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多項式近似と多変量近似(Polynomial and Multilinear Fits)

データをより高次の多項式に近似させるには、 モデル選択のときに、2〜9 の数字のどれかをタイプします。 例えば、a F 2 RET とタイプすると、 前節の元の(14 ではなく 13 の)データ行列を直線ではなく放物線に近似します。

2.00000000001 x - 1.5e-12 x^2 + 2.99999999999

注意: 定数と線形の項だけでデータにぴったり一致するので、 Calc が x^2 にわずかの寄与しか与えないのは驚くことではありません。 (完全にゼロにならなかったのは丸め誤差によるものです。 データ群は完全な整数なので、あらかじめ m f をタイプして 分数モードにしておくと厳密な答を得ることができます。 すると x^2 の項は完全に消滅します。 しかし普通は、データは浮動小数なので分数モードは役に立ちません。)

13 ではなく 14 のデータ集合に a F 2 を実施すると、 Calc は近似曲線を少し曲げて近似を良くするために、 x^2 の寄与はずっと大きくなります。

0.142857142855 x^2 + 1.34285714287 x + 3.59999999998

多項式近似の理論から導かれる重要な結論のひとつは、 「N 個のデータ点は N-1 次の多項式で厳密に一致させることができる」 ということで、しばしば内挿多項式(interpolating polynomial)と呼ばれます。 修正したデータ行列(14)を使うと、 4次モデルの多項式は全部で 5つのデータ点に厳密に一致します。

0.04167 x^4 - 0.4167 x^3 + 1.458 x^2 - 0.08333 x + 4.

0.0416666663588 のような、演算精度12桁で得られた実際の係数は、 明らかに精度を失っています。 近似演算を行うときは、必要とする精度よりも何桁か精度を高めておくと良いでしょう。 また、データが厳密に正確な場合は分数モードを使うと厳密解が得られます。

モデル選択プロンプトに対し、数字ではなく i をタイプすると、 データに厳密に一致する多項式を得ることができます。 これはデータ行列の列数を数えて、自動的に多項式の次数を決定します。

高次多項式を用いてデータを「厳密に」一致させることは、 いつもうまくいくとは限りません。 高次多項式は、データ点の間でくねくね曲り過ぎて手に負えない傾向があります。 また、厳密一致多項式を内挿や外挿に使う場合は、 数値的には後述する a p コマンドを使った方がマシです。 多項式内挿法 参照 。

-*- ちょっとひといき -*-

線形モデルのもうひとつの概念は、 y 値をいくつかの x 値の線形接続と見なすことです。 これが 多変量(multilinear)近似で、 これも数字キーの 1 で選択されます。 (Calc はデータ行列の行数を数えて線形近似か多変量近似か判断します。)

与えられたデータ行列を次のとおりとします。

[ [  1,   2,   3,    4,   5  ]
  [  7,   2,   3,    5,   2  ]
  [ 14.5, 15, 18.5, 22.5, 24 ] ]

ここでコマンド a F 1 RET をタイプすると、 1行目を x, 2行目を y とし、 3行目の値をモデル a + b x + c y に一致させます。

8. + 3. x + 0.5 y

Calc は独立変数がいくつでも(つまり、 データ行がいくつでも)多変量線形近似を行うことができます。

-*- ちょっとひといき -*-

もう一つのバリエーションは、 定数項がゼロと判っている 斉次(homogeneous) 線形モデルです。 これはつまり、線形の場合のモデルは a x、 多変量線形の場合のモデルは a x + b y + c z、 多項式の場合は a x + b x^2 + c x^3 ということです。 (訳注: つまりゼロ点を通るモデルである。) この 斉次(homogeneous) 線形モデルを選ぶには、 文字 h に続けて12 のような通常のモデルキーを押します。

2.3 + a x とか a - 4 x のように、 線形モデルの自由度を制限することもできます。 このようなモデルを選択するのにキーひとつでは無理なので、 所望のモデルを手入力する方法を後の節で説明します。 例えば前者を入力するには、a F ' 2.3 + a x とします。

多変量多項式近似、例えば a + b x + c y + d x^2 + e y^2 + f x y は、 手入力が必要ですが動作可能です。


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