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29.パソコンが遅くなった

●徐々にパソコンが遅くなる・・・何故?

パソコンを起動してから、サクサク動くようになるまでの時間がどんどん遅くなって、昔は1〜2分で立ち上がっていたのに、最近では10分以上掛かる。
又、立ち上げ完了後、買った時にはサクサク動いていたのに、最近妙に動きが重くなって、いつまで待っても回復しない。
と言う話を時々ネット上で目にします。

自分のパソコンは古いので、段々と遅くなるのは仕方が無いのだと思われているのなら、それは間違いです。
モニターの色が徐々にぼやけたり、ハードディスクの音が大きくなったりすることはありますが、処理速度が徐々に低下するようなことはまずありません。
原因は、パソコン本来の性能以上に負荷が掛かっているためです。

しかし、このような症状の原因は色々な場合があり、一概にこれが原因ですとは言えません。
複数の要因が組み合わさっているのかもしれません。
原因はパソコン毎に千差万別なのです。

では、ご自分のパソコンがこのような症状になった場合に、どうやって原因を特定すれば良いのでしょうか。
残念ながら、それを正確に診断してくれるツールは存在しません。
しかし、ご自分で調査し、原因と思われる要因を突き止める方法はあります。
その手順を以下に記述します。

●過負荷の原因を特定するための知識

パソコンの動きが重いのは、パソコン性能以上の負荷が掛かっているという原因は間違いありません。
その原因は大きく分けると、以下のように分類されます。

@ アプリがCPU性能以上の処理を要求している
A アプリが搭載メモリ以上のメモリを要求している
B アプリのハードディスクへの読み書きが多発している

●アプリがCPU性能以上の処理を要求している

アプリは新しい物程、自身が動作するパソコンの性能を高性能に見積もっています。
ですから、少しだけ古いパソコンであっても、CPUの性能をフル稼働しても処理が追いつかない場合があります。
特に、数万回以上の繰り返し処理を行う必要のあるようなアプリである場合は、CPUの性能を使いきりますので、他のアプリが動けない状態になります。

アプリ1つがCPU性能を使い切る程ではなくても、複数のアプリが稼動し、CPUを消費し合うと、CPU性能を使い切ってしまう場合もあります。

貴方が明示的に動作させていなくても、Windowsはサービスという名前の多くのアプリが起動しています。
サービスプログラムは、OS起動時に自動的に立ち上がり、見えないところで勝手に動作しています。
サービスプログラムは、貴方のパソコンを動作させるための、縁の下の力持ち的な動作を行いますので、サービスを停止させると、正常に動作しなくなる場合があります。
(WindowsXPの場合ですと、通常30本前後のサービスプログラムが動作しています)

しかし、サービスプログラム以外でも、貴方がインストールしたアプリが常駐しようとして勝手にOS起動時に立ち上がるように設定されることによって、貴方の気がつかないところで動作しているアプリが多く存在するはずです。
このようなアプリは、意地悪で自動起動している訳ではなく、サービスを素早く提供するために待機しています。
しかし、滅多に利用しないサービスであれば、止めておいても支障はありません。

●アプリが搭載メモリ以上のメモリを要求している

アプリは動作する際に、少なからずメモリを必要とします。
使用できるメモリが不足すると、OSが使用されていないメモリの内容をハードディスクに記録し、その分のメモリを要求されたアプリに割り当てようとします。
ハードディスクに記録した内容が必要となった場合には、メモリに読み込むために別のメモリ領域をハードディスクに書き込みます。
このような動作をスワップと言います。
スワップが発生しますと、メモリでの情報のやり取りよりはるかに低速であるハードディスクへの読み書きが発生するため、処理が遅くなります。

●アプリのハードディスクへの読み書きが多発している

メモリは電源が切れると全ての内容が消えてしまう揮発性ですので、忘れてはいけない内容は、ハードディスクにファイルとして書き込む必要があります。
しかし、ハードディスクへの読み書きが頻発すると、ハードディスクへの読み書きに時間が掛かりますので、処理速度が遅くなります。
また、複数のアプリが同時にハードディスクへの読み書きを要求すると、OSはリクエストされた順番に処理を行いますので、後のほうから要求したアプリは、先に要求したアプリのハードディスクへの読み書きが完了するまで待たされることになります。
このような場合も、処理速度が遅くなります。

