来年2002年に使用する腐葉土作成の為、クヌギの落ち葉を取りに行く。例年の場所はクヌギばかりなので選別する必要が無く、私の場合昔風に言うとドンゴロスの袋の大きさで、足で踏んづけて入れて8袋持ち帰る。
2001.12.7
腐葉土作りは大変な作業です。まず容器はホ−ムセンタ−に売っている蓋付きのBOX(灯油ポリなどの整理に使用する3本入るタイプ)を3個作ります。そのBOXの底・側面をドリルで直径10mmの穴を多数開けてあります。これは空気の取り入れ用です。これにクヌギの落ち葉を入れるのですが、まず、クヌギを熱い湯につけ温度を高めて入れます。これは発酵がしやすいようにする為です。発酵剤は”コ−ラン・米糠”を使っています。
一回目の腐葉土の切り替えしを行います。切り替えしとはBOXから全ての腐葉土を出して空気に触れさせる事で、発酵を促進させる為です。これを永くしないと冬場はそれほどでもありませんが、発酵ではなく腐ってしまいます。大変な作業ですが出来るだけ実行する事です。
2002.1.13
二回目の切り替えしを行う。水分を全体に行き渡らせる為。
三回目の切り替えしを行う。部分的に黒く成ってきているのを、かき混ぜる。
挿し芽用の親苗鉢に液肥を与える。
四回目の切り替えしを行う。
2002.4.21
菊苗の挿し芽を行う、今年は気温が高いせいか菊の生長が著しい。
例年より1週間早く挿し目の準備を行った。挿し芽の仕方はいろんな雑誌やそれぞれ個人の方法があると思う。しかし、しっかりした八方広がりの”根”を作る為には参考書に書いてあることはちょっと違うのではないか?私の場合次の方法を永年やっている。この方法だと確かに八方広がりの根を張らすことが出来、ポット上げや4号鉢に上げる時本に書いてあるように根を広げて植える事が出来る。
@ 挿し芽床は鹿沼土の微粒と籾殻くんたんと外気温度の状態でバ-ミュライトを混合する。この混合物を最低一夜水につけて保水させる。ここが重要でこの時間が短いと、1週間水を与えない状態が続けられない。(途中で水をやると根が張らない)
A 苗床の底に半紙をひきつめ、その上に籾殻くんたんを半紙が見えないぐらいに薄くひきつめる。その上に準備しておいた混合物を厚さ3cmぐたいにひきつめる。
B ここからの作業が本に書いてあるのと少し違う。本には底まで挿さないで中間位置で挿し芽の苗を押さえるとあるが、これは少し疑問がある。私の場合割り箸でそこまで穴をあけ、挿し芽苗を底までしっり差し込む、この時重要なのが底にひいた半紙と籾殻くんたんの役目がきいてくる。
C 隣の挿し芽との間隔は3cmぐらいで、割と密集させる。このことで水の蒸発が少なくなる。
D 1週間は絶対に水をやらない。置き場所は家屋の北側などの日があたらない場所で、蒸発を少なくする為、風をヨシズなどで遮る事が重要だと思う。
これからの時期、まだ”だるま仕立て”や”福助仕立て”の為に挿し芽されると思いますが、ぜひ試してください。
2002.5.6
五回目の腐葉土切り替えしを行う。かなり発酵が進んでいる。この状態なら7月には使えそう。
2002.5.12
挿し芽苗を2号ポットに上げる。この時使う培養土は昨年の旧土に
腐葉土を加えた物を使用している。根の張りは予想道理四方八方に伸びていた。
2002.5.26
2号ポットの苗は根がかなり張ってきている。底穴から白い根が出だしたのを確認し、ゆっくりポットから貫いてみるとかなりしっかり根が張っていた。昨年までの栽培場所から今年は環境がかなり変わっている。今年から栽培している環境は2階立て普通家屋の大屋根の上に約6畳の広さのテラスを増設した。
