サイはヒカルの元を離れてもやはり心配で物陰から
様子を伺っていました。 なんだかんだいいながら自分が一番ヒカルに必要とされたい
と思っていたのかもしれません。
自分を探し回るヒカルの姿に胸がいたくなってサイ
は何度も外に飛び出していきそうになりました。
でもそれでは、ヒカルは成長しない。
苦悩していると気づかぬうちにサイが隠れていた
木箱が運び出されました。
運んでいる相手はヒカルではないだろうけど・・
「芦原持ってきたか?」
聞こえてきた声はあの白スーツの男の声でした。
「はい。緒方さん。この衣装一度通してみてください。
まずいようだったら急いでやり直しますから。」
箱を開けた緒方は、ん?と首をかしげました。
「どうしたんです。緒方さん。」
「いや。妙なものが入ってるなと思ってな。」
緒方はサイの首根っこを持ち上げるとぶらりと揺らしました。
『まさか、この男も私が見えるとか?』
芦原が箱を覗きましたがそこには衣装しか入っていません。
「やだなあ。ひょっとしてゴキブリですか?」
緒方はしかめ面をして芦原を怒鳴りました。
「芦原、お前はオレにゴキブリが食ったような衣装を着ろという
のか!!」
「いや。すみません。そんなつもりは・・・。」
「ならいい。俺は衣装を試着するからお前は部屋からでてろ。」
横暴な物言いで芦原を追い出した後、緒方はサイを改めて みました。
「人形かと思ったがそうではないのか?ほのかに温か
さがあるな。しかも芦原には見えなかったようだ。」
サイは人形のふりをしようとしましたがそれを聞いて出来な
くなりました。
まさかヒカルに続いてアキラやこの男まで私が見えるとは。 これは一体どういうことなのでしょう。
しかも以前までは確かにこの男には私は見えなかったと
いうのに。
サイはみながヒカルという存在に引き寄せられたような気がしました。
ヒカルの才能はまだ原石で未知数ではありましたが・・・。
『私はステージの妖精。ロシナンテ・サイです。』
「お前があのゴ石の・・・伝説の妖精だというのか?」
『いかにも・・・。』
サイは自分が今ここにあるいきさつを緒方に話したのでした。
一方気持ちを取り戻したかのように見えたヒカルはアキラと
舞台から夜空を眺めていました。
それは最後の舞台練習でした。
「本当にやるんだな。」
「ああ。ココの舞台は全天候型の舞台で天井も開放できる
ならさ。・・・入れなかったお客さんにも見てもらうことができる
だろ?」
「サイが来るかもしれないと思ってるのか?」
「うん。オレは一番あいつに見て欲しい。どんなに客がいても
あいつがいたらわかるような気がするんだ。もうオレにサイといる資格がなくなったんだとしてもな。」
「なら僕はそんな資格なんていらないな。」
アキラは誰もいない客席にむかうと熱っぽく語りました。
「君と一緒である事に資格なんていらない。
そのかわりずっとこの舞台で君と上を目指す。
誰もが笑顔になる舞台をつくるのに、きっと終わりなんてない。」
「アキラ・・。」
「最高の舞台にしよう。明日の舞台は父も緒方さんも桑原本因坊も座間もそして姿を消した陛下も同じ舞台にたつ。」
アキラは舞台から降りました。
「僕たちはようやくスタート地点にたったんだ」
と言う言葉を残して。
31話は緋色担当でした。
サイのいない間に二人は(笑)
そしてお邪魔なサイは緒方さんといいかんじ?←おいおい;
いやまあそう旨く行かない所がリレーの良い所。次に期待です(爆)
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