『碁遊記』〜第二話〜小さな親切大きなお世話?〜








そしてアキラ王子の下心たっぷりの計画が発動した。

用意周到でヘリを手配し、3匹のお邪魔虫妖怪と愛するハニ−を区分した。

何と言う出費だろうかと疑問視されるが、彼の親父である緒方牛魔王が日本に遊びに行った時、宝くじを当てた。

ヒカル三蔵に連敗中だった彼にとっては、とんだ拾い物でありそれから贅沢な家庭となった。

それから息子も態度がでかくなり、自称王子様を名乗っている。

痛くも痒くもないはした金が、ハニ−のお役に立てることを願っている健気なアキラ王子。

しかしとんだ食わせ者なヒカル三蔵は

(よだれが出てるって。ム−ドもへったくりもないお前に絶対堕ちてやるもんか!)

伊勢海老やタラバガニ。世界三大珍味・・5つ星レストラン。

食い倒れツア−真っ青な展開に持ち込んだ。

ヒカル三蔵に腹八分目はありえない上、其処まで400人前食べなくては行き着かない。

ブラックホ−ル級の胃袋を持っており、アキラ王子は付き合うだけで酔っていた。

「中々な食べっぷりで奢る僕も鼻が高いよ・・」

ヒカル三蔵の胃袋と反比例して引っ切り無しに動かされ、燃料がなけなしになりつつあるヘリ。

芦原操縦士も疲労の為か、リボビタンを片手に飲み始める。

そんな有様を知ってか知らないでか、食い続けるヒカル三蔵。

(一体何時になったら告白出来るんだ?僕は・・トホホ・・)

疲れたようにアキラが言うと

「ところであの3人はいま何所にいるんだ?」

「ああ・・彼らね。彼らは精進料理に舌を打っているよ・・多分。」



「不公平やんか!なんで雑食の人間(三蔵)にええもん食わして、俺らはベジタリアンなんや!」

「本当だ!これじゃ手抜きの八戒の料理の方がましだって!」

「ごめんな(怒)手抜きで!材料の段階で誰かさんが食べるからこうなるんだ!」

殺気立ち収集がつかなくなっていた。

見事に肉料理が見当たらない施しに、恩など皆無だった。

「「「覚えてろよアキラ王子。ヒカル三蔵が許しても俺らが許さないからな〜!!」」」



危うし!アキラ王子!

しかし全国のアキラ王子ファンは君を応援している・・多分・・






ようやく腹一杯になったヒカルをアキラが下心を持ってねぎらう。

「お腹一杯になったら眠くなっただろう。風呂にする、それともベットがいい。君の仲間たちは僕の城へ向かったがこの近くのホテルをとってもいいんだよ。」

アキラの下心などヒカルにはとうにお見通しだ。

「俺だけホテルなんてやだよ。俺もあいつらと一緒で城でいい。」

アキラにとっては同じ事。

自分のアジトに戻るもホテルを取るのもヒカルを懐に入れるにのはたやすいことなのだ。

「わかった。ヘリを用意しよう。」

大型ヘリの後部座席はふわふわの起毛で、ヒカルは疲れた体をそのソファーに埋めた。

しばらくすると満腹とここ数日の疲れからソファの中でうとうとと眠りに誘われた。

 こくり こくりと隣で眠るヒカルがアキラの肩に体を預けてくる。

アキラはヒカルの肩にそっと腕を回した。

触れる金色の前髪がやわらかく まだあどけなさが残る横顔は天使のようだと思う。

いつもこんな風に素直に身を預けてくれれば良いのに。

本当はヒカルもいつも憎まれ口を叩くほど僕のことを嫌ってはいないのだろう。

出なければ下心がある僕の前でこんなに無防備な姿はさらさない。

ほんの近くにある唇にアキラは指を伸ばす。

その指でヒカルの唇をなぞった。

ぷっくらとやわらかい感触にキスをしたいという欲望に駆られる。

だが、眠っているヒカルの唇を奪った所で満たされはしない事はわかっている。

ならせめて一時はこのままで

・・・だがアキラがそう決心したのもつかの間。



「アキラ ・・・すき・・」

突然ヒカルの寝言にアキラの心臓はこれ以上ないほど跳ね上がった。

うそだろう。まさか・・・

いやよ。いやよも好きのうちと言う事だろうか?

それともヒカルの深層心理は僕を求めているとでもいうのだろうか。

愛するヒカルに「好きだと」言われてそれでもキスをためらうアキラではなかった。

ばくばくと音をたてる心臓を押さえながらアキラは少し開いたヒカルの唇にそれを押し当てた。

やわらかく甘い吐息を交換してアキラは唇を離した。

「僕もヒカルが好きだよ。アイシテル。」

アキラはヒカルの耳元にそっとつぶやく。

「う〜ん。アキラ俺もう食べれない。 タラバガニもステーキも好き・だ・・・ごにょ むにょむによ・・・」



ようやくシリアスでいいムードになると思ったのに・・・・

「君は僕とタラバガニを一緒にするのか!!」



アキラの大音声がヘリの中でこだましたのだった。



そのころ牛魔王のお城では・・

精進料理(湯豆腐と湯葉)と、有り難くないたけのこ料理だけが今晩のディナーだった (ごくう)和谷 (はっかい) 伊角 (さごじょう) 社がアキラとヒカルの帰りを今か今かと待ち受けていた。




「あいつら帰ってきたら絶対ゆるさねえ〜!!」



                                     3話目へ

タイトルは流斗さんが後でつけてくれたものですが、なかなかうまく考えてるなって。私じゃ思いつかないです。