If ・・・(もしも)
  3章 番外編 2人とフタリ




※私のお話の中ではエロい方だと思います。ご注意を。
またリバっぽい所もあるので苦手な人はご注意ください。


オレ(真一郎)が相沢の仕事を手伝い始めたのは自然の成り行きだった。

働きもしねえで、ただ飯食ってるだけなんて性に合わねえし。
何か少しでも相沢の役に立ちてえって気持ちや、その想いに報いてえとも思った。
どうせ戻られえ記憶を追いかけるぐれえならせっかく助かった命を生きてえとも
思い始めていた頃だったし・・。

オレはまだ体が思うように動かねえ頃、ベッドの上で相沢が書いた書籍をいくつか
読んだ。
化学に興味ねえやつが読んだら数行読んだだけで眠くなるような代物だが
オレは意外に興味をひいた。
特に化学式は数式とよく似通っていて、数式以上に予想せぬ結果が
導き出された時は相沢に尊敬すら感じた。

オレはいつしか相沢の研究に興味を抱くようになってた。
そうなると体が動くようになった今じっとしてることなんて出来なかった。



当初オレが「相沢の研究に手伝いてえ」って言った時、相沢はそれを渋った。

相沢の言い分は「真一郎が生きているとバレる恐れがある。」ってことだった。
ことに研究所の中にはオレの事をよく知ってるものもいるらしく、
正体がバレてしまうとも限らないと何度も相沢はオレに抗議した。

けど、んなこと言ってたらいつまでたってもオレはこの狭い空間だけで生活しなきゃならねえって事だろ。

「何のために命を助けられたのかわからねえっ、」てオレがそういうと
相沢はようやくいくつかの条件をつけてオレが研究に手伝うことに同意した。

なんだかんだ言っても相沢はオレの良い理解者だって思う。
そしていつだって相沢はオレの想いを一番に優先してくれる。

オレは本当に相沢に愛されてるんだっていつも感じてる。




初めて相沢の仕事を手伝うことになった日、オレは初めて研究所内に立ち入った。
最新の設備が厳重なコンピューターシステムの管理の下、地下に張り巡らされてる・・・
そんな印象だった。

その日研究所内でオレは変装することもなく普段通りだった。
相沢もそれに特に何も言わなかった。
けどこれだけダダっ広い研究所内だってのにオレは相沢以外のやつとは誰一人出合わなかった。

「相沢、まさかここにオレとお前だけってことはねえよな?」

疑問に思ったことをそれでも小声で言うと相沢は苦笑した。

「そういうのが真一郎の望みなら叶えてやってもいいが、」

オレは「うっ」と言葉を詰まらせた。
相沢がいうと冗談じゃねえ気がするんだよな。
マジでオレの為にここを貸切にだってしちまいそうだった。

相沢に連れてこられた部屋の表書きには「A−C2」となっていた。

部屋は薄暗くひんやりとしたコンクリの床に金属で出来た機器のようなものが
数台並んでいた。
その奥の棚には薬品が所狭しと並んでるから、実験室ではあるのだろうが・・。

なんとも冷やかで薄暗い部屋の持つ雰囲気と
おおよそ人が使う道具と思えない代物にオレは眉を寄せた。

ここで何をしようっていうんだ?

オレが怪訝な表情でそれらをもう1度観察していると
相沢はぞっとするほどの冷笑を口元に浮かべていた。
そんな相沢をオレは知らなかった。

「相沢!?」

「真一郎、私の実験に付き合うと言ったな、」

「言ったけどよ。一体ここは何だ?実験って何だよ。」

「ここは私の実験室の一つ。実験と言うのはお前のもう一つの人格を
引き出す事だ。」

「オレのもう一つの人格」

「そう、お前は2重人格者だった。」

「オレが二重人格??」

初めて明かされた事に半信半疑のまま問うと相沢はニヤリと口元を緩めた。
オレは相沢の方がよほど2重人格なんじゃねえかって思った。
この部屋に来てから人が変わったように相沢の表情が、纏っていた
雰囲気がガラっと変わった

「どういうことだ?」

「そのままの意味だ。お前は二重人格者だった。
二重人格と言ってもお前の場合、医学的の狭義としては
二重人格といえるものではない。
医学的にいう二重人格は個々に記憶を有し独立している。
だがお前はもう一つの人格とも記憶を共有していたし人格交代してもお前の意識
はしっかりと保たれていた。
それは特異なケースともいえる。
そして私はあの日お前が目覚めて以来もう一人のお前とは会っていない。」

相沢は淡々とした口調だった。
その口調からウソじゃねえって事はなんとなくわかった。
だがそんな事を急に言われても実感はわかなかった。

「それで・・もう一人のオレってどんなやつだ?」

「冷淡かつ冷酷、その上陰険な数学教諭・・・水都真一郎だ、」

オレは思わず「うっ」と言葉を詰まらせた。
なんかすげえ最悪なやつっ?

「んなの出てこねえほうがいいんじゃねえのか?」

正直にオレがそういうと相沢はオレのあごを引いた。

「私は彼を愛していた。お前と同じぐらいにだ、」

瞳を捕らえられたその告白はまるでオレを通してもう一人
のオレに言っているようだった。
なんとも言えぬ想いがオレの中に渦巻く。

「けど、今は出てこねえってことはもうオレの中にいねえって
ことかもしれえねえだろ。」

「確かに。あの時、お前を助けるために消えてしまったのかも
しれない。だとするとそれは私のせいだ。」

そう言った相沢は悲痛に顔を歪ませた。

「相沢・・・。」

ますます胸の中にしこりが出来ていくような気分だった。
オレはこれは嫉妬だって事を わかっていた。
おれ自身に嫉妬を抱くって妙な感じだけどな・・。

今もオレの瞳を捉える相沢にオレは自らキスをし、舌を割りいれた。
そうすると相沢はそれが気に入らなかったのかオレに挑むように噛み付いてきた。

「痛え!」

ぬるりとしたものが伝ってきてオレはそれを拭った。
そうすると相沢はオレの手を取った。

そうしてまるでオレのすべては相沢のものだと教えるように相沢は指の一つ一つからその血を
綺麗に舐め取っていった。

背筋がぞくりと震えてオレは相沢から手を引いた。


「わかったって、実験につきあえばいいんだろ。けど、んな陰険なやつ甦っても
オレは責任持たねえぜ?」

「望むところだ。お前もろとも私のものにしてやろう。」



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なんだかすごいことになってきました(笑)
すきしょ二次小説多くあれど相沢×水都はうちだけでは??