ヒカルは仮面をつけられ牢の中にいれられていました。
そこへやはり仮面をつけたオチがやってきました。
「僕は黄泉の国の神コウスケ。
お前を想い慕い闇へ落ちた守護神セイジの姿をみるがいい。」
暗闇の中にセイジの姿が浮かび上がりました。
セイジはたった一人で底のない暗闇へ囚われていたのです
「セイジ!!・・・黄泉の神よ。私はセイジを助けたい。
どうすればいい?」
ヒカルが問うとオチが言いました。
「セイジはその瞳の光を失い足も手ももはや動かすことはできない。だが、お前の体を差し出せば助かるやもしれん。」
「わかりました。私の目を手を足をどうぞあの方の元へ届けてください。」
ここからは台本はありませんでした。でもヒカルには台詞が
手に取るようにわかりました。
オチは立ち上がると姿を鳥へと変え大空へと舞いあがっていきました。
それを見て仮面の男が立ち上がりました。
「さて、そこにいる小さきものよ。オレと一緒に来るがいい。」
サイは突然そう言われて驚きました。
ひょっとしてこのものにも自分の姿がみえるのでしょうか?
男が身を翻したので慌ててサイは仮面の男の肩にのりました。
そうすると男はすっと自分の手をサイに差し出しました。
「さあ、いこう。ようやくオレたちの出番だ。」と。
舞台の上は悲しみに打ちひしがれていました。
ヒカルが息を引き取ろうとしていたからです。
アキラがヒカルに語りかけました。
「なぜ・・・君は僕を置いていこうとする。
彼を選ぶというのか!!」
仮面の上からヒカルの頬を抱き寄せ涙を流すアキラは演技というには怖いほど真剣でした。
そこへ、仮面をつけた男が登場しました。
ですがその姿はアキラたちには見えないようでした。
やがてアキラは幕から消えスポットライトは仮面の男とヒカルに向けられました。
「お前がくれた目でオレはお前という光を探す事ができた。お前がくれた足でオレはここまできた。そしてお前がくれたこの手で今オレはお前を抱きしめている!!
すまなかった。オレは闇に囚われていたのだ。暗き闇に。
でもそれはもう一人のオレ自身なんだ。
そしてそんなオレもお前を愛してる。」
仮面の男の傍にもう一人影のように潜む男が立っていました。
そしてその男もやはり仮面をつけていました。
「目をあけてくれ。そしてオレを許してくれ!!」
ヒカルの仮面が外れた瞬間横たわっていたはずのヒカルはヨウキに摩り替わっていました。
観客は一体何が起こったのかわからなかったようでした。
ヨウキはその美しい瞳をゆっくりと開けました。そして
二人の仮面の男を交互にみつめました。
「長い間悪い夢をみているようでした。」
か細い声でしたがその声は凛として澄んでいました。
ヨウキは握り締めていたゴ石を差し出すと二人の仮面が割れました。
客席はざわめきました。
そして座間は心の中でなぜか胸を撫で下ろす自分がいる事に気づいていました。
舞台には国王ヨンハが二人並んでいたからです。
次の瞬間ざわめきは静けさにかわりました。
「オレは闇だ。だから消えなくてはならぬ。」
「何を言ってるんだ!!」
もう一人のヨンハが高々と声を張り上げました。
「オレの存在がお前を苦しめたんだ。」
ヨウキは静かにいいました。
「いいえ。違います。私はそんな貴方も愛しているのです。」
まさにこの時、客席もキャストもこの舞台に魅了されたのです。
そして座間も御器曾もコウヨウも桑原も皆この舞台に上がったものはただこの舞台を成功させたいというたった一つの気持ちになっていたのです。
その時ヨンハの肩が光り輝きました。
「サイ!!」
ヒカルにははっきり見えたのです。金色に輝くサイの姿が。
「ほほう。最高の舞台にしか現れぬという舞台の精が現れるとはな。」
桑原の言葉に一同は目を疑いました。
「あれが、舞台の精?」
和谷も伊角も伝説の舞台の精に目を奪われました。
そしてその妖精の姿は観客の目にも映ったのです。
ヨンハはサイに向かっていいました。
「お前は全能の神サイ!!」
「ええ。私は全能の神サイです。彼女に免じてあなたを人間にしましょう。
二人静かに幸せに暮らすがいい。」
サイの胸は震えていました。
何年ぶりいや何百年ぶりに舞台に上がっただろうか?
そしてその姿はだんだんと薄れていったのです。
「サイ!!」
「ダメだ〜ヒカル!!」
アキラがヒカルを止めました
まだお芝居の最中だったのです。
「ありがとう。」
サイはヒカルにそういうと消えていったのでした。
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37話は緋色担当でした。
今回はときめきメモリアルGSからネタを貰いました。
気づかれた方がいらっしゃるといいな〜。
そして緒方 アキラ サイの三つ揃え戦もようやく決着が・・・?
って誰もついてないですね(苦笑)
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