ヒカルの碁パラレル 暗闇の中で 暗闇の中で8
佐為が『先に行って様子を見てきましょう?』と言ったが、ヒカルは首を横に振った。
この状況で、彼らの様子がわかってもどうしようもない。 角を曲がるとあの部屋だろう、薄明かりが漏れていた。 そんなものあの部屋に、この施設にあったろうか? 廊下を進む度、『カツン』『カツン』と響く靴音に心臓がバクバク音を立てる。 後10メートルというところまで来て、 部屋から『ああっ』というくぐもった声が廊下に響く。 アキラもヒカルも一瞬足を止めたが、そのまま進めた。 部屋に近づくにつれ声は大きくなりヒカルは思い当たった想像に顔を染めた。 『まさか、違うよな?』 だが、まさにそれは喘ぎ声で、男とも女ともとれるその声はなまめかしく 揺れていた。 「ダメ、だって、そんなにしたら、」 はっきりとした声に含むような笑い声が混ざる。 「いいくせによ。もっと腰振って絞ってみろ!」 パイプベッドが軋む音までする。 昨日ヒカルが横になっていたあのベッドしかない。 ヒカルの体が緊張で強る。アキラだってそうだろう。 握って汗ばんだ手はどちらのものともわからなかった。 だがもしそういう最中なら、見逃してはくれないだろうか? そんな甘い考えを吹き飛ばしたのは アキラがヒカルの手を放し、ヒカルを置いて速足でほぼ全壊したその部屋の入り口に 立った時だった。 部屋の中を見てわずかに頬を染めたアキラが謝罪する。 「無粋を許して下さい。あなた方の邪魔をするつもりはなかったのですが」 「へえ?なかなか度胸あるじゃねえか、お前ら組織の差し金だろ?」 中の男の声は凛としたよく通る声だった。 アキラと中の男が話をしている間にも、喘ぎ声は激しくなり、パイプベッドの軋む音 は続く。 「お楽しみ中だって見りゃわかるだろ?何の用だ?」 足が震えて思うように動かない。 だが、今このままアキラだけ行かせたら後悔すると、ヒカルは気力だけで進みそ の部屋の中を見た。 わずかに灯されたあかりがスポットライトのように、その「者」を照らす。 腕をロープで縛られベッドに四つん這いにされていたのは、女性とも 男性ともつかない中性的な容姿のヴァンパイア。 赤みがかった長い髪が揺れ、それと同じ色の瞳は涙で潤んでいた。 わずかな光の中、その『美しい獣』に吸い込まれる。 ヒカルが不味いと思った時には目が離せなくなっていた。 『あの炎の中にいた子供だ』、と直感で感じた。 そうして、馬乗りになり凌辱していた青年は、その一瞬で目に焼き付くほどの整った 顔立ちと肉体であった。 典型的にヴァンパイアは人目をひく美しい容姿と言われてるが、この二人は 対照的ながらそうだった。 「しょうがねえな」 荒々しい声を上げた後、 彼は舌打ちしてヒカルとアキラが見ている前で挿入していたそれを引き抜いた。 「ああっ!!やあ!!」 甘い声を上げロープと体をしならせたのが、男だとわかったのはそれを見て しまったからだ。 トロトロと流れ落ちたのが精液だとわかり、ヒカルは顔を真っ赤にさせた。 見てはいけないと、思いながらも、どうしても目が離せないのだ。 男はそんな様子をにやにや笑いながら、そばにあった上着を羽織る。 その時に全裸でありながら左腕に白い包帯を巻いていたことに気づく。 ヴァンパイアが怪我で包帯を巻いているとは思えなかったが。 「で、オレたちに何の用って?」 「君たちはヴァンパイアなのか?」 「そんなことを聞くためにわざわざってか?」 「すみません」 素直に謝ったアキラに笑う。 「まあいい。オレは『ヴァンパイア』。で、らんは『サキュバス』だ」 「サキュバス!?」 「知らねえわけじゃねえよな?人を誘惑して精を搾り取るんだ。 お前らを襲うつもりでいたみてえでよ。オレというものが、ありながらだぜ? それで今念入りにお仕置き中ってわけだ」 思わず苦笑いしそうになったのは、ヴァンパイアだという青年が、嫉妬で恋人に お仕置きをしてるという図を想像してしまったからだ。 だが、あながち、間違いでないようだった。 そう話をしている間も、『らん』というサキュバスの胸と双丘を唇と指で弄り始める。 「や、見られてるんだよ、よる」 「たまにはこういうのもな。刺激的だろ?」 そういいながら、らんの双丘をまさぐり、指を押し入れた。 「あああっ、ダメだって夜!!」 『ぐゅちゅぎゅちゅ』と耳をふさぎたくなるような卑猥な音に、らんの口元から 甘い嗚咽が何度も漏れる。 体の奥が熱くなり思わず唾をごくりと飲んだことにヒカルは羞恥を感じた。 夜は口元に笑みを浮かべ、まるでヒカルとアキラを挑発し見せつけてるようだった。 意識してはいけない、と思いながら変な気持ちになる。 アキラはこんな状態だってのにヴァンパイアに果敢に話しかけた。 「どうして君たちはこの場所に?」 「さあな、ここだと、誰も来ねえからな」 そういった後、『けどな』と彼は付け加えた。 「もしお前らがオレたちの事を告ったらどうなるかわかってんだろうな?」 「それは僕らが何もせずこの島を立ち退いたら何もしないという事だろうか?」 「さあてな、」 その返答の意味を測りかねていると、少し怒ったようにヴァンパイアが言った。 「で、お前らいつまで覗いてるつもりだ? まあオレたちがヤるの見て、相当来てるようだしよ。 ヤリたきゃ、空いてる部屋は沢山ある。二人でよろしくヤレって、 オレもらんも邪魔しねえよ」 「なっ」 流石にそれにはアキラも狼狽いしたようだった。ヒカルも 思わず隣のいるアキラを意識してますます体が熱くなったような気がした。 だがここから退散するには絶好の機会だった。 「すみません。また伺います」 礼儀正しいアキラはそう言って、深くお辞儀する。 この二人がおれたちを襲う気はないことは、なんとなく今の会話で理解出来た。 「わかってんだろな?」 よく通る声はヒカルとアキラの心まで浸透する。 投げかけられた言葉の意味はわかってる。 ヒカルは彼らに試されてるのだろう、と思う。 →暗闇の中で9話へ ちょいっと一服 いきなりエロいお話になってすみませんm(__)m すきしょ!の『夜』と『らん』、はもうまんまこんな感じです💦 まっ原作からして18禁BLゲームですし(滝汗) 夜のCVは子安武人さん らんは山口勝平さん。大ベテランのお二人が 演じてらっしゃいます。
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