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フクシア単語帳

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洋書の表現

英語の解説を読むと、構文は簡単なのに、見慣れない単語に出くわして戸惑うことがあります。

辞書を引いても掲載されていない単語もあります。
そこで、知っておくと便利な単語をまとめてみました。
解説は、自身の経験や調べた結果に基づいています。
間違いはご指摘いただけると幸いです。

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植物の部位に関する用語

品種ごとの解説で、もっともよく出てくる単語は、「tube (ガク筒)」、「sepal (s) (ガク片)」、「corolla (花冠)」 の3つです。
この3つを押さえておくだけで、花色の説明はだいたいわかります。
anther 【名】
葯 (やく):オシベの先端の花粉を付ける部分。
axil 【名】
葉腋 (ようえき):葉の付け根で、葉柄と茎(枝、幹)との間。
corolla 【名】
花冠:1つの花の花弁 (petal) の集まり全体を指す言葉。フクシアの説明では、花弁の色を表現するときに、petal よりも頻繁に使われる。
filament 【名】
花糸 (かし):オシベの一部で、先端の葯にいたるまでの細長い部分のこと。
ovary 【名】
子房。受精すると、子房が発達して実になる。
pedicel 【名】
小花柄。フクシアの花を枝とつないでいる細長い部分。
petal 【名】
花弁
petaloid 【名】
ペタロイド:「通常、花冠の外側にある小花弁を指す」という説明が George Bartlett のFuchsias - A Color Guide にあるが、これとは別の説明として Bournemouth & Poole Fuchsia Society (イギリス) のサイトに「オシベが変化した未完成な花弁」との説明がある。同じものを異なる角度から説明しているだけかどうか、正直に言って私には不明(^^;

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pistil 【名】
メシベ。雌蕊 (しずい)。
pollen 【名】
花粉。
seed 【名】
種子、タネ。タネの意味で「種」を使うと、「種 (しゅ)」との区別が不明瞭になる場合があります。
sepal 【名】
ガク片:フクシアのガク片は基本的に4枚。
stamen 【名】
オシベ。 雄蕊 (ゆうずい)。
stigma 【名】
柱頭:メシベの先端の部分。受粉器官である。
style 【名】
花柱:メシベのうち、柱頭と子房をつなぐ部分。
tube 【名】
ガク筒:ガクの付け根から子房までの筒状の部分。

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樹形や成長パターンに関する用語

樹形に関するお約束の単語は、「bush (ブッシュ)」、「trailer (トレイラー)」、「lax bush (ラックス・ブッシュ)」です。ただし、これらは明確に線引きできるものではありません。
bush 【名】
ブッシュ:枝が堅くて、上に向かって伸びていく品種。原則的にはハンギングバスケット向きではない。直立性が強い品種は upright bush と書かれている。
しかし、実際に育ててみると、ブッシュと書かれていてもハンギング仕立てが可能な品種もある … というのが私の経験である。
lanky 【形】
徒長した。
lax bush 【名】
ラックス・ブッシュ:ブッシュ・タイプのなかでも、枝が柔らかめの品種に使われる。ハンギングバスケットに仕立てることも可能である。ブッシュと呼ぶには軟らかすぎて、トレイラーと呼ぶには堅すぎるというビミューな品種の場合がある。
lopsided 【形】
片伸びした。まんべんなく枝が伸びるのではなく、片側あるいは一部分だけがアンバランスに伸びた状態を指す。
self-branching 【形】
分枝性が良い。分枝性がよい品種は、ひとりでに側枝を出して枝数を増やすので、密な株にしやすい。
short-jointed 【形】
節間が短いという意味。short-jointed な性質を持つ品種は密な株に仕立てやすい。
trailer 【名】
トレイラー、トレーラー:枝が軟らかく、自然にしなだれる品種を指す。ハンギングバスケットに向いている。日本語で「ハンギング・タイプ」と呼ばれるものは、この範ちゅうに入るだろう。
また、植物全般の話として、trailer や trailing というのはツル性やほふく性の植物を指す言葉である。

