If ・・・(もしも) 2章 夜と空 1 「七海ちゃん?!」
オレの裏返った声に七海ちゃんはくすっと笑った。 こういうときオレは七海ちゃんとの歳の差や経験の違いを感じちまう。 七海ちゃんはいつだって余裕があってなのにオレはすぐに 快楽におぼれちまうんだ。 「ん・・・。」 くつろげたズボンから七海ちゃんがオレのものを引っ張り出す。 それを丁寧に指で襞をなぞりながら七海ちゃんの唇がチュっと先端に触れる。 そうされるだけでオレは電流が流れたような感覚に襲われて全身が震えた。 「七海ちゃん・・。」 七海ちゃんは躊躇なくそれを含むと指と舌で上下に動かした。 「空くん感じますか?」 含んだまま聞いてきた七海ちゃんの声は妙に艶やかで色っぽかった。 「うん。すげえ、気持ちいい・・。」 正直に白状すると七海ちゃんはまたくすっと笑った。 やっぱりオレだけが余裕をなくしてるみたいでそれがすごく許せない。 「七海ちゃん!!」 オレは七海ちゃんをオレの体から無理やり引き離した。 「空くん?」 急に七海ちゃんの顔が不安気にゆれる。 オレは胸がぎゅっと痛くなる。 「七海ちゃん、」 オレはそのまま七海ちゃんをぎゅっと抱きしめるとそのままベッドに押し倒した。 「今日は駄目ですよ。」 そういった七海ちゃんの表情には先ほどの影はもうなかった。 それにオレはほっとした。 「・・わかってるって。けどオレ七海ちゃんに気持ちよくなってもらいてえから・・。」 オレは七海ちゃんのジャージに手をかけた。 『・・・・ちゃん、オレは七海ちゃんがすげえ大切で、大切で。 絶対もうあんな思いをさせたくないんだ。 オレと七海ちゃんはお互いのキズをなめ合ってるわけじゃない。 だからわかってくれるよな?』 その晩オレは結局寮監室で泊まった。 隣の七海ちゃんの肌の温かさに感じながらオレは思考の奥へと 意識をもぐらせた。 七海ちゃんとこういう関係になってからオレはちゃんと夜と話し合ってない。 本当は兄ちゃんにも言わなきゃいけないんだけどそれはどうしたって できねえことだから、せめて夜にだけはちゃんと言っておきたいと思った。 薄暗がりの中小さな部屋が無数とも思えるほどに並んでる。 夜の管理するオレの記憶だ。 「夜、どこにいるんだよ。出てこいよ。」 夜は、オレが奏司さんのマンションから飛び降りようとした時 以来、表には出てきていない。ひょっとするとオレが寝ている間なんかに 出てきているのかも知れねえけど、少なくともオレが知ってる限りでは そんな様子はない。 何度も夜を呼び出そうと試してみたんだけど夜が表に出てくることはなかった。 それでもオレはオレの中に夜がいることを感じてた。 それがどういうことなのかは大方見当はついていた。 夜はオレの精神ダメージを受け持ってくれてるんだ。 あんなことがあったのにオレが今笑って立っていられるのはそうなんだと思う。 いつも夜は自分ひとりで背負い込んでオレには何も言ってくれねえから本当の ことはいつまでたってもわかんねえまんまだけど。 「夜!!ここにいんだろ?オレの声聞こえてんだろ!!』 いても立ってもいられない気持ちになってオレは大声で叫んだ。 そうしたらオレの後方でいきなり声がした。 「・・・たくよ、いきなりオレの敷地に入ってきたと思ったらてめえはうるせえんだよ。」 背後から聞こえた声はいつもの夜の声でオレはすげえほっとした。 夜はいつだってここにいる。 「あっ悪かったな。その寝てたのか?」 なんといっていいかわからなくてオレがそういうと夜が頭を?いた。 「いや、お前と七海がヤッてる所をじっくり見てたぜ。なかなかやるじゃん?」 オレは思わず噴出した。流石に夜というべきか。久しぶりに会ったのに 突っ込みどころがそっちなのかよ 「なっそんなのは見てみぬふりしろよ?」 「いいじゃねえか。それよりオレを心配して来てくれるなんて空もいいとこあるじゃねえか。」 「そんなんじゃねえよ。」 「だったらオレに抱かれにきたとか?」 意味深に言われてオレはカッ~となった。 「バカやろう、一人でヤってろ!!」 オレがそういうと夜は「空もいうようになったじゃねえかっ」ってオレの頭をぽんぽんと撫でた。 しかも子供にするようにだぜ? 「またガキ扱いしやがって。」 オレは夜を睨んだが夜は笑っていた。 本当の所、夜にからかわれるのは嫌いじゃねえ。スキンシップだってそうだ。 けど・・夜はどうなんだろう? そう思った瞬間オレは夜の大きな胸に抱き寄せられていた。 「オレも空を抱くのは好きだぜ。」 オレの心の中を勝手に読んだ夜は臆面もなくオレの耳元でそうつぶやいた。 はっきりいってそんな臭い台詞を素面で吐けるのは夜ぐらいのもんだ。 「夜、オレお前に聞きたいことがあってここに来たんだ。」 夜と空2へ 2章は次で終わりになります。 夜空はなんか書いてていいな~と思う緋色です(笑) 今回この二人はそういうシーンはありませんが(笑) |