ヒカルの碁パラレル 暗闇の中で 

暗闇の中で14


 


アキラの足音と電灯の光にいち早く反応したのは、テント前で待っていた
ヒカルだった。

「アキラか!?」

「ああ、僕だ」

「バカヤロウ、勝手に、1人で行きやがって!!」

駆け寄ってきたヒカルが数歩というところで立ち止まる。
胸が高鳴り、抱き寄せてしまいたい衝動に駆られた。

「佐為が行くな、『アキラを信じて待って』って言うから!!」

ヒカルの体がわずかに震えていることに気づく。
もたげた顔に怒りとともに安堵もしたのだろうと思う。
アキラは構わずヒカルに腕を伸ばしていた。

「すまない」

アキラはこみ上げてきた想いで、懐中電灯を地面に置きヒカルの肩をそっと抱いた。

「なっ、勝手なことばっか」

恥ずかしさからか、闇の中でもヒカルは顔を反らし、胸の中わずかにもがく。

「君の声を聞いたら僕も安堵した。少しでいい」

そう言ってヒカルを胸に抱くと抵抗はなくなった。
この腕に閉じ込めてしまいたくなる。掻き抱き、自分だけのものにしたい。
沸きあがった想いに、夜の言った一言がアキラの脳裏にまためぐる。

ヒカルは自分からさっさと離れ、顔に両手を充て『ああーもう』と声を上げた。
それが照れ隠しであり、安堵もしたのだろうという事はアキラにもわかった。

「それで、報告は?あいつらと話をしたんだろ?」

「ああ、話はテントでしよう」






テントに戻り、アキラは夜の話をヒカルと佐為に伝えた。

「夜とらんは『人外のもの』を『人にする』実験の検体にされていたんだ」



一瞬言葉を失ったヒカルが、『けど』と語気を強めた。

「あいつらはそれを手に入れたんだよな?」

ヒカルはそう思いたかったのだろう。

『そうは一概にはいえないのではないでしょうか?その相沢というものが何を考えているか
わからないではないですか』

「佐為のいう事もあるけど、相沢も人外のものなんだろ?
相沢の事は組織に報告して、草の根分けても探して捕まえねえと。
それでアキラはあいつらの事、組織にどう説明つけるつもりなんだ?」

「そのことなんだけど、僕はここで行われていたのは人工的に
人をヴァンパイア(人外のもの)にする実験施設だったと報告しよう
と思う。
もちろん相沢という男の事もわかる限りで伝え、追ってもらう。
そうすれば空と直の保護も出来るだろう」

