四国八十八ヵ所《土佐の国》歩き遍路の旅
空海の史跡と自然を訪ねて

第4回 37番

 3月9日 JR須崎〜土佐久礼(宿) 歩行距離12km
 高速バスで湊町を8時に出発須崎に14時着、今夜の宿泊地土佐久礼へ12kmの歩きと成る。
 歩き出して直ぐに大きな花木が目に付き近づくと「川端シンボルロード」との看板、昔の堀川とか、花は雪割り桜で可愛い女学生と撮影。
 ルート56号を歩き全長200mの鳥形峠トンネルを抜けると此処でも雪割り桜が海を背景に咲き誇っていた。
 JR安和駅から土讃線に沿って1km程で焼坂峠にかかる、変わり映えしない3km程の峠だが、越えると小さな満足感が得られるので峠を歩くのは好きだ。
 程なく土佐久礼の街に入り福屋旅館に17時半に着いた。近くの久礼湾へ、達磨朝日の撮影ポイントで有名なふるさと海岸を見る、散歩中の方から満月時の海の素晴らしさを聞かせていただいた。

3月10日 宿〜37番岩本寺(宿) 歩行距離22.5km
 5時40分にふるさと海岸へ、地元カメラマン3人との写真談義のうちに6時30分日の出、完全な達磨朝日には成らなかったが海から昇る朝日を拝して満足、珍しく阿波尾鶏が散歩中。
 宿を7時50分に出発、本日も快晴、そえみず遍路道登りの手前で「お遍路さんと」と呼ばれておばあさんに手作りの巾着袋やお菓子などの接待を受ける、何年も接待を続けて居られる様でおばあさんの元気にあやかりたく記念撮影。遍路道は高速道路工事で迂回、その迂回路が500段を超す階段できつかった、「添蚯蚓」の名は、みみずが這った跡のようにくねくね曲がっている様子から付けられたとのこと、落ち葉がふかふかと足に優しい峠道だが鳥の声一つ聞こえない静けさで淋しい。
中間地点が標高400m、久礼湾の双名島が眼下に見える、途中で猪狩のおじさん、罠を仕掛けている、背中には大きな鉈。
 弘法大師が、勿体無くて歩けない(薬草が一面に)と言った昔の官道には小さな椎縦が無数に顔を出していた。
 11時半に300余年花を咲し続けている雪椿の遍路小屋で休息、岩本寺の手前、窪川町の遍路通りでは「雛祭り」地元っ子達が描いたお雛様の板絵、家々にはお雛様が飾ってありゆっくりと見て歩く。
 旧都築家別邸では、水切り瓦付き土佐漆喰仕上げの建物、邸内には数々の雛飾りがあり見物。
 今宵の宿でもある37番岩本寺を参拝、有名な天井絵でマリリンモンローにも会えた
(写真)。12人の同宿者で賑やかに食事を美味しく頂けた(精進料理でなかった)。
 

 3月11日 宿〜黒潮町有井川(宿) 歩行距離27km
 住職が不在で朝のお勤めが無く残念、7時過ぎに出発、市野瀬遍路道の山道を除いて殆どがルート56号、あけびの花や川沿いのネコヤナギなど春の季節を感じながら同宿者6人の同行旅、10回目のベテラン男性、5回目の女性、この方は70番札所本山寺近くにお住まいで、70番に来たら連絡をと納札を頂いた。21km地点の佐賀公園は太平洋に面した良く手入れされた広く美しい公園で眺めも素晴らしい。≪ 海は広いな大きいな・・・ ≫静かな大海原を眺めながらゆったりと歩く、このゆったり感が何とも気持いい。
 320メートルの井の岬トンネルを抜けると皆さんとお別れ、宿の裏手の浜で小石を除いてアサリを採っておられて暫し談笑、小振りだが味は保証付とのこと、折りしも津波警報のサイレン、急ぎ「民宿たかはま」さんへ、新鮮なお造り等美味しく頂きながらM9.0の大震災情報に吃驚。

 3月12日 宿〜土佐くろしお鉄道中村駅  歩行距離18km
同宿の方が千葉、心配で帰宅方策を模索、自分は予定通り中村に向かって7時半に出発、砂浜が続く浮鞭海岸を左手にルート56号を進む、7kmを越えら辺りから国道を離れ塩害防止用の松林を進む(入野松原)気分爽快な道で空気を一杯吸い込みながらゆっくりと歩く、地元の散歩されている方々と挨拶、何方も笑顔、綺麗な砂浜に出たので津波も気になるが少しだけ足跡を残す、流木に止まっている鳶とも挨拶、次回に目指す足摺岬が見える。
 後川を渡り中村駅に12時着、列車、バス全てが運休、予約の夜行バスも不明。
 レンタサイクルで四万十川沿いのサイクルロードを走る、柳原生林では菜の花が一面に咲いている、正しく四万十川の春景色、弁当を広げていると夜行バス運休の連絡有り、ホテル確保の為急ぎ駅前に戻る。
 この大震災では、自分のアクシゼントはほんの小さなもの、帰れない時間を逆に楽しもうと四万十河口の下田港近くの「四万十いやしの里」で宿泊、自転車で40分、途中緑色したアオサノリ網が川面に多数、業者の方が心配そうに窺っておられた(億単位の損害が津波で発生したよし)。
 ホテルは見晴らしの素晴らしい高台にあり接客も行き届いていた、温泉につかり疲れを癒す、今宵もご馳走だ。
 久し振りの一人旅、最後に大震災の影響を受けたが予定のコースを完歩出来た、見るもの聞くもの全てが新鮮で自分の心を豊かにしていてくれる。一機一会の出合いも頂いた。歩いてきた道程を列車で戻りながら旅日記を綴っていたら有り難涙が出てきそうに・・・感謝!
 ≪あなうれし 行くも帰るも とどまるも われは大師と二人づれなり ≫古目大師堂
 東日本大震災には心が痛む、驚き、不安、寒さに震えておられる多くの被災者の方々へ支援の輪が迅速に、大きく広がることを願う。

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9日の歩行地図  (赤色表示) 咲き誇る雪割り桜
 
10日の歩行地図  (赤色表示) ふるさと海岸の日の出
   
11日の歩行地図  (赤色表示) アサリ採り
   
12日の歩行地図  (赤色表示)  四万十川の春