するためです。 g v を押し、次に C-x o を使ってこのウィンドウに切替えてください。 例えば、GNUPLOT は `set label'`set arrow' コマンドを持っていて、 プロットに注釈を付けることができます。 Calc はこれらのコマンドを理解できないので、 自分で `*Gnuplot Commands*' バッファに追加しなければなりません。 そして g p を使って新コマンドとともに再プロットします。 このとき追加するコマンドは plot コマンドより 前に 書かなければなりません。 GNUPLOT の機能に関する Help は、 例えば g C help set label とタイプしてください。 "press return for more" や "subtopic of ..." などの要求に答えるために、 g C RET を何度かタイプしなければならない場合があります。 ちなみに Calc は、プロット前に全てのプロット設定をデフォルトにリセットする (`set nolabel' のような)コマンドを送りますから、ラベルを削除するには、 先ほど追加した `set label' の行を削除(または `#' でコメントアウト)して g p でリプロットするだけです。

g q (calc-graph-quit) コマンドを使うと、 走っていた GNUPLOT プロセスが消されます。 次回のグラフ作成コマンドは、新しい GNUPLOT プロセスを生成します。 GNUPLOT プロセスが起動している時は常に、 Calc ウィンドウのモードラインに `Graph' という言葉が表れます。 GNUPLOT プロセスを消さずに Emacs を終了すると、 自動的に消されます。

g K (calc-graph-kill) コマンドは g q に似ていますが、 プロセスが消されるのをユーザーが観察できるように、 `*Gnuplot Trail*' バッファを見せたりします。 固まってしまった GNUPLOT を Kill する時は、こちらのほうが良いでしょう。


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