九年母の木

抱卵のツバメの番睦まじく
蒸籠の湯気噴き上げて柏餅
慰霊祭愛の詩届けつつじ添う
水溜り天も地もあるかとの国
不揃いの柏餅にも母の味
山間に緞帳のように藤の花
生命の化石の里や若葉風
柏餅羽釜の火たきし祖母想う
過去帳の横に供ゆる柏餅
母の手の温もりありし柏餅
餅見えぬほど広き葉や柏餅
退職の恩師に送る新茶かな
百歳を生きて病室バラの花
柏餅作り終えたる掌の火照り
風吹けば小梅音して降りにけり
濃淡の山々清し老いの会
訪ねたしふんわり牡丹咲きし寺
かとの世もいちびり居るか群れ乱し
母の手の皺思い出す柏餅
薫風やうたた寝している厠にも

ほかほかのご飯を握る春の朝
坪庭の春蘭小さき花咲かす
進む帆の巨き陽だまり春の海
スケボーで滑ってみたい春の虹
丹波路は山又山や春浅し
長閑なり記する事なし日記帳
三月分
三恵子
三恵子
純 子
純 子
弘 枝
弘 枝
光山寺だより  掲載
    大沢句会
句会
句会

大沢句会