ハニーが大人になるまで 7 そんなことを考えていたのつかの間で、急にオレはもそもそと下半身を
動かした。 もちろん芥にはわからないようにのつもりだけど。 こんな時に・・・って、アルコール類に水をたらふく飲んだからだ。 オレは横目でちらっとバスルームに目を向けた。 おそらくあれはスモークガラスだと思う。(丁度便座の所 だけここから見えなくなってるし) けどあんなところでトイレするなんて。 そうは思っても生理的な現象は止めようもなくオレは顔を青くした。 オレの心の葛藤なんて全くしらないだろう芥が涼しく言った。 「どうかしたのか?」 「えっあははは、」 オレは頭を掻いて誤魔化した。 でもいつまでも我慢できるもんじゃねえし、オレは前を押さえたいのを我慢して ソファから勢いよく立ち上がった。 「・・芥、オレ、トイレ、」 芥の顔を見ないようにずんずんとバスルームに向かって・・。 けど手に取るようにここからでも見えるバスルームとトイレに 躊躇してオレはやっぱり振り返った。 「芥、見んなよ。」 芥は返事のかわりに呆れたように短くため息をついただけだった。 「か、芥って絶対、絶対覗くな。覗いたら絶交だからな、」 言ってしまった後自分がひどく子供になったような気がした。 「ああ、わかった。」 芥の返事を聞いてからオレがトイレに駆け込んだ後、 芥が抑えていた笑いを噴出したことなどオレは知らない。 オレが一息ついてから戻ると芥は神妙な顔をしていた。 「あの、芥?」 芥はあからさまにため息をついてからオレに話しだした。 「それで、あの男に何を吹き込まれた。」 問いただされるだろうとは思っていたしあの状況をみられて 誤魔化せねえだろうこともわかってる。だからオレにできるのは 正直に話すことだけだ。 「綾野ちゃんと香野くんには血縁関係はねえって 話しを聞いた。」 「それだけか?」 オレは頷きたかったが鋭く睨んだ芥の瞳はまるでオレの心の中まで 覗いているようだった。 オレは誤魔化すことができなかった。 「香野は綾野ちゃんの大切な人の子なんだって。 けど綾野ちゃんの大切な人はもう・・・いねえって」 「そんな胡散臭い話を間に受けたのか?」 「胡散くさくなんてねえだろ。」 「だったら学、お前はその男の代わりをしてやるつもりだったのか、」 「・・そんなんじゃねえって。」 言い返した後、オレは今日綾野ちゃんとの食事が 香野の代わりだったことを思い出した。 けど、あの時はしょうがなかったんだ。 自分に言い訳するようで学は嫌だったけど、でもやましい気持ち なんてなかったとはっきり言える。 「・・・何をされた。」 ぞっとするほど冷たい声だった。 オレはごくりと唾を飲み込んだ。 「・・あんな状況みたら信じてもらえねえかもだけど、オレは 綾野ちゃんは本気じゃなかったって思う。 まじでオレを抱く気はなかった。」 「なぜそう言いきれる。」 芥はオレの首筋に触れてきた。 「あの男に許しただろう。」 芥の指がうなじからゆっくりとコートに降りてくる。 それは綾野ちゃんに触れられたところと同じ場所だった。 「なんで・・・そんなの知って、」 オレはそれではっとした。
なぜあの場所の事を芥が知っていたのか、 ひょっとして芥はオレの事どっかで見張っていたんじゃねえかって。 芥の手がコートのホックで止まる。 パチンと音がしてオレはぎっと芥をにらみつけた。 「芥、あの場所の事どうやって知った?」 オレは芥の手を押し返すように握った。 反抗的なオレに芥の苛立ちが見て取れた。 けど、そういうのってオレ、ヤだから、 だってそりゃオレは確かに騙されやすいかもしれねえし 人がいいってよく言われるけど素行を監視されるなんて 嫌だって。 芥に信じてもらえてねえみたいじゃねえか。 芥は眉間に皺を寄せた。 「何を勘違いしてる。 オレはお前の携帯に電話をした。何度掛けても繋がらないし そのうち切られて、電源も切られた。」 「えっ?」 そんな事オレの全く知らないことだった。 「それで?」 「何かあったのかも知れないと、GPSでお前のいるところを粗方 割り出した。 あのホテルは綾野の病院と連携してる。まさかと思ったがどんぴしゃ ってことだ。」 そういった後、芥の腕の力が強くなった。 「じゃあ・・なんでオレが綾野ちゃんにされたこと・・、」 「黙れ。」 芥は低くうめくように言うとオレの首をしめるようにコートを締め上げた。 「かい、」 息が苦しくなってオレは酸素の足りなくなった魚のように唇を震わせ た。芥が激しくオレの唇を奪った。その瞬間締めつけていた指も手も首から 離れていったがそれがオレの下半身へと伸びていった。 「やっ」 重ねられた唇のままドンドンと芥の胸に抵抗を試みたが芥はびくともしなかった。 コートがたくし上げられてオレの中心に芥の手が伸びてくる。 『うっ」 オレは芥を突き放そうとしたけれど力が入らなかった。 芥の指が完全にオレのモノを捉えてにぎる。 「矮小だな。」 ようやく解放された唇から囁やかれた芥の台詞がそれだった。 全身が熱が駆け抜けていくように熱くなる。 「オレが気にしてるの知ってるくせに、」 芥は片手でもすっぽり収まるそれを弄ぶように手の中で 転がす。 「やめろって、」 全身の血がそこに集まってるんじゃないかってほど敏感に なっていく。 「いいくせに、」 芥の声が上擦ってる。 芥のいいようにあしらわれてるって わかってる。 でも抵抗できねえんだ。 心で抵抗しても体は求めてしまう。次の快楽を、もっとして欲しい もっと欲しいって求めちまうんだ。 そんな浅ましい自分が嫌だって思うのに、あがなえなくなってく。 ハニーが大人になるまで8話へ あはは、何って言いますか、こんな所で続きにしてすみません;緋色
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