アキヒカ三銃士






     
タバコをふかした男はそのまま舞台裏へと向かいました。
あまりにその態度に違和感がなかったので
舞台裏で大道具を任されているキミヒロ(筒井)も関係者じゃ
ないかと思うほどでした。

カーテンコールも終え控え室に入ろうとしたアキラは
彼の姿をみてあからさまに怪訝な表情をしました。
彼はアキラにとって招かざる客だったのです。

「久しぶりだなアキラくん。こんなしみったれた小屋で
舞台に立っているとは。」

「緒方さん ここは控え室ですよ。関係者以外
の立ち入りはお断りしているはずです・・。」

それだけいうとアキラはもう用はないとばかりに
部屋へ入ろうとして緒方に腕を押さえられてしまいました。

「久しぶりなのに随分とつれないじゃないか。
君にとって悪い話じゃないんだ。少し外にでないか?」

アキラが周りを見回すと心配そうにこちらを見ていた
芦原と目が合って小さく息をつきました。

「わかりました。次の公演も控えているので少し
なら・・。」

緒方はわざと裏通りの人ごみのない場所に
アキラを連れ込むとゆったりとタバコをくわえました。

でもその眼鏡の奥の瞳は鋭く容赦のないものでした。

「いつまでこんな事を続けるつもりだ?」

「なんの事です。」

「芝居のことさ。あんな猿芝居をまさか
アキラくんが演じているとは・・・これではコウヨウ先生
も・・。」

「僕は猿芝居とは思っていません。そんな事を言う
ためにわざわざ来られたのなら引き取ってください。」

声を荒げたアキラを緒方は冷笑しました。

「違うな。わざわざこんな所まで来てやったのは
こんな小さな芝居小屋をつぶすのはオレにとっては
造作もないことだと教えにきたのさ。」

「なんだと!」

飛びかかろうとしたアキラの腕をやすやすと掴むと
緒方は壁に押さえつけました。

「この細い腕を折れば次の舞台も出られないだろう。
ここはお前だけで成り立ってるような舞台だからな。」


緒方はそのままアキラを思いっきり突き飛ばしました。

にぶい音をたて路地裏にあったゴミ箱にアキラは
後頭部をぶつけよろめきました。


その時です。
たまたま通りかかったヒカルとサイはその物音に
気づいて路地裏で倒れてるアキラに駆け寄りました

「おい!!大丈夫か、お前・・。」

ヒカルはアキラを突き飛ばした緒方をにらみつけましたが
緒方はヒカルには一瞥もせず背を向けたのです。

「まあ〜せいぜい踏ん張ることだな。」

そういい残して立ち去った緒方にアキラもヒカルも何も言い返す
事ができませんでした。



3話は緋色担当。なにやら緒方さん怪しげな言葉を
並べてますがアキラくんとの関係は?まだまだなぞは深まります〜。




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