「未生:ミセン」 | |
「未生:ミセン」 入社後の若者達が企業や職場で奮闘するドラマは新しい力や創造性が一杯あるので、国家や放送局の違いを問わず視聴者には人気がある。最近、家内が録画したある韓国ドラマを見る機会があり、それ以降、その物語やストーリーのこれからの展開への期待にはまってしまった。この韓国ドラマは、現在、BSジャパンで放映中の未生「ミセン」である。「ああ、あのドラマね」とい言われる方もの多いのではないだろうか。 2014年に、「未生:ミセン」は、韓国では「ミセン・シンドローム」などの社会現象を引き起こしたドラマであり、ケーブル・テレビの視聴率が歴代2位の注目の現代ドラマであるらしい。主役は、イム・シワンが演じる26歳の営業3課の契約社員のチャン・グレである。イム・シワンは、韓国歴史ドラマの配役で脚光を浴びてこの「ミセン」で大ブレークして、テレビ部門で新人演技賞を受賞した若手の俳優である。でも、何か「営業3課」と聞くだけで、あの「つりバカ日誌」の「ハマちゃん」を思い出してしまうのは私だけだろうか。さぞかし、チャン・グレの行動も楽天的で開放的か?と思いきや、場面ごとに切れのある立ち回りを演じて、営業3課や自らの危機的な状況を乗り越えていく。BSジャパンのドラマは毎週1回(金曜日)の午前中の放映であり、すでに、6月3日までに21話が放映され、さらに9月2日までに34話の放映が予定されている。 さて、ドラマの内容はここまでとして、「未生:ミセン」の意味について以下にちょっと書いてみよう。広辞苑や大辞林などで参照すると、日本では、未生は「ミセン」とは言われず、“みしょう”として解説されている。すなわち、「まだ生まれていないこと」という意味であるようだ。本来、「未生:ミセン」は韓国における囲碁の用語であり、「まだ死んでもいないし、また生きてもいない石」という意味であるらしい。私は、韓国語をよく知らないのでインターネットの情報のみで参照すると、ドラマにおいては、「困難に直面しても諦めなければ必ずチャンスは来る」というメッセージが込められていると解説されている。 多分、新入社員も彼らを指導する先輩社員や上司においても、仕事や人生の色々な場面では、全てのことが「未生:ミセン」なのであろう。だから、将来の可能性を信じて皆がチャレンジするのであるし、その結果、次々と出てくる困難に対して諦めずに立ち向かうのだろう。 ドラマ中の「物語り」においても、私たちの実際の仕事の中でも、どうしても新人や若手の行動が目立ってしまい、我々のような年数を経たある程度の経験者は、自分自身で「もういいのだ」とか「十分にやった」などと思い込みがちであるが(特に定年前になるとなおさらですね)、長い人生の中では、何時でもだれでも「未生:ミセン」であり、より難度の高いことに対して挑戦して行かねばならないのだろう。 ドラマの中でも、イ・ソンミンが演じる営業3課のオ・サンシク課長も、チャン・グレ新入社員やチームのメンバーと共に個人の営業マンとしての目標達成と総合商社の発展のために、積極的に若手の意見を聞いてそれらに肉付けしながら(時には激しい議論をしながら)具現化していく。オ課長の長年の経験から養われた営業マンとしての「野性的な感」が数々の困難な場面を乗り越えていく様は、決して自分自身のことではないが、何か心地よい気持ちを感じさせてくれる。時には失敗もあり、やけ酒を飲みながらチームメンバーと愚痴を言い合うのも、私自身も経験してきたことであり、「そうそう、同じゃ〜」と思わず口に出してしまう。 そんな意味で、「未生:ミセン」のドラマには、国家は違ってもどこにでもありそうな企業の中の人々の日常の風景を自然に見ることができると思っている。 「何時になっても、何処にいても、我々は(未生:ミセン)である。だからこそ、将来に対して、大きな可能性を持っている。チャレンジしよう。そして、自分自身を成長させよう。」 *本文は、著者が現役時代(2016年頃)に執筆した原稿に加筆修正を行った文章です。 2022年10月8日 |
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