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BOY&GIRL


9




※またしても8話から話が飛びました(汗)
9話は女の子になった元は男の子ヒカルの話です。いい加減にしろって感じですね・・;


 
対局相手が「負けました。」といった瞬間オレは一瞬体が元に戻ったような
気がした。


だが実際にはヒカルはまだこちらの世界にいて女のままだった。

それを確認するまでもなく大きくため息をすると
ヒカルは急に体の調子が本調子じゃない事に気づいた。

全身のだるさ・・・急に緊張が解けたからっていうのじゃなさそうだ。

対局中はまったく何も感じなかったのに。
なんだろう?この体の違和感みてえなの。



オレは小林プロに耳打ちするように感想戦は断って対局室を飛び出した。
間の悪い事にそこで塔矢にばったり出会った。

『塔矢今日来てたのか?』
そう心の中で思ったが言葉に出来なかった。
ダメだ・・・なんか気持ち悪いし腹まで痛くなってきた。

「進藤いい手合いだったよ。解説をしてた僕も・・。」

塔矢が言いかけた言葉をなぎ払うように小さく「ごめん」とだけ言い残して
その場を立ち去ったあと、後から出てきた小林プロが塔矢にオレの調子が
悪い事を話したみたいだったけどオレは今はそんな事に構えなかった。


逃げるように昨夜から使ってる部屋に戻って着替えようとして
オレはその時になって 自分の体の変調の原因に気づいた。

下着に染み付いた血。これって昔保健体育でならったあれ?
けどこんなに体がだるいのか?お腹が痛いんだ。


オレはあたふたするだけでどうしていいかわからずとりあえずあったハンカチで
押さえたがそれはみるみるうちに広がっていった。

こんなじゃどうしようもないか。

そういえば母さんが『あんたは男でよかったね〜。煩わしいものがないから』
とかってしんどそうに横になってた事があったよな?

オレは無意識近く携帯電話を握って覚えていた電話番号を打った。

こんな事を聞けるの母さんだけだし・・って
こっちの母さんはオレの母さんと言えるかどうかわかんねえけど。
それでも 今頼れる相手は母さんぐらいしか思いつかなかった。

携帯に電話するとすぐに返事があった。

「あらヒカル?対局おわったの。」

オレは内心ホットした。電話番号が一緒だったってのもあったけど
母さんはやっぱりオレの母さんだって思えたんだ。

「うん。対局はなんとか勝った。それでなオレ・・・その出血してしまって・・。」

「出血ってまさかどこか怪我したの!?」

驚いたように聞き返えされたので俺はひどく慌てた。

「違うんだ。その・・何も用意してなくて困ってて。」

実際は「どうしていいかわからない。」と言いたかったんだけど
女として育ったらそういうことはわかるはずだろうから
さすがに聞けなかった。

「あらそうなの。」

受話器の向こうの母さんは慌てるでもなく苦笑していた。
けれどオレはそんな母さんすらいつものお袋だって安心できたんだ。

「ヒカル昨日持っていった鞄の内ポケットの中みて。
いつも余計目に入れてるでしょ?そこになかったら・・。」

母さんの指示を聞きながらオレは大急ぎで鞄をあけた。
ポケットティシュだと思い込んでいたものは違うものだった。

「あったよ。かあさん、それでこれどうすればいいんだよ。」

「どうするってヒカルあんたわからないわけじゃないでしょ?」

オレはそれを広げてみて何となく使い方がわかったような気がした。

「あっごめん、わかった。さんきゅな。」

「ヒカルそれよりあんた、体の具合は・・・?」

母さんが何か言いかけたが状況がひどくなったのをみてオレは慌てて電話を
切った。

そうしてオレはトイレに駆け込んでこの騒動にひと段落がつくまでに
1時間近く費やしたのだった。




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やはり男女で体が入れ替わると言えばこのネタを入れないと(苦笑)
10話はこちら世界のままです。

      
                           
2006・8



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