憑依モードは編集バッファ内から直接 Calc を使う方法です。 次のような式を含んだ文書があるとします:
ln(ln(x)) の微分は、
ここで Calc に微分を計算し、体裁を整え、自動的にバッファに格納させたいとします。 憑依モードでそれを行うには、まず結果を書きたい場所に式をコピーします:
ln(ln(x)) の微分は ln(ln(x))
ここで、カーソルを新しい式の上に置いて M-# e と打ちます。 Calc は式を読み(周りを空行で囲むことによって読込み境界とします)、 その式を(見えないように)Calc スタックに置きます。 カーソルは編集バッファ内の式の上にとどまりますが、 バッファのモードラインが Calc のモードラインのように(モード表示が `12 Deg' とか)変わります。 依然として編集バッファ内にいるにも関わらず、 キーボードは Calc キーボードのように振舞い、 演算結果はスタックから現バッファにコピーされます。 微分を得るには、a d x RET と打ちます。
ln(ln(x)) の微分は 1 / ln(x) x
この見栄えを良くするために、d = と打って式をセンタリングしたり、 d B と打って"big"ディスプレイモードを使うのも良いでしょう。
ln(ln(x)) の微分は % [calc-mode: justify: center] % [calc-mode: language: big] 1 ------- ln(x) x
Calc は、 この式に使ったモードを覚えておけるようにファイルに注釈群を加えました。 注釈群は TeX で処理される場合に備えて、 TeX 組版言語のコメント書式で書かれています。 (この例では TeX を使っていないので、 このコメント行をファイルの先頭へ移動するか、 さもなければ消してしまいたいかもしれません。)
おまけに、右手に式番号を付け加えることができます: d } (1) RET と打ってください。
% [calc-mode: justify: center] % [calc-mode: language: big] % [calc-mode: right-label: " (1)"] 1 ------- (1) ln(x) x
憑依モードを終了するには、もう一度 M-# e と打ってください。 モードラインとキーボードは前の状態に戻ります。 (もしこれを読みながら実際に試していたら、M-# 0 [数字のゼロ]を 打ってみてください。変更されたモード群が元に戻ります。)
関連コマンド M-# w は、 テキスト中の単一の語(一般には単一の数値)に作用します。 これは、数字以外の文字全て(空行だけでなく)を、 読み込み境界と解釈します。例を示します:
三分の一の勾配に相当する角度は 1 度である。
カーソルを `1' の上に置き、 M-# w と打ってこの数字に憑依モードを作用させます。 ここで 3 / と打ち(1/3 を得る)、 次に I T と打ち(Inverse Tangent で勾配を角度に変換)、 それから再度 M-# w と打って憑依モードを終了します。
三分の一の勾配に相当する角度は 18.4349488229 度である。
詳細は 憑依モード 参照 .
Go to the first, previous, next, last section, table of contents.
利用度数