人工肺
生体では、血液と空気が接触するだけでガス交換が行われる。人工肺では、血液と空気が直接接触する気泡型肺と間接的に接触する膜型肺とがある。
気泡型肺
血液中に小泡化したガスを直接混合させる。
回路構成 : 脱血→気泡型肺→貯血槽→ポンプ→フィルタ→送血
≪長所≫ | | | | | | | ≪短所≫ |
| ・ 安価 ・ 充填量が少ない ・ プライミングが容易 ・ 圧力損傷がほとんどない |
| ・ 蛋白変性 ・ 溶血 ・ 血小板減少 ・ 補体活性の亢進 ・ 微小空気塞栓 |
膜型肺
ガス透過性のある膜を介して血液とガスを接触させる方式。
膜の形状によりフィルム膜と中空糸膜に大別される。
回路構成 : 脱血→貯血槽→ポンプ→膜型肺→フィルタ→送血
≪フィルム膜≫
積層型 : シート状に折り重ねる
コイル型 : シート状の膜をコイル状に巻く
≪中空糸膜≫
@ 仕様
膜面積 : 2〜5u (生体肺:約100u)
内径 : 200μm程度
A 灌流方法
1) 外部灌流型:中空糸内にガスを流す。現在の主流
・ 血液が乱流となる →血液成分の損傷とガス交換効率の上昇 ・ 圧力損傷が小さい
2) 内部灌流型 : 中空糸内に血液を流す
・ 血液成分の損傷が少ない ・ 圧力損傷が大きい
≪ガス透過膜≫
@ 均質膜 | : | ガスは膜を溶解することで移動 |
素材 : シリコンゴム、ポリアルキルスルホン |
≪長所≫ | | | | |
| ≪短所≫ |
| ・ 長時間の使用が可能 ・ 血液凝固・沈着が少ない ・ 水蒸気損傷(vapor loss)が少ない ・ 血漿漏れが生じない
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| ・ 機械的強度が弱い ・ ガス透過性に劣る |
A 多孔質膜 | : | 膜の小孔(0.03〜0.07μm)を気体分子が通過し、血液と直接接触してガス交換される。 |
素材 : ポリプロピレン |
≪長所≫ | | | | | ≪短所≫ |
| ・ ガス透過性良い ・ 強度、耐圧性がある ・ 廉価 |
| ・ 長時間の使用が行えない ・ 長時間使用で水蒸気損傷を生じる ・ 長時間使用で血漿漏れを生じる |
≪水蒸気損傷(vapor loss)≫ |
| 多孔質膜では孔を介してガス交換を行うため、水蒸気がガス側へ移動し、長時間使用するとガス側に水の膜が形成され、ガスの交換能が低下する。又、水蒸気が孔に入りこみ膜の疎水性を失わせ、血漿の漏出にも繋がる。 |
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