生体の力学・流体力学的性質と生体内輸送

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の生体物性工学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




生体の力学的性質

生体組織の力学的物性

@異方性
A粘弾性
B非線形性 (荷重の大きさや変形の度合によって変化)

弾性と粘性を表す力学的モデル

≪マックスウェルモデル≫

マックスウェルモデル
モデル弾性要素(バネ)と粘性要素(ダッシュポット)を直列接続
クリープ(匍匐)一定の外力を与えるとひずみ(変形量)は時間経過とともに次第に増加
応力緩和一定のひずみ(変形量)を与えると応力は時間経過とともに減少
マックスウェルモデル

≪フォークトモデル≫

フォークトモデル
モデル弾性要素(バネ)と粘性要素(ダッシュポット)を並列接続
遅延弾性一定の外力を加えていくとひずみは次第に増加し最終的には弾性要素で決まる値に近づいていく。
フォークトモデル

≪生体の粘弾性モデル≫

生体の粘弾性モデル
モデル弾性要素(バネ)と粘性要素(ダッシュポット)を並列接続

一定の外力を加えた場合

  ひずみは、時間経過とともに増加、最終的にバネ成分で決まるひずみ値に近づく。

一定のひずみを加えた場合

  応力変化は一瞬最大値を示した後次第にゆっくりと緩和。バネ成分による応力と等しくなる。

生体の粘弾性モデル


生体の流体力学的性質

血液および血球の特性

≪ニュートン流体≫

  粘性係数が、流速によって変化しない流れ
例) 血漿


≪非ニュートン流体≫

  粘性係数が流速に依存する流れ。キャッソンの式に従う
例) 血液(赤血球)

ニュートン流体と非ニュートン流体


血液の非ニュートン流体

ずり速度が小さい粘性係数は急激に増加する
ずり速度が大きい粘性係数はほぼ一定となる

血液粘性

≪粘性係数≫

  血漿 : 約1.2cp  血液 : 約5cp (水:1.0cp)

粘性


≪ヘマトクリット値≫

  粘性係数は、ヘマトクリット値の増加とともに増加


≪血管径≫

  粘性係数は、管径が細くなるに従って急激に減少する(シグマ効果)。


≪疾患≫

  糖尿病患者の血液の粘性係数は、ずり速度の小さいところでは増加



生体内輸送

受動輸送

  エネルギーを使わず、濃度勾配に従って輸送を行う。

拡散濃度勾配に沿って溶質が濃度の濃い方から薄い方へ移動する。
透析細胞膜(半透膜)を介して、溶質が濃度の濃い方から薄い方へ移動(拡散)する。
浸透細胞膜(半透膜)を介して、溶媒が濃度の薄い方から濃い方へ移動する。
溶液が水を引き込もうとする力を浸透圧と呼ぶ。
濾過溶媒と溶質が圧力勾配に従って圧力の高いほうから低い方へ移動する。

能動輸送

  エネルギーを消費し、濃度勾配に逆らって輸送を行う。








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