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耐暑性や耐寒性に関する用語

耐寒性、耐暑性を表す表現はいろいろあります。

どちらかと言えば暑さよりも寒さに関する表現の方が豊かなのは、やはりフクシアが冷涼地で広く育てられている植物だからでしょうか。

耐寒性およびその関連
cold-hardy、winter-hardy 【形】
耐寒性がある。 【名】は cold hardiness、winter hardiness。
cold-tolerant、cold-resistant も同義。
frost-hardy 【形】
耐霜性がある。【名】はfrost hardiness。
frost-tolerant、frost-resistant も同義。
霜の程度にもいろいろあるので、frost-hardyと書いてあっても、あらゆるレベルの降霜に耐えられるわけではない。
frost-tender 【形】
耐霜性がない(霜に弱い)。耐寒性がない。【名】はfrost tenderness。
half-hardy 【形】
半耐寒性の。
hardy 【形】
耐寒性がある。hardyは一般に丈夫とか強いという意味だが、園芸では、耐寒性があることを示す場合に単に hardy とだけ書くことも多い。
例: Hardy in England (= イングランドでは越冬できる)。
tender 【形】
耐霜性がない。耐寒性がない。前にfrost-を付けず、単にtenderだけで霜に弱い(寒さに弱い) ことを表すことも多い。
耐暑性およびその関連
heat-tolerant 【形】
耐暑性がある。【名】はheat tolerance。
heat-resistant、heat-hardy も同義。
sun-tolerant 【形】
直射日光に耐える。【名】はsun tolerance。

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開花特性に関する用語

日本語の場合、開花に関してよく使われる表現には、「早咲き」、「遅咲き」、「花付きがよい」などがあります。

一方、英語の解説書でよく見る用語としては、「early-flowering」、「floriferous」、「free-flowering」などがあります。
early-flowering 【形】
早咲きの。
floriferous 【形】
花が咲く。フクシアの場合、前に very や most などの副詞を付け、「very floriferous (花付きがよい)」とか「most floriferous (極めて花付きがよい)」などの形で使われることが多い形容詞。
free-flowering 【形】
free-flowering とは、いったん花を付けたら、シーズン中、途切れることなく咲き続けることを指す。「開花→開花終了→ふたたび開花」のような間欠的なパターンではなく、株が花で覆われた状態が長期間続く咲き方である。バラの咲き方で「自由咲き」と書いてある例を見かけるが、free-flowering の直訳かもしれない。

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栽培技術に関する用語

頻繁に使われる用語をまとめてみました。
「pot back」、「pot down」、「pot on」、「pot up」 といった植え替え用語は、栽培書に「この栽培書ではこういう意味です」と定義が書かれていることがあります。そのような定義があるときは、そちらを優先してください。
balanced fertilizer 【形】
6-6-6などNPKの比率が等量の肥料。
biennial 【形】
越年生の、2年生の。
フクシアの栽培でこの用語が出てくるときは、ある年の春〜夏に挿し木をして、その挿し木苗を1年育て、翌年に本格的に咲かせる方法を指す。
なんと言うことはない。気候の厳しい日本で、一般的に行われている方法である。
biennial method、biennial cultivation などの形で使用される。
compost 【名】
1. potting compost の略。鉢植え用の培養土。
2. 堆肥。
feed 【動】
施肥すること。例:Feed with liquid fertilizer (=液肥をやる)。
fleece 【名】
日本で売っているべたがけシートがこれに当たると思われる。
medium 【名】
用土、培養土。growing medium とか potting mediumの形で登場する。
overwinter、over-winter 【動】
冬越しさせる。
【名】 overwintering、over-wintering
pinch 【動】
摘心する。ピンチ(を)する。頂芽を摘み取ることである。目的は分枝数の増加や開花時期の調整。
剪定するはprune。

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pot back 【動】
鉢下げ:従来よりも小さな鉢に植え替えること。
pot down も同じ意味で使う。
【名】 potting-back
pot down 【動】
鉢下げ:pot back と同じ。
【名】 potting-down
pot on 【動】
鉢増し:従来よりも大きな鉢に植え替えること。
【名】 potting-on
pot up 【動】
鉢上げ:同じ容器で育てていた苗を、個別のポットに初めて植え替えること。
【名】 potting-up
shape 【動】
株を仕立てる。形を整える。広義な意味での「仕立て」である。
train 【動】
株を仕立てる。訳としては shape と同じく「仕立てる」だが、shape が最終目的で train はそのための手段に当たるだろう。
つまり、"You can train the fuchsia to shape it." である。
たとえば、支柱に沿って主幹をまっすぐに成長させ、スタンダードに仕立てたり、ファン(扇)やピラミッドの形に誘引したり、盆栽で針金を使って特定の樹形に仕立てたりする場合に、train という用語が使える。支柱を使わずブッシュに仕立てる場合でも、全方向均等に枝が伸びるよう鉢を回したり、締まりのよい株にするため水を控えるなど、注意深く株を作っていく。

【名】は training。

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増殖に関する用語

hardwood cutting 【名】
ハードウッド・カッティング。熟枝挿し。休眠枝挿し。
木質化した挿し穂を使う挿し木方法。
rooting hormone 【名】
発根促進剤。 形態により rooting gel、rooting power とも呼ばれる。
softwood cutting 【名】
ソフトウッド・カッティング。緑枝挿し。
木質化していない挿し穂を使う挿し木方法。

