アキヒカ三銃士




34




     

ステージは上手くいくのでしょうか?


舞台に最初に現れたのは、見慣れた街角の風景でした。
大勢の人が行きかう賑やかな通り。

角々では大道芸が披露されていました。
和谷や伊角たちがその芸を思いっきり披露していました。


少しすると、伊角が舞台の真ん中に立ち、口上を述べました。

「遠い昔から、ここでは、ステージを崇め、最高の芸を捧げることが、ならいとなっていました。
この国の王は、ステージを守る祭司でもありました。
しかし、あるとき、国王は気付きました。
代々伝わる大切な守りが曇っていることに…。」


伊角が下がると、座間が舞台に登場します。
和谷はすれ違いに呟きました。
「あんたがこんないい役で出るなんて。」
「端役の小僧が。 ほざくな。 私はステージを極めた男だ。」
座間はそう言って、ぎろっと、和谷を睨みました。


舞台の上で、座間は、老いた役者を演じていました。
「私は世界中を捜し求めてきた。ただ、最高のステージを作りたいと…しかし、私は疲れた…」

流石に一派をなすほどの男でした。
存在感は圧倒的でした。

舞台裏では、和谷が、まだぶつぶつ言っていました。
「座間がステージを求める求道者の役なんて、何だかなあ。」

「僕は、どちらかというと、緒方さんが、守護神の役だということこそ、ミスマッチな気がしますね。」
芦原があけすけに言いました。
「おい。芦原。今だけは大目に見てやるが、これは俺にぴったりな役どころなんだ。いいか、俺はヒカルの守護神だからな。」

緒方は、しつこく間もなく出番となるヒカルに念を押しました。
ヒカルはかなり緊張していて、上の空で頷きました。

「でも芦原さんの言うことも一理あるかもですね。」
アキラはそういって緒方を見ました。
烏帽子を被った緒方は、只でさえ背が高いのに、ひどく目立ちました。

「緒方さんには、魔法のランプの巨人とかが似合いそうなきがしますね…。僕は。」

「ふん。諦めの悪いことだ。いいか。俺はヒカルのパートナーなんだ。」
「それは単にこの芝居の中だけですよ。」

アキラと緒方は、舞台の袖で、睨みあっていました。

なんだか前途多難な芝居の始まりです。
こんなで、上手くいくのでしょうか?

ヒカルは、言いました。
「止めてよ。 そんな言い争い。俺、せりふ忘れそうだよ。」

「大丈夫だ。俺は守護神なんだから、お前がとちったら、助けてやるぜ。」

「緒方さん。ヒカルはとちったりしませんよ。」
「ふん。アキラ君は座間の弟子の役をしっかりとするんだな。」

そうこうしている内に、ヒカルの出番となりました。
ヒカルは深呼吸をすると、つぶやきました。

『サイ。 じゃあ、行って来るから…。』

ロイヤルシートにいるサイにはその声が聞こえました。

『ヒカル、どこにいようと私はあなたの守護妖精ですからね。
でも舞台を作り上げるのはあなた自身なのです。』


その声が届いたのかどうか、舞台の上に出たヒカルは。何故かとても落ち着いていました。



34話はさびる様担当でした。

お芝居しながら権力?派閥争いになってます(笑)
次回は役者も観客も心を一つにするようなお芝居の構想を練ろうと思ってるんだけど前途多難だな〜


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