続・フラスコの中の真実 16



※ 16話学視点に戻ってます。

無理やり起こされたオレの体は芥の行為に追いつかない。
心は応えたいって思ってんのに・・。


オレは手足を縛られて動かすこともできなかったけど気持ちだけは
芥を抱きしめられるように芥の舌を受け入れた。



芥の苛立ちや怒りをみてわかったんだ。
芥と教授があんなことヤッてたってのは本当のことだって。

けどその行為はきっと合意の上じゃなかったんだ。
一方的に教授からされてたか、弱みを握られてたとか。
理由まではわかんねえけど。

芥にとっては思い出したくもねえことだったはずで、
だから同じ目に合ったオレに、自分自身を重ねてやり切れねえ思いを
ぶつけてるんだ。

貪るように吸っていた舌が離れそうになってオレはそれをもっと
乞うた。

『ガク!』

唾液を啜る音とともに芥の声が口内で響いた

「あっ。うん」

互いに絡みとるようにまるでそれだけで一つに合わさってしまったように唾液も
息も交換して呼吸はドンドンと荒くなってく。そこまでが限界だった。
オレの意識は朦朧としてとうとう芥に応えることができなくなって離れちまったんだ。

「芥・・・オレ芥の事好きだぜ。芥にだったら何をされてもいいって思ってる
けど・・限界みたい。」


もう駄目だとばかりに目を閉じると芥がぎゅっとオレを抱き寄せた。


『・・・芥、』


芥が固定していた紐を解いてオレは
だらりと落ちるように芥にすべてを預けた。

芥の腕の中でオレは本当の眠りについたんだ。










目が覚めた時やっぱり体の芯が熱かった。

昨夜からこんなのばっかだなって眠っている意識で思う。
オレはまだ夢の中にいるみたいに
混濁してて、体が思うように動かなかった。

また薬使われてるとか?


重い目をうっすらと目を明けると芥の白衣と
窓から入ってくる眩しい日の光が目に入った。
オレは内心ほっとした。

芥はオレにはもう無断で薬は使わない。
そう約束したし・・・。
けどなんでこんなに体が熱いんだろう?
体の芯は熱いのに腰に触るものは妙に硬くて冷たかった。

確かめるように手でそれを確認すると
それはオペの時に使う鉄の椅子だったんだ。

この椅子は足が自由に開くように設定できるやつで、
オレは芥の前で大きく足を開脚させられていた。
これじゃあさっきの状態とかわらないじゃねえ。


「・・起きたか。まだ眠っていろ。」

オレが身動きしたので目が覚めたことがわかったらしい芥がそういったけど
体の芯が疼いてもう1度寝ることなんてできそうになかった。

「な・・・芥、これ何だよ。」

オレの声は風邪をひいたときみてえに擦れてた。
芥は腰を下ろしてたから椅子に座ってる俺からは何をしてるのか
見えなかったけど、そこに指を射れてるのだけは確かだった。

オレはその芥の指の動きに翻弄されて腰を微かに振っていた。

「ああっ・・・やだ芥・・・・。」

芥はチッと舌打ちして忌々しげにそこからそれを引き抜いた。
その瞬間ぬるっと熱いものが体内からあふれ出たのがわかったんだ。

「ひゃあ・・」

感じないようにしようと思っても体が勝手に反応していた。

「芥、何してんだよ。ヤメロって!!」

もう1度芥に抗議をしたがそれには答えず芥は
またそこに指を進入させた。今度はさっきと違って冷たい液体だった。

「い痛い・・芥!!」

芥は薄いビニール手袋をつけてたんだ。いつもオレとHする時そんなの
使わねえのに。

しかもその手袋は研究する時薬品から手を守るために使うやつだったんだ。
オレを薬品の検体にするつもりなのかと思ったんだけど、
床に流れ落ちた雫の残骸でオレは芥のしてることの意味がようやくわかったような
気がした。

芥は泣きそうなほど顔を歪めて必死にオレの中にある
モノを掻きだしてたんだ。
芥は耐えられなくなったんだ。
オレの中に教授の精液があることが。
だからオレが意識を失ってる間に今にも泣き出しそうな顔で
こんなに必死にやってたんだ。

オレは見てはいけないものをみて、
寝たふりしていたかったけど痛みと胸に溢れてくる想いと
いろんなものがごっちゃになって涙がしらずしらずに溢れてきていた。


「芥、ごめんな。」

オレはそういうしか他に言葉がみつからなかった、
オレがそういったことも芥には聞こえなかったみてえに行為は終わらなかった。


「芥、オレがさっき言ったことマジなんだぜ。芥にだったらオレ何をされてもいいって。」

この時になって芥はようやく顔を上げた。

「同情か?」

「違うっていってるだろ。」

オレは脚を開けたままの状態だったけど羞恥心より何よりも芥が欲しいと思った。

「芥、・・してくれよ。」

溢れくる涙が次々と流れ落ちてきて芥がそれをすくってくれた。

「ガク、お前はオレのものだ。今までもこれからもずっと。」

「うん。」

うなずいた時、視界の芥の姿がぼやけた。

脚を大きく持ち上げられたその時になってオレはずっと以前・・子供の頃
これと同じことがあったことを思い出したんだ。


『ガクお前を愛してる』と言った人。
今の芥と同じように白衣を着たその人はオレのかけがえのねえ大切な人だった。

絶対忘れちゃいけないことだったのにオレはずっと忘れてたんだ。

ううん。今だってうる覚えでその人が誰だったかなんてわかんねえ?


そう自分自身に問うて『いやそれも違う』って首をふった。
オレは本当はその相手が誰だかわかってた気がするんだ。



芥が深く貫くように俺の体の中に割って入ってきて、オレはその背にしがみつく様に
腕を伸ばした。


「ガク、お前を愛してる。」


切羽詰った声があの時のそれと重なってく。
オレはただ「うん」って頷くことしかできなかった。



                                   続・フラスコの中の真実最終話へ

あとがき

内容が似通っててくどくなってますm(__)m
学一体何度こういう目に合ってるんでしょう〜。
そして今度こそ最終話となります。
7月中に完結なるか?