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病害虫に関する用語

対策は、転ばぬ先の杖 … と言えばよいでしょうか。
発生しやすいものについては薬剤の常備をお勧めします。

写真は Fuchsia rust つまりサビ病です。

写真提供:Mr. D. Luther
aphid 【名】
アブラムシ。
capsid bug 【名】
カメムシ科 カメムシ亜目 カスミカメムシ科の昆虫の模様。つまりはカメムシの一種。和名は不明。吸汁により葉が変形するなどの被害をおよぼす。
elephant hawk moth 【名】
ベニスズメ 。幼虫が葉を食害して丸裸にする。
駆除方法はおなじみ夜のテデトール。
fuchsia (gall) mite 【名】
直訳するとフクシア (コブ) ダニ。学名はAculops fuchsiae。和名は不明。
ブラジル原産。カリフォルニアでは深刻な被害をおよぼしている模様。被害を受けると、葉がグロテスクに変形し、表面に赤っぽいコブができるようだ。"fuchsia mite" などをキーワードに検索すると写真が見つかる。イギリスにもすでに上陸している。
ネット上ではすでに、mite-resistant な フクシア (= フクシアダニに強いフクシア) に関する記述が多数見られる。
gall mite 【名】
fuchsia (gall) mite と同じ。
gray mold 【名】 (または grey mould)
灰色カビ病。またはボトリチス病。
red spider mite 【名】
アカハダニ。
rust 【名】
サビ病。
店頭でも罹患している苗を見かけることがある。白っぽいオレンジ色の胞子が葉裏にあればコレ。買わない方がいい。
vine weevil 【名】
キンケクチブトゾウムシ。学名は Otiorhynchus Sulcatus
中央ヨーロッパ原産の模様。
コガネムシ同様、成虫が用土表面に産卵し、孵化した幼虫がフクシアの根を食べ尽くす。ネットで検索したところ、日本にもすでに侵入している模様。
whitefly 【名】
オンシツコナジラミ。

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その他

cultivar 【名】
園芸品種。cultivated + variety に由来。
forma 【名】
品種、フォルマ、フォーマ:種の下位分類の1つ。
この下位分類は上から順に 亜種 (subspecies)、変種 (variety)、品種 (forma)である。
f. と略す。f. はイタリック体等にしない。園芸品種の「品種」と混同してはいけない。
「属名 種小名」に続いて 「f. 品種名」 と続けることで品種であることを表す。
interspecific hybrid 【名】
インタースペシフィック・ハイブリッド、種間雑種:2つの異なる種の交配によりできた雑種。
John Inne's Compost 【名】
イギリスの培養土の名前。1930年代に John Inne Institute で開発された。ピートモスベースではなく、ソイル (土) ベースで、タネまき用、鉢上げ用、一般用など数種類がある。John Innes Manufacturers Association (ジョン・インズ製造業者協会、JIMA) というのがあり、そのサイトによれば、協会に加盟しているメーカーがこのコンポストを製造できる。メーカーごとにブランド名があり、たとえば、ウェセックスというメーカーが作ったものは 「WESSEX John Inne's Compost」 となるもよう。
scientific name 【名】
学名。種 (しゅ) の学名は 「属名 + 種小名」で構成される。
種である Fuchsia magellanicaFuchsia は属名でmagellanica は種小名である。
学名は、他の文字とは異なる字体を用いることで区別する。
このサイトではイタリック体を使っている。
属名が自明の場合、イニシャルだけでもよい (例 F. magellanica)。
section 【名】
節:属の下位の分類。
種 (しゅ) である Fuchsia magellanica は アカバナ科 フクシア属 ケルシア節の種である。
species 【名】
種 (しゅ)、スピーシーズ:生物分類上の基本単位。
たとえば、Fuchsia magellanicaFuchsia magellanica という種名を持つ種である。種のことは、一般的に原種と呼ばれることが多い (種だけでは短すぎて舌足らずな感じがするからだろうか?)。
subspecies 【名】
亜種、サブスピーシーズ:種の下位分類の1つ。
この下位分類は上から順に 亜種 (subspecies)、変種 (variety)、品種 (forma)である。
ssp. または subsp. と略す。ssp.も subsp.もイタリック体等にしない。
「属名 種小名」に続いて 「ssp. 亜種名」 と続けることで亜種であることを表す。
たとえば、Fuchsia microphylla ssp. chiapensis は亜種である。
variety 【名】
変種:種の下位分類の1つ。
この下位分類は上から順に 亜種 (subspecies)、変種 (variety)、品種 (forma)である。
「属名 種小名」に続いて 「var. 変種名」 と続けることで変種であることを表す。
たとえば、Fuchsia magellanica var. molinae は変種である。
var. はvariety を意味するラテン語 varietas の略。var. はイタリック体等にしない。
なお、variety と書かれていても園芸品種 (= cultivar) を指している場合があることに注意。

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(2009年11月4日)
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