それに関心したのは佐為だった。

『なるほどそれなら辻褄が合いますね』

「それだと空と直が、組織で調べられるんじゃねえのか?」

詳しく組織が調べられたら空と直がヴァンパイアや、サキュバスだったことが明るみに
なる可能性は確かにあった。

「僕もその事を考えたんだけど、佐為が『空』と『直』を人だと認識したのなら大丈夫
じゃないだろうか?」

アキラの問いかけに佐為は頷いた。

『彼らの存在ははっきりとした意識を持っていて、私には人にしか見えませんでした』

「それに彼らには生殖機能があるんじゃないか?」

ヒカルが苦笑して、つられてアキラも苦笑しそうになったのを押さえた。

「ああ、まあ、確かにそうだよな」

アキラはあまり昨夜の話を持ち出したくはなかったが、それはアキラが感じていた
疑問の一つでもあった。
一般的にヴァンパイアに生殖機能はない。

人外のもので、生殖機能があるのは人狼ぐらいだと言われてる。ただ人狼は極端に
少ない上、狼に姿を変えられる性質上、組織でも存在の把握すら出来てない。

だが夜とらんは交わり、射精をしていた。
見ためだけなのかもしれないが、人としての体躯をもしくわ
近いものを、彼らは精神と同時に持ち合わせてもいるのだと思う。

ひとしきり話をした後は安堵して、二人がテントの灯りを落としたのは明け方にも近い
時間になっていた。

佐為は念のためと二人の寝てる間は外に出るのがこの島に来てからの習慣
になっており、テントを出て行ったのを確認してアキラがヒカルに声を掛けた。





「ヒカル?」

穏やかな寝息にもう寝入ってしまったかもしれないと思う。

「まだ、何かあるのか?」

声を掛けたものの応えられず、迷いが過ぎる。

「佐為には聞かれたくねえ、話なんじゃねえのか?」

「そうだな」

「佐為は外に行ったぜ?」

アキラは今しがた入ったばかりの寝袋から出て起き上がる。

夜に『後悔するぜ』と言われた言葉が先ほどからずっとアキラの中で回ってる。
『ここは無人島で逃げ場もない』

その声が頭の中でぐわんと響く。


「ヒカル!!」

アキラは話をするためアキラの方を向いていたヒカルに飛びかかっていた。

「アキラ!?」

突然の事にひるんだヒカルの唇を塞ぐ。生温かな感覚と柔らかな唇に
体中の熱が一気に駆け上がる。
この瞬間アキラはもう後戻り出来ない事を悟った。

寝袋の中でもがくヒカルを全身で抑え込む。幸いにも暗闇と寝袋のせいで
ヒカルは自由に見動くことさえできずにいる。

それでも暴れまわりアキラの唇を外したヒカルにアキラは今度は首筋に歯を充てた。
ヒカルがその瞬間硬直した。

「アキラ、まさか夜に!!」

「違う!!」

体全体は筋肉質なのに柔らかな首筋は確かに美味しそうだった。

「じゃあ何で!!」

「君が好きだから」

「な、オレは男だ。サカる相手じゃねえだろ!!」

「好きになったらそんなこと関係ない」

お互いに怒鳴りあいながらアキラはヒカルの先ほど美味しそうだと思った
ヒカルの首筋に思い切り噛みついた。

「つ、痛ぇ」

暗闇で痛みに歪む顔は見れなかったが、ヒカルの喘ぐような声に満足し、
寝袋の中に腕をまさぐらせる。

「アキラ夜の気に充てられちまったのか!!」

「違うと言ってるだろう」

確かに少し充てられた。それに否定しながらそういうことにしてもいい、と醜く
思うアキラもあった。
だが、ずっとこうしたいと思っていたのだ。
狭い見動きの取れない寝袋の中の攻防。

「ヒカル、ここには逃げ場はない、諦めろ」

「されるままでいられるか!!」

「僕のせいにすればいい!!」

アキラはそう言ってヒカルの寝袋の中無理やりにたどり着いたそこを優しく撫で上げた。

(ひゃぁ )

声こそ挙げなかったがヒカルが息を飲み、アキラの手から逃れるように身を捩る。
すでにそこは硬さを持っていた。

「アキラ、止め・・・」

ここまで来てやめるつもるはさらさらなかった。

「僕のせいでいい。すべて・・・」

耳元にささやき、抵抗が少なくなったのを確認して寝袋のジッパーを外す。
ヒカルの抵抗はあるかもしれないが、これで邪魔なものもなくなった。

シャツをまさぐり、肌に唇を這わすと、もっと、と欲望がもたげてくる。
夜の言った『ここには逃げ場はない』、という言葉が何度も頭に巡る。

ヒカルが、欲しい、しゃぶり付くし全てを自分のものにしてしまいたい!!



「ヒカル!!」

逃げることも抵抗もかなわぬ、とみたヒカルはただ必死に感じないように目を
つぶり、下肢に力を入れていた。
だがその力も時折、震え落ちる。そこがヒカルの弱い箇所なのだろう。
下着を引き下ろすとヒカルがバタバタ暴れが、この無人島でその姿でテントを出るのは
自殺行為もいいところだ。

体をずらし、ヒカルの下肢を抑え込み、それを口に含んだ瞬間ヒカルの
下肢は震え、力が抜け落ちたのがわかった。

「バカそんなところ!!」

それでも逃げようとするヒカルの腰を抑え込み、吸い上げ、舌で特に過敏な窪みを
撫でる。
抵抗を試みながらも、快楽に誘われるヒカルの姿は美しく、アキラの欲情をますます
募らせ、残虐な気持ちさえ芽生えてくる。

もっと、もっと、君が欲しい!!



アキラは沸き上がる欲情のままヒカルを自分のものにした。




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えっと・・・(滝汗)    
次回更新前に
先にお客さまに謝罪しておきます。すみませんm(__)m