ここの環境は、夏の暑さの対策は必要であると思うが、日光に関しては文句の言い様が無い。この環境が菊作りにプラスと出るか、それともマイナスか現在判らない。しかし、別ペ−ジに掲示している”蘭の栽培”に関しては、明らかにプラスであった。3年間花をつけなかったカトレアが5輪も立派な花を咲かせたし、胡蝶蘭に関しては花数が約倍になった。
菊も同じ植物、光と温度を上手く調整すれば去年まで以上の成果が出る可能性がある。
根の張り方も去年までとは全く違った。
しっかりした根を作ることが大輪を咲かせる最高のポイントだと思います。本に書いてあるように毎朝水をやっていてはしっかりした根は張りません(蕾が出来た時など、かなり必要な時もある)。特に細い根が張る初期段階では水切れのぎりぎりになった時、水を求めて根は張り出します。このポイントをしっかりつかむ事が必要ではないかと思います。又、この時期の根は完全に水が枯れると茶色くなってすぐに老朽化します。それから、まだまだ肥料は我慢させます。根がしっかり張ると、肥料は効果が出ますが、それまでに肥料を与えても害はあっても得はありません。
私の苗は今年は期待できそうな様子です。早速、4号鉢に上げました。・・・まだ、肥料は入れてません。
管物の挿し芽は難しい。厚物のは簡単に発根させることが出来るが、管物はなかなか発根してくれない。一週間遅れで4号鉢に上げた。
腐葉土の切り返しを行った。かなり、黒い状態で初めの約2/3の体積になった。このまま6月中安定させて7月には一部を使う予定。半分は来年用。
2002.6.9
肥料の与え方は、毎年難しいと考える点が多い。乾燥肥料中心に根が張り始めた頃から与え始めるがこの時期が微妙に違う。今年のように例年に無く暑いと与え方も変更しないと、せっかくの苗が舞い上がってしまう。又、乾燥肥料のチッソ:リンサン:カリの比率数値も割といいかげんなもので、与える量は細心の注意が必要だ。一番安全に使えるのは、やはり国華園の乾燥肥料かもしれない。
2002.6.16
鉢の大きさを変化させて徐々に大きな鉢に植え替えていく、大菊つくりの重要なポイントだと思う。私の場合ポット苗時期二週間、4号鉢で二週間、5号鉢で三週間を基本パタ−ンにしているが、今年は若干違うようである。これは栽培場所が大きく変化した事が原因であると思う。太陽の光が十分すぎるから根の張りが急速に変化するようなので、5号鉢の苗はかなり根が張っていた。今回一旦6号鉢で時間調整をする為に植え替えをした。鉢から外してみるとやはり厚物の方が根の成長が激しいように思えた。管物は同じ大菊でもちょっと違うような感じがした。六月の大きな作業は一段落したので、今月末までこの状態で様子を見る。
殺虫・殺菌消毒
有機栽培・無農薬・・・と言うような売込みの野菜が店頭に並んでいるが、大菊に関しては有機栽培はともかく無農薬はありえない。定期的な殺虫・殺菌消毒が全工程で必ず必要と考える。私の場合は、一週間ごとに殺虫剤と殺菌剤をまぜて(混ぜても大丈夫な物)散布している。特に春から初夏にかけては葉の見栄えが悪くなる為、葉もぐり蝿の殺虫には気を使う。又、今の季節”さび病”には注意が必要。
9号鉢用の培養土作成
今日は朝からかなりの肉体労働。天候も最高どころか暑くて参ってしまう。7月からの9号鉢用の培養土を作成し、一旦月末まで寝かせる。私が本日作成した培養土の構成は
1:池土の1CM位に乾燥させた粒 2:十分に発酵させた腐葉土 3:1CMぐらいの軽石の粒 4:籾殻クンタン
基本ベ−スは以上で配合比率は一般的な割合。秘密の部分は又の機会に掲載。(今年の出来栄えを見て)
2002.6.23
毎週の休日は必ず何かの作業があるけれど、今週はこれと言った変化なし。細かく言えば6号鉢は次の9号鉢までの成長待ち。同じく5号鉢も同じである。しかし、殺虫・殺菌消毒は必ず行っている。特にこれからの梅雨時期殺菌は大切だと思う。それから、今からハダニの予防はしておいた方がいいと思う。
