アキヒカ三銃士




26




     

緒方が、地下牢のところへ着いてみると、アキラが一人だけ牢に放り込まれていました。
さて、どうしたものか?
緒方が考えていると、座間が来ました。

「緒方君。 囚人が逃げ出したそうだが。おや、一人は逃げてないのか?」
そういって牢を覗いて、座間は吃驚しました。

「何故? ヨウキの弟がいるのだ?」

「さっき話を聞いたのですがね。 ヨウキ殿はもう感ずいてるのですよ。アキラ君は頼まれてここへ来たようですが、たまたま捕まったようで。」

「ということは? 逃がしたのは、この小僧じゃないのかね。」
アキラは耳を澄ましていましたが、しかし賢明にも口を挟みませんでした。

「私の推測ですが、おそらく囚人たちは、勝手に逃げ出したのです。 ここの地下牢を間違えずに脱出などそう簡単にはできませんから。 おそらく自分が連れてこられた道を覚えていたのでしょうな。一緒にあの方も連れていったのは… 」

「何故だ?それでどうする積もりかね。」

座間は持っていた扇子を齧りながら聞きました。

緒方はふふんと笑いました。
追いつめられてるな。

「アキラ君は、ここから出さなければいけませんな。もし、逃げた者が、あの方の素性を知って、騒ぎを…」
「そ、それは困る。 今騒がれては。」

「アキラ君がヨウキ殿のところへ戻らなければ、きっとヨウキ殿は、何かされるでしょうな。どうするか分かりませんが。」

「それでゴ石は?」

「囚人が持って逃げましたよ。多分。でなかったら、あの仮面だ。目だって逃げられないでしょうが。」

「ど、どうすれば。」
「さあ。私にも。とりあえず私はアキラ君を頂いて行きますよ。ちょっと、ヨウキ殿の様子を見てきましょうかね。」
アキラは黙ったまま、緒方に連れられて、ヨウキの間へ向かいました。

座間は、歯軋りしていました。
あまり噛み過ぎたので扇子はボロボロでした。
今日はとりわけご機嫌が悪い。 
兵士たちは戦々恐々としていました。

「おい、御器曽を呼べ。」
「今、港のほうへ手配に向ってます。 
逃げ出した者がT国へ向う可能性があります。」

肝心な時に、まったく。
全く、どいつも役立たずだ。
しかし、よくよく考えると、緒方が一番怪しいのでは?
あいつは誰とくっついているかわからん。
平気で乗り換えるからな。
今回のことを仕組んだのも、あいつかもしれん…。

さて、つけられているとも知れず、ヒカルたちは、隠れ家へ着きました。
皆熱心にリハーサルの最中でした。


ヒカルの話を聞いた和谷はすぐ言いました。
「塔矢ってさ。自分勝手にスタンドプレーをするからな。
皆が迷惑するのさ。」
「それでも、俺たちは無事戻れたよ。」とヒカルは言いました。

陸力は落ち着いて言いました。
「あの緒方という人がキーマンですね。信じましょう。私たちは私たちでやるべきことをやるだけです。」

「そうよ。時間もないのよ。リハーサルを続けましょう。」

サイは、その言葉に嬉しそうにヒカルに言いました。
『さあ。ヒカル。あなたが一番に練習が必要なのですよ。
今までは私の力で何とかやってきましたけれど、そろそろ自力でやらねば。』
『ちぇっ。威張ってんの。』
そういいながらも嬉しそうに芝居の中に入っていくヒカルでした。


さて、お城では。
ヨウキは驚きました。
「アキラさん。 それに 緒方さん。 あなたまで…。 なぜ?」

緒方はヨウキを見て、慇懃にお辞儀をしました。
「ご無沙汰してますな。 結婚式以来ですかな。」



26話はさびる様担当でした。緒方さん相変わらず食えない
感じです。
さすがと言うべきか〜
こういう緒方さんを見ると燃える(萌えるではなく)んです〜(爆)




目次へ

27話へ