アジアサマーキャンプ報告

1.北京体育大学とは     4.番外編
2.練習環境           5.日本選手
3.練習内容           6.陸上競技マガジン記事

    国際陸上競技盟主催のアジアサマーキャンプ(北京)にコーチとして日本陸連から選ばれ
学習の機会を得ることが出来ました。夏の北京は気温は30℃くらいでしたが湿度が低く、思った
以上に過ごしやすかったです。
  練習拠点は北京体育大学で行われました。中国に体育大学は1つだ け、体育大学の下に体
育学院、その下は体育学校と言うそうで110mHの世界記録保持者の劉 翔は上海体育学院卒
の選手だそうです。
 練習環境は非常に恵まれ、400mのオールウェザートラックが2 面隣接し、その横には室内競技
場があるという贅沢な環境。屋外の競技場の周りには多くの大きな木が茂り、トラックまで日陰が来
るように考えられています。練習は北京体育大学のコーチが全て担当。短距離の200・400mブロ
ックだけが広東省から来た元中国記録保持者のコーチででした。
 北京体育大学には陸上競技のコーチ が31名、その附属の体育学院には17名いるそうです。
いつもは指導しなければならない立場にある私は、各ブロックの練習をじっくり学ぶ最高の機会に恵
まれました。 学んだことをこのHPで報告したいと思います。
  各国からの参加者は、台湾:44名(11名)、モンゴル:4名(1名)、マカオ:2名、中国:10名(9名)、
北朝鮮:3名(3名)、韓国:5名(1名)、日本:4名(2名)それにコーチやトレーナーをを目指して研修
に来ている大学生4名、群馬県の高校の棒高チーム17名(7名)の合計127名。
( )内はコーチの人数

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環境

通訳の李先生、円盤で日本の実業団で活躍された 熊先生のレクチャー、中国の誤った歴史から現在の指導法を
陸上競技場に隣接した室内陸上競技場 木陰の多い競技場、左にもう一つの陸上競技場がある
左の競技場から右の競技場を望む 100mブロックおもしろい動き、武田名付けて「ピノキオ」

 練習は100mブロック、200・400ブロック、長距離ブロック、走高跳ブロック、幅・三段ブロック、ハードルブロック、
砲丸ブロック、円盤ブロック、やりブロックに分かれて行われた。

膝を伸ばしてのラン、振り戻し→足首の返しがポイント 肋木を使った補強はすべてのブロックで目立った
室内では平行棒が有効に使われている やりブロック:網に向かってメディシンボール投げ

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練習内容
100m   200・400   ハードル  

 100mブロックの練習
 8月3日(3日目)
 1.jog 1600m
 2.体操 @肩胛骨回りのトレーニング(V.
       A腰回し 普通のもの
       Bリズムに乗ったピノキオ(大転子からひねる) V.
       Cジャンプして空中で左右に腰をひねる  V.
       D足首を回す
       Eストレッチ(日本でもやっているもの) V.
 3.ドリル
     (1)振り上げ歩行 @膝下を伸ばして前に振り上げる 20m×2
                 A    〃     前から横に回す 20m×2
     (2)もも上げ     @スキップA 20m×2              
      (いわゆるマック式)   AスキップB 20m×2
     (3)膝伸ばし軸足キックラン     20m×2
   室内競技場へ移動
 4.補強  (各種補強は勉強になった)
     (1)ハードルまたぎ前後×30 (84Cm) コーチの拍手でだんだん早くする
     (2)チューブ・ハム・トレ  30回を超スピードで
     (3)腹筋・背筋  日本でもやっているもの
     (4)ダンベル腕振り
     (5)バーベル歩行腰入れ 10m
 5.ラン 1000m×2 (オールアウトになるくらい) recov.10分

 8月4日(4日目)
 1.〜3.まではほぼ毎日同じ
 4.スパイク 
     (1)快調走 50m×3  各自で
     (2)0→30 加速×2   計時 韓国3"92
     (3)0→50 加速×2 休息
                ×1
   ウェイト場へ移動
 5.ウェイト・トレーニング
     (1)突き出し×10  足は前後に入れ替えて(たぶん30Kg 女子は15Kg) 

  8月5日(5日目)
 1.〜3.まではほぼ毎日同じ
 4.スパイクにはきかえる
    テンポ走  200m×10本  Recov.200mのwalk  韓国の男子で30”位かかっていた
 5.室内へ  肋木使用の各種腹筋(自主トレ) 

 8月6日(日曜日)休養日で参加者は「万里の長城」へ行く

 8月7日
 80%ランニング
  50m×3、100m×3 

 8月11日
  記録会 私はフリーで各種目の見学ができました。
  100mは女子1組、男子3組に分かれて行われました。
  女子では台湾の選手が合宿の最終日にもかかわらず11”8台を
  男子は各組とも11秒前後の記録でした。いずれも私の計時による

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 200・400ブロック
 こーちは中国記録保持者で、広東省から来た若いコーチ。
w−upは100mブロックと殆ど同じだが、スキップ等にやや複雑な動きが見られた。しかし
文字では現せません。ビデオは撮ったのですが・・・
 8月5日(5日目)
 今日のw-upは日本人でコーチの研修に来ている国際武道大学の砂田選手が担当。
 軸作り、キック足のリカバリー等について苦しみながら英語で説明。
メイン練習
  レペ  200m×4本  台湾の48"1がベストの選手は4本目に22”5でカバーしていた。

 8月7日(月曜)
 このコーチは腕振りの毎日のW-upに取り入れている。一連の体操、ストレッチの後、輪になって
拍手に合わせて腕振りを・・・  ゆっくり→早く→ゆっくり→早く→ゆっくり
 室内では チューブ引きをスタンディングで行う。見ていて振り戻しがチューブの作用によって早く
なるので良い。地面を蹴らずに引きつけていた。

 8月8日(火曜)
 w-upのあと
 1.直線使用のエンドレス 100m×8本(多分) 2組で競走 1組7人
 2.コーナーでのS-dash×1 
 3.400mトラックで直線ラン+コーナーJog殆どwalk状態 ×5周  

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  ハードル                                                     

地下鉄で見たコマーシャル、テレビのCMでもよく出てきた

12”88の世界記録保持者のリュウ・ショウは中国の英雄である。7日に行われた熊先生の
講義でも、「アジア人に最も向いているのはさまざまな分析から110mHであるとの結論に達
した。そのために必要なトレーニングを考え実施したことが世界記録につながった・・・」
 コーチは元中国記録保持者が担当。毎日毎日タッチダウン記録を計時している。インターバ
ルは8.0〜8.5m、91.4Cm、インターバルを走る間ダ・ダ・ダ、ダ・ダ・ダと声をかけている。
 5台のハードルを1台目のタッチダウンから5台目のタッチダウンまでを計時、中国語で選手に
指示しているため詳しくは分からないが、ここを最も重要視している。先に書いた分析の結果が
この指導にある。
 女子ジュニア中国チャンピオンの池田久美子似の選手は別メニュー、鋭い振り下ろしを徹底的
に練習していた。
 記録会は110mHはジュニアの高さで実施。14秒8台(私の計時)でした。

日本選手

大木 純也(国際武道1) 横溝 千明(日女体1)
敷本 愛(国士舘教) 鈴木 鶴代(国士舘1)

記録会ではベストは出なかったが、投擲王国の中国の指導を、今後に生かせば
大きく飛躍すること間違いなし。

 

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