●原因を特定する前にすべきこと

原因を特定する前に、すべきことがあります。
それは、

@ 不要ファイルの削除。
A スパイウェアの削除。

です。

ハードディスクの空き容量が少なくなると、パフォーマンスが低下しますし、インターネットを行う際のブラウザの速度を低下させる場合があります。
不要ファイルは定期的に削除することにより、パフォーマンスは向上します。
不要ファイルを削除するには、17.1章 の お掃除ツールをお勧めします。

スパイウェアは、インターネットをしている間に、貴方が知らない内にパソコンに潜り込み、あなたの情報を盗もうとするアプリですので、貴方にとって有益なことは何一つありません。
スパイウェアは、常駐しようとしますので、パフォーマンスにも少なからず影響します。
スパイウェアを削除するには、14.3章の スパイウェア検出ソフト をお勧めします。

●CPUかメモリかハードディスクか?

上記3つの内、どれが主たる原因なのか特定するには、タスクマネージャを利用します。

タスクマネージャは、「Ctrl + Alt + Delete」キーを押下すると起動します。
パソコンの動作が重いと感じた時に、タスクマネージャを起動してください。

●CPUか?

タスクマネージャを起動して、パフォーマンスタブをクリックしますと、以下のような画面になります。


上半分のグラフがCPUの使用率を表し、下半分がメモリの使用率を表しています。
上半分のCPUの使用率が100%に達したままの状態であれば、CPUに性能以上の負荷が掛かっていることになります。

100%に達していないのであれば、CPUの問題ではありませんので、それ以外の原因を探ります。

CPUへの過負荷が原因であったと判明した場合、どのアプリがCPUを大量に消費しているのでしょうか?
それを見るには、タスクマネージャのプロセスタブをクリックします。
プロセスタブには、現在貴方のパソコンで動作しているアプリの全てが表示されます。


この中で、CPUを消費しているアプリを探すには、表中の「イメージ名」タイトルの右横にある「CPU」タイトルをクリックします。
すると、CPUを消費しているアプリを昇順又は降順に並べ替えることができます。
アプリが降順に並ぶと、CPUを消費している率の高いアプリが上位に表示されます。
CPUを消費しているアプリ上位の内、不要な物を停止させれば、問題は解決されます。

但し、「System Idle Process」というイメージ名のアプリは除いてください。
これは、アプリやユーザからのリクエストを受け取り、必要とするアプリに引き渡す処理を行うためのアプリですので、CPU使用率が高いのは当然というか、それで正常なのです。
また、「taskmgr.exe」という名前は、タスクマネージャ自身ですから、これも対象外です。
停止させるべきは、それ以外のアプリとなります。

では、どれでも停止させて良いのかと言うと、前述しましたようにそうではありません。
必要なサービスを停止させてしまうと、パソコンが正常に動作しなく可能性があります。

停止させるのは、貴方がご自分でインストールしたアプリです。
CPUを消費している上位に貴方がインストールしたと思われるアプリ名があれば、それを停止させましょう。
アプリの停止方法は、後述します。

どのアプリも必要で、停止させるべきアプリが無い場合には、CPU性能の限界であると考えられます。
残念ながら

@ パソコンを買い換える。
A その状態で我慢する。

の選択肢しかありません。

しかし、「System」というイメージ名がCPU使用率上位に存在する場合、前述しましたスワップが多発しているために、SystemサービスがCPUを消費しています。
このような場合は、メモリが不足しているか、ハードディスクへの読み書きが多発しているということですので、「メモリ」、「ハードディスク」の項目を参照ください。

どのような名前をインストールしたか覚えていないという場合には、後述しますアプリで情報を収集して判断してください。

●メモリか?

タスクマネージャの下半分のグラフがメモリの使用量を表します。
このグラフを見て、メモリが全て使用されている場合には、メモリ不足が発生し、スワップが発生していますので、メモリを大量に消費しているアプリを停止すれば、問題は解決されます。
メモリ消費量の多いアプリを見つけるには、CPUの場合同様、プロセスタブの「メモリ使用量」タイトルをクリックします。
「メモリ使用量」が見当たらない場合には、「表示」メニュー → 「列の選択」 → 「メモリ使用量」のチェックマークをONにしてから、「OK」ボタンをクリックします。
メモリ消費量の多いアプリ上位より、不要な物を停止させれば、問題は解決されます。

どのアプリも必要で、停止させるべきアプリが無い場合には、物理的にメモリが不足していると考えられます。
残念ながら

@ メモリを増設する。
A パソコンを買い換える。
B その状態で我慢する。

の選択肢しかありません。

●ハードディスクか?

