患者管理
維持透析患者の主な合併症
@ 心不全
・ | 死因の第一位 |
・ | 高血圧、貧血、シャント、高K血症などいろいろな因子が影響するが、Na、水の過剰による容量負荷によるものが多い |
A 脳血管障害
・ | 脳出血、脳梗塞などが主で、高血圧、動脈硬化が危険因子となる。 |
B 高K血症
C 血圧
≪高血圧≫
2/3はNa、水の過剰。1/3はレニン依存性
≪低血圧≫
@) 透析中
・ | 循環血漿量減少(ハイポボレーミア)、徐水過剰 |
・ | 血漿浸透圧低下 |
A) 持続性(常時)低血圧
・ | 長期透析患者に多い |
・ | 自律神経機能不全、血管反応性低下 |
D 二次性上皮小体機能亢進症
≪成因≫
腎不全に陥るとリン排泄、Caの吸収、ビタミンDの活性化が低下し、高リン血症、低Ca血症となる。そこで副甲状腺はPTHの分泌を促進してCa値を上昇させようとする。 二次性上皮小体機能亢進症では、骨のPTHの反応性が悪くなり低Caとなるが、副甲状腺では、引き続きPTHが分泌され続けるので、高Ca〜低Caとなる。その結果、骨軟化症、繊維性骨炎、異所性石灰化などを呈する。
≪対策≫
@ Pの制限 A 十分な透析 B 透析液Caの調節 C 活性型ビタミンDの投与 D P吸収剤の投与(炭酸Ca、塩酸セベラマー) E 副甲状腺摘出術(最終手段)
E 貧血
≪原因≫
@ エリスロポエチン産生(活性)低下 A 出血(消化管など) B 鉄欠乏 CAl 蓄積
F 感染症
G 透析アミロイドーシス
≪原因≫
β2ミクログロブリンの蓄積により手根菅症候群などを呈する。
≪対策≫
@ 高機能膜の使用 A 水処理の強化 B HDF C 吸着器の使用
H アルミニウムの蓄積
≪原因≫
アルミニウム製剤投与、水処理の不十分等によりアルミニウム脳症、骨軟化症、貧血を呈する。 以前、P吸着剤としてアルミニウム製剤が使用されていた
≪対策≫
デスフェラールの投与
I 末梢神経障害
≪原因≫
尿毒症性神経炎、自律神経障害によるストレスレッグ、バーニングフットなどの症状を呈する。 以前、P吸着剤としてアルミニウム製剤が使用されていた
J シャントトラブル
スチール症候群、ソア・サム症候群、仮性動脈瘤、シャント狭窄・閉塞、感染、シャント血流過多(心負荷大)、ゼローマ(人工血管)などがある。
スチール症候群 | : | 橈骨動脈血がシャントに取られ過ぎ、シャント部分より末梢橈側動脈血が不足 |
ソア・サム症候群 | : | スチール症候群の結果手の親指の血流が不足し、壊死状態になり痛みを伴う。 |
ゼローマ | : | 人工血管から血漿成分が漏出し、貯留して起こるもの |
K その他
悪性腫瘍(腎癌、子宮癌の発生率が高い)、脂質代謝異常(ヘパリン投与が原因)、皮膚掻痒症
食事管理
カ ロ リ ー | : | 比較的高カロリーを摂取し、低カロリー状態による体内蛋白の分解を抑制、尿毒素増加を抑える |
水 分 | : | 水分摂取量を抑えることで浮腫や高血圧、肺水腫などを予防する |
タンパク質 | : | タンパク質の制限により、尿毒素の増加を抑える |
塩 分 | : | 塩分制限することで水分過剰や高血圧を予防する。 |
カ リ ウ ム | : | 高K血症予防のためKが多く含まれる、生野菜や果物の摂取は控え、野菜は茹でる。 |
リ ン | : | 高リン血症、異所生石灰化の予防となる。 |
項目 | 摂取目安 |
エネルギー | 30〜40 [kcal/kg] |
水分 | 尿量+500〜1500ml |
タンパク質 | 1.2〜1.5 [g/kg] |
食塩 | 3〜5 [g/day] |
カリウム | 1500 [mg/day] |
リン | 600〜800 [mg/day] |
|