四国八十八ヵ所《土佐の国》歩き遍路の旅
空海の史跡と自然を訪ねて

第3回 31番〜36番

  12月11日 高知インター南〜31番竹林寺〜32番禅師峰寺〜33番雪蹊寺〜宿  歩行距離 17.6km
 
昨夜のバスでバスセンターに5時50分到着、ここで朝食と身支度の予定がバスセンターが開いていなくて薄暗い道をコンビニまで、遍路道に合流31番竹林寺を目指す。
 7時10分、舟入川の高須橋で日の出、川面も朱色に染まって歓迎してくれる。15分程山道を登り牧野植物園を通り竹林寺に7時45分着、朝日を受けた残り紅葉と五重塔が輝いて見え清涼感の中に温もりを与えてくれている。納経所で名物の「竹林寺竹羊羹」を買う。
 32番禅師峰寺へは5.7km、途中の武市半平太の旧宅を覗き、又少しの山道を登り10時前に着く、多くの奇岩と石仏が目に付く、土佐湾を一望出来て気分良し。33番雪蹊寺への遍路道は明朝歩くこととし浦戸大橋を渡り今宵の宿「民宿坂本」さんへ、この大橋を歩くのは怖い、歩道が70cm程で海面から高く直ぐ側を車が風を起こして走る、1480mを渡りきって安堵のため息。
 宿で自転車を借り桂浜を散策、大勢な観光客、龍馬、龍馬・・・。土佐犬の闘犬ショウを見物、鳴き声の無い取っ組みは流石。
 時間に余裕があり自転車で雪蹊寺を参拝し宿へ、宿では洗濯をして頂く等心尽くしを頂き気分良く眠れた。

12月12日 宿〜34番種間寺〜35番清滝寺〜36番青龍寺〜宿  歩行距離 32km
朝6時半に出発し雪蹊寺の門前で挨拶し34番種間寺へ急ぐ、途中畑の唐辛子と草花が朝日で美しく輝いているのを撮影、花も少なくなったコスモス畑に雀の大群等田園風景を楽しみながら8時50分に到着、底の抜けた柄杓が子育て観音にずらりと掛かってある、納経所でお菓子の接待を受ける。
 9.8km先の清滝寺へ、途中の春野町で石造りの眼鏡橋を渡る
(写真)、遍路歩きの気分を増してくれる又石畳の上の流れがとても綺麗で、流れを見ながら暫し休憩。
 山道に入って程なく胸突き八丁の登り、続いて急階段、今日は此処で一汗、厄除薬師如来の台座の下が通路、厄除けご利益が有るとのことで真黒な通路を手探り足探りで進む、闇の先が底知れぬ淵のように感じた、楼門の天井画、本堂の羅針盤と見所多いお寺、土佐湾を眺めながら昼食休憩。
 13.9km先の青龍寺へ、途中の塚地峠の登り降りは疲れた、標高は185mと僅かだが荒れ道が多く此処まで既に26kmを歩いていたこともある。今回最後の36番青龍寺も無事打ち終えて今宵の宿「山陽荘」へ美しい料理と天然温泉で心身を癒し明日に備える。


12月13日 宿〜(車で船着場)巡航船〜横浪〜JR須崎駅  歩行距離 11.5km
 
昨夜からの雨、7時5分の巡航船に乗りたくて宿から送ってもらう宇佐大橋を渡って程なく乗場、乗客は自分一人、気さくな航海士さんで鯛の養殖筏等説明を頂きながら海岸の集落を縫うように渡る、小学生が12人雨傘をたたみながら乗船、朝の挨拶で一気に賑やかになった、上級生が曇った船の窓を拭くお手伝い、この船が唯一の通学手段、塩間小学生が下船し次の乗場から中学生が8人挨拶を交わす、徳島県でもそうだったが会う学生・児童の殆どが挨拶をしてくれる、お遍路さんへの挨拶を勧めているんだろうか。
 浦ノ内中学生と共に横浪で下船し10km強をJR須崎駅へ、浦ノ内湾を左手に降りしきる雨の中、人一人歩いていないルート23号を合羽と遍路傘を頼りに只ひたすら歩く、歩いている内に孤の世界、生かされている、自分は今懸命に生きている、そしてこの行為を許してくれている全てに感謝しなければ、じっと奥歯を噛む。
 遍路小屋で休憩が取れた有難い、駅までの地図を頂き5km弱、1時間で歩けば予定の列車に乗れる、時間が早いので須崎市安和迄行き岩本寺へ近づくことも出来るが、この天候、無理をしないで高知駅で寛ぎ帰路につく。
 今回の旅は、人々とのふれ合いが少なかったが巡航船のお陰で思い出が出来たし、趣のある寺も参拝出来た、また雨のお陰で少しだが孤の世界に浸ることも出来た。何処でも、天候が変わろうとも歩き遍路の楽しみは変わらない。《けふもまた 心の鉦を打ちなたし 打ちならしつつ あくがれていく》 若山牧水。

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11日の歩行地図(赤字表示)
竹林寺
 
12日の歩行地図(赤字表示) 塚地峠
 
13日の歩行地図(赤字表示)黄色=巡航船 巡航船