ハードディスクへのアクセスが多いアプリを見つけるには、プロセスタブの「I/O読み取り」、「I/O書き込み」何れかのタイトルをクリックします。
見当たらない場合には、「表示」メニュー → 「列の選択」 → 「I/O読み取り」又は、「I/O書き込み」のチェックマークをONにしてから、「OK」ボタンをクリックします。
ハードディスクへのアクセスが多いアプリ上位より、不要な物を停止させれば、問題は解決されます。

どのアプリも必要で、停止させるべきアプリが無い場合には、性能の限界と考えられます。
残念ながら

@ パソコンを買い換える。
A その状態で我慢する。
B ハードディスクを高速の物に交換する。(効果は小さいと思われます)

の選択肢しかありません。

●アプリの停止方法

不要なアプリを停止させるには、タスクマネージャのプロセスタブより、停止させたいアプリをクリック後、「プロセスの終了」ボタンをクリックします。
OS起動時にサービス自動起動を停止させるには、「スタート」メニュー → 「ファイル名を指定して実行」を選択します。
すると、下図の画面が立ち上がりますので、「msconfig」と入力し、「OK」ボタンをクリックします。


そして、サービスタブ又はスタートアップタブ何れかより、停止させたいアプリのチェックボックスをOFFにすると、OS起動時の自動起動が停止できます。


●パソコンの起動が遅い

パソコンの起動が遅い原因で最近最も多いのが、ウィルス対策ソフトであることが多いようです。
特に以下のウィルス対策ソフトは遅いようです。
・ノートン
・ウィルスバスター
・マカフィー

以上は、三大ウィルス対策ソフトと呼ばれ有名なのですが、ウィルスチェックが厳格なのでどうしても重くなってしまいます。
一度ウィルス対策ソフトを停止させて、起動速度が改善されるようであれば、もっと軽い物に変更するのも手です。

前述の方法で、CPU、メモリおよびハードディスクの何が原因なのかを特定する方法を説明しましたが、パソコンの起動が遅い場合には、どうやって調査すれば良いのでしょうか?
タスクマネージャを起動すれば良いのですが、立ち上がりが遅いと感じる状態でタスクマネージャはなかなか立ち上がってきません。
そこで、CPU、メモリ及びディスクへの読み書きの履歴を取り、グラフを作成するソフト「BootLogger」を作成しました。
BootLoggerは、こちらからダウンロードしてください。

BootLogger

このアプリをダウンロードし、適当なフォルダに格納します。
そして、格納した BootLogger.exe を右クリックし、ショートカットを作成します。
作成したショートカットを C:\Documents and Settings\[ユーザ名]\スタート メニュー\プログラム\スタートアップ にコピーします。

このアプリを正常に動作さるには、.Net FrameWork(ドットネットフレームワーク) というソフトをインストールする必要があります。
.Net FrameWorkは、こちらからダウンロードして、インストールをお願いします。.Net FrameWork

これにより、OS起動時に自動的に立ち上がります。
このアプリは、起動するとタスクトレイにアイコンが表示されます。


初期設定では、1秒毎に情報を収集し、立ち上がってから約1分間起動します。
アイコンをダブルクリックすることにより、収集間隔や起動時間を変更する画面が表示されますので、ご自分の環境に合った値に設定してください。
但し、設定内容が有効になるのは、次回起動時となります。

処理が終了すると、CPU、メモリ、ハードディスクへの読み書きなどの収集結果をグラフ化した画像と、起動していたアプリの一覧ファイルを BootLogger.exe を格納したフォルダに出力します。
これらの情報を元に、タスクマネージャ画面同様の情報を参照し、不要なアプリを停止します。

cpu_time.jpeg というファイルには、CPUを占有した時間を棒グラフで表示しています。
立ち上がりが遅い場合には、この棒グラフでCPUを占有した上位のアプリが原因である可能性が高いと思われます。

途中で停止させる場合には、BootLoggerアイコンを右クリックし、終了 メニューを選択してください。

起動していたアプリの一覧ファイルには、タスクマネージャのイメージ名とは別に、ファイル名も出力しています。
停止させたいアプリの実際のファイル名を参照し、それがご自分がインストールしたアプリであれば、停止させても大丈夫だと判断してください。
起動していたアプリの一覧ファイルの拡張子は、csv となっていますので、マイクロソフトのExcelやOpenOfficceのCalcで表示することができます。
Excelなどをインストールしていない場合には、テキストエディタで参照することも可能です。

BootLogger.exe が出力するCPU使用率グラフをサンプルとして貼り付けておきます。



BootLogger.exe の起動を停止させるには、コピーしたショートカットを削除してください。

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