ウェディング狂奏曲 8 7話から場面が変わってます~(苦笑い) 空と祭を追って直が教会に入ろうとした時、一台の車が止まった。 車を運転していたのは広夢がモデルをやってる会社の社長の 潤だった。 助手席から広夢が降りると潤が直に気づいてププっとクラクションを鳴らした。 直がそれに会釈すると車はゆっくりと教会から離れていった。 潤は仕事の都合が付かず結婚式には参列できないのだ。 直は車から降りてきた広夢がまるでたんぽぽのようだと思った。 広夢が着ていたのが黄色のふわっとしたドレスだったというのも あるが、広夢の笑顔がまさにたんぽぽそのももだったのだ。 「おはよう、直くん!!今日はいっぱいおめでとだねっ。」 その笑顔のまま広夢は直に抱きついた。 「あっ、うん。広夢くん。それにしてもすごい衣装だね、」 「へへっ似合う?昨日撮影が長引いちゃって事務所に泊まったの。 それで昨日の衣装そのまま借りてきたの〜。」 それで潤さんに送ってもらったのだという広夢は直を抱きしめながら 直のあちこちに手を伸ばした。 「ちょっと広夢くん?どこ触ってるんの!!」 「もうそんなの聞かなくてもわかるでしょ。 直くんのお・し・り。いい触り心地だなって思って。 でももうちょっとぷにっ〜てしてる方が空くん喜ぶよ。」 「な、な、何言ってるの!!」 顔を真っ赤にした直に広夢はいたずらが成功した子供のようにへへっと笑った。 広夢に気づいて祭と空が教会から戻ってきた。 祭なんて抜け目なく二人にカメラを向けてる。 きっと広夢と抱き合っている写真も撮ったのだろう。 そう思うと直は盛大にため息をもらした。 だが広夢はそんなことお構いなしのようで今度は空に向かって走り出した。 「空先輩!!久しぶり」 「広夢?」 広夢は勢いよく空の胸に飛び込んで空は慌てて広夢を抱きかかえた。 もう少し遅かったら支えきれず2人共倒れになっていたところだ。 「なんだか今日の空先輩すごくカッコいいよ、僕惚れ直しちゃったかも。」 顔をかすかに染め至近距離でそんなことを言われると流石に空も広夢を意識して 顔を染めた。 広夢は飛び込んだ勢いのまま空の顔に唇を近づけた。 「ひっ、広夢?!」 だがそれは触れる前で止まる。 広夢がクスっと笑いを漏らした。 「ヤだな〜。ひょっとして空先輩期待した?流石の僕も直くんの前で そんな大胆なことしないよ。」 後ろでそれを聞いていた直が「んんっ」って咳払いする。 広夢の言い方だとまるで「直がいない時にはヤッてます。」って言ってるように 聞こえた。。 空がそれは大きく誤解だと言う前に祭が言った。 「空ってそんな不誠実な男だったんだね〜。知らなかったよ」 相変わらずカメラを構えたままの祭はニヤリと意味深な笑みを浮かべてる。 「なわけあるか!!祭、写真も撮るな〜!! ほらっ広夢も、じゃれつかねえの。」 「空先輩つれないの〜。」 広夢はがっかりしながらようやく空からようやく離れた。だが転んでもただでは 起きないのが広夢だ。 「空先輩、そんなに『不誠実』だと僕が直くんもらっちゃうのねえ。 僕この間直くんと同じベッドで一夜を明かしたんだから。」 「一夜を明かした?」 広夢におちょくられているのだろう事はわかっていても空は聞き返さずにはいられなかった。 後ろで直が「違うっ!!」って反論していたが広夢はそれを無視して言葉を続けた。 「そうだよ。直くんったら夜寝る前はこんなだったのに朝起きた時はこ〜んなに なってたんだ。僕びっくりしちゃったの〜。」 広夢は指で長さを示すように、伸ばしたり引っ込めたりして説明してみせた。 それが本当かどうか知ってるのは本人と空ぐらいのもんだろう。(もしかするとらんも知っているかもしれないが。) 直はあまりの事にフリーズして酸素の足りない魚みたいに口をぱくぱく引き攣らせた。 「藤守大丈夫か?」 空が声を掛けるとようやく我に返った直は真っ赤な顔をしておもいっきり空をぐうで殴った。 「痛え、藤守いきなし何すんだよ。」 「うるさい、バカ羽柴!!」 ボコボコ直に殴られて空は一体オレの何が悪いんだ〜と 嘆きながらも直の気がすむまでそれを受け入れた。 広夢はそんな空と直を眩しそうに見つめていた。 9話
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