殺虫・殺菌のテクニック(農薬を上手く使う方法)   HOMEへ

 園芸家にとって害虫の駆除や植物の病気を防ぐ為の知識は、欠かすことが出来ない日常作業です。最近は無農薬野菜が市場に出回っていますが、時代の背景から注目される事だと思います。しかし、趣味の分野で園芸を楽しむには、害虫や病気に犯されない元気な植物を作ることが、綺麗な大輪を咲かせるポイントです。従って、無農薬と言う訳にはいきません。
 ここに記載されている内容は、最低限の基礎知識ですが、これを定期的に実行する事が元気な植物を育てるポイントだと考えます。参考になればと私の経験から書きました。
  1. 危険だから、最低限のル-ルが必要

 ホ−ムセンタ−で手軽に手に入るからと言っても、農薬は毒物です。安易な使い方をすると植物に対し効果が無いばかりか、人体に害を及ぼします。散布する時には必ず・ゴム手袋・マスク・肌が露出しない服装(長袖など)を心がけ、作業後はウガイ・入浴を徹底する事です。農家のおじさんは熟れているからと言っても、必ずマスクはしています。

  1. 計量作業は正確に!

各種農薬には必ず散布濃度や分量が書かれています。これは絶対守るべき内容です。その為には1リットルぐらいの計量カップ・ピペット(スポイト)・計量スプ−ンが必要です。

  1. 散布器具

 散布器具は電動式・圧力式などありますが、大菊に使うのなら3リットルタンクの電動式(乾電池式)が便利です。ノズルの調節で霧状の変更が出来ます。ホ−ムセンタ−で3000円ぐらいで入手できます。

  1. 薄め方

散布用タンクに規定量の薬剤をピペットで計り入れます。3リットルぐらいなら濃度1000倍で3mlですからほんの少しに成ります。この時、ピペットの中に付いている薬剤の量が無視できません。(3ml計っても内部に付いて残っている)従って、この薬剤の付いているピペットを計量カップに水を入れ、その中で洗います。この洗い水を捨てないで散布タンクに入れると正確な量が入った事になり、尚且つピペットも洗浄できます。(決して、薬剤のついたピペットで他の薬剤を計ってはいけない⇒薬剤の性能が変わるばかりか、組み合わせによっては危険)
そして最後に散布タンクに水を加え、規定濃度・規定量にします。

  1. 規定濃度とは・・・

案外判り難いのが規定濃度です、早判り票を見てください。
250倍⇒1リットルの水にピペットで4ml (ピペットの1メモリが普通は1mlに成っている。1ml=1cc
500倍⇒1リットルの水にピペットで2ml
1000倍⇒1リットルの水にピペットで1ml
1リットルに対する量ですから、3リットルの場合はピペットの量を3倍します。

  1. 農薬の特性とは・・・

農薬は原液を規定濃度で散布します。ここで使う規定濃度に薄める為の”水”は出来るだけ水道水のような純水を使います。植物に散水する水は、出来る事なら一昼夜汲み置きしたカルキを抜いた水を使う方がいいと専門書には書いてあります。しかし、農薬を希釈する水はこれは適しません。出来るだけ新鮮な混じりけの無い水が必要です。なぜか?少し難しいですが界面活性作用が必要な為不純物が入っていると能力が出ません。

  1. 農薬の濃度は濃い方が良く効くか?

濃度を濃くすれば害虫も良く死ぬと考えている人は、はっきり言って使い方を間違っています。害虫が死ぬ以前に植物がくたばってしまいます。最悪、薬害によって枯れます。百悪あって一利なしです。ではどうすればいいか?500倍濃度はメ−カ−が薬害が出るか出ないかのギリギリの限界です。定期的に出来るだけ薄く希釈した農薬を(1000倍か1500倍)たっぷり散布する事です。散布方法は葉の両面・茎・ともかく植物全体を雨でずぶぬれになったのと同じくらい(下に滴るほど)散布します。濃くすれば薬剤も多く使用するのでメ−カ−を喜ばすだけです。必ず、日曜日とか日を決めて一週間に一度実行する事で確実に防げます。

  1. 殺菌剤との混合や、他の種類との混合はいいのか?

結論から言いますと可能です。私は殺虫剤と殺菌剤を同時に作成します。又、殺虫剤には刹ダニ剤もミックスします。農薬の説明書には混合不可の薬剤が書いてありますから、必ずよく読んで使用ください。

  1. フロアブル・水和剤・浸透剤

フロアブル・乳剤・水和剤・水溶剤は希釈することで多量に作ることが出来ます。フロアブルは匂いが少ないと感じます。浸透剤は根元に顆粒を撒き、それが水に溶ける事で根から吸収されて植物全体が農薬化するものです。頻繁に与えると効力がなくなります(害虫が強くなる)。希釈したらすぐに使いきります。又、水和剤などは定着剤を入れる必要があります。


注意:上記内容によって発生した不都合に関し、筆者はいっさい責任を負いません。従って、各自の責任で十分注意し作業を行って下さい