アキヒカ三銃士




35




     

さて3幕目の舞台がクライマックスに達していました。
守護神役の緒方がベットで眠るヒカルの傍に立ちました。

「オレは【光】が目指す舞台の守護神としてただ道を示した
だけだ。
あいつが光ならおれは影。
共に歩む事は出来ないのだ。
オレは日のあたる場所へはいけない。
ならばいっそこの手で彼女を闇へと封じ込め光をわが手
に・・・。」


苦悩する緒方がベットに近づくと天蓋のついた
ベットの影が美しい女性の姿から老いぼれた爺の姿に
かわりました。


「愚か者めが。恋におぼれて本来の自分を見失いよって!!
ワシとともに地獄へ来るがよい。」

緒方の声は怒りで震えていました。

「鬼神クワバラ、きさま、光をどこへ!!」

「さあのう。彼女の行く場所はひとつしかなかろうて。」

緒方が飛び掛ろうとした瞬間クワバラは老体と思えぬほどに
高く軽く舞台を飛び上がりました。

「セイジよ。わしと一緒に地獄までくるか?お前と一緒なら
ワシも楽しい冥途の旅が楽しめそうじゃ。」



緒方は「光!」という絶叫を残したあと3幕目の幕が閉じました

客席は舞台に見入られたようにただ静寂が包んでいました。





4幕目は華やかな舞踏会から始まりました。
アキラはこの国の王子の役でした。

「光 おいで。」

アキラに手を差し伸べられヒカルが中央へと招かれると
一同が一斉に引き頭を下げました。

緊張した面持ちのヒカルを観客は演技だと思っていました。


中央には国王役の御器曽が座っています。。

「明、おめでとう。お前も今日で17歳。光を正式に明のフィアンセとして王室に迎え入れることを認めよう。」

「はい。父上、私は光と共に、この国を舞台の発展のために
全力を尽くします。」

そういうとアキラは婚約のしるしとして対のゴ石の片方をヒカルに渡しました。

一同が祝福を祝う中、ヒカルだけが影を落としたように暗い表情をしました。

朝から【セイジ】がいないのです。
どこを探してもいないのです。
一緒に舞台を追求しようといったセイジ、
どこにも行かぬと約束したはずの彼が・・・。

そのときです。

舞台に騎兵隊たちがドタドタと足を踏みいれました。
騎兵隊は伊角と和谷 芦原たちでした。

「陛下 大変です。」

「コウヨウ殿がこられて。」

「光様にはなにやら企みがあると・・。」

口々に訴えたあとにコウヨウが舞踏会へと足を踏み入れ、
精鋭の兵士たちがアキラとヒカルを囲みました。

「光殿。あなたは毎夜 どこぞのものとわからぬものたちと
密会しているといううわさがたっておるがいかがなものか?」

ヒカルはそれには応えませんでした。
かわりにアキラがヒカルをかばいました。

「コウヨウ あなたは 光をわが妻とすることを阻止せんが
ため光を謀るつもりか?」

コウヨウはその存在でアキラを威圧しました。

「ならば、見えもせぬものの声を傾聴し、愛するようなものを
王子は妻に迎えられるつもりか?」


アキラは父と同じ舞台に立つだけでぴりっとした冷たい感覚が舞台全体に広がっていくのを肌で感じていました。

「知らぬわけじゃない。たが、それでも僕は光を妻として・・。」

「王子認めましたな。」

アキラがはっとした時には遅く、ヒカルは騎兵隊たちに手を引かれて連行されていきます。

「光!!」

「明!!」


そして華やかな舞台は暗転し、一人の男が登場しました。
それはあの1幕目に登場した舞台の追求者の座間でした。

我が舞台はどうなるのであろう?
我が旅はどこにいくのであろう?
我が舞台に光はさすのであろうか?


この舞台はサイの示した道しるべなのです。



35話は緋色担当でした。
私はお芝居を見たことは殆どなくて(苦笑)空想の絵空事です。
でもお話を書きながら思い浮かべた舞台はエリザベート。
いつかみてみたいな〜
そしてそれとは別に皆の気持ちが一つになって貰うためにキャラたちに
本気モードになってもらいやした〜。作者の一人としても次回が楽しみ♪


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