今年は自家製液肥に挑戦したけれど、出来上がった物は匂いがきつくて使えない。田舎なら周りに似たような匂いが漂っているので問題ないが、都会では大変の苦情に繋がる。今年もしかたなく市販の液肥を使わなくてはならなくなった。匂いを消す方法を考えないとせっかく作った液肥の効き目を確認する事も出来ない。来週は成長の度合いを見て、一部9号鉢に移植作業が待っている。
一部9号鉢に定植
4月の下旬に挿し芽した菊苗も順調に生長し、9号鉢に定植できる物を鉢上げする。やはり例年より成長が激しい感じがするが、今年から栽培場所を3Fにしたので太陽の光が十分注ぐ事が影響しているのかもしれない。9号鉢への定植は人それぞれ時期がまちまちで、どの人の意見が正しいとかは言えない。それぞれの環境もちがうし、成長度合いも異なる。目安は遅くても7月中に終えたい。(根詰まり調整の為、8月まで持ち越す人もいるが・・)私の場合は少し早めにして中旬には”胴切り”を終えたいので、その様な予定にすると早く成長させないと胴切りできない。9号に鉢上げする時には、十分に根が張っているか確認する必要がある。5号鉢の場合はかなり根が周ってそのまま鉢から抜ける様でないと9号での成長が望めない。駄目な苗は思い切って捨てる事が必要だと思う。
定植方法:
私は9号鉢に上げる時スペ−サ−(8月に根詰まりの防止と成長を促進する為のスペ−スを鉢内に設ける)を2個入れて、鉢底から約半分ぐらいの培養土を入れる。以前はスペ−サの部分を残して上面近くまで培養土を入れたが水の管理が難しい(培養土が多いと含水作用が永く続き根が張ってこない)ので、鉢底から約半分ぐらいまでしか培養土を入れない。このようにして毎日みずやりをすると夕方には水分が少なくなり夜間に根が成長する。又必要以上に芽が伸びないので葉の間隔が詰まる。1週間ごとに培養土を追加し8月中旬で上面まで入れる(スペ−サ−を一時的に抜き、根の成長度合いを見ながら)。後は8月中旬から下旬にかけてスペ−サ−を抜き、追い土を入れる。この方法は”福助”の作り方にも使える。私はこの方法に変えてから根の張りが良くなり、茎が太くなった。一度試されてはどうでしょうか?
2002.7.13
五月の上旬に挿し芽した苗を全て9号鉢に定植した。今年は全部で42鉢、この内どの苗が品評会に出せるかこれからが正念場。毎年思うけれど”管物”は挿芽だけでなく9号鉢に定植するまでの過程でも、管理が難しいと思う。先週過剰窒素による窒素負けを発見したので、硫酸マグネシュ−ムを葉面散布した。それほどまだ肥料は与えてないのに品種によってかなり影響を受けるようだ。
2002.7.14
胴切り実行
今年は6月の5号鉢の段階から”柳芽”がかなり発生した。福徳などはいくら芽をつんでも又柳芽が発生し結局廃棄にした。”胴切り”の時期については育てる環境・地域(温度・日射量)によって判断する必要があるので、先生方の意見を真に受けて実行すると失敗する時もある。あくまで自分の環境で判断すべき内容だと思う。従って7月にする事には間違いないが、早すぎると柳目が発生し全部駄目になる。だいたい中旬頃が安全かもしれない。中旬に胴切りをする事で昨年は8月の蕾芽発生時、まったく柳芽は発生しなかった。(注意*大宇宙などしてはいけない品種がある)
ダニ発生
毎週定期的に”殺虫・殺菌”をしているのに温度が上昇し乾燥状態になるとダニが発生する。私の環境は3Fの屋上であり、周りの植物と隔離状態にあるのに風に乗ってくるのか支柱に数匹発見した。あまりにも小さく葉についているのを見つけることは難しい。支柱は黒であるからそこを動いているのを見つけるしかない。早い話1匹でも見つけたら速殺虫消毒実行が必要だ。農薬のペ−ジに少し書いているが、特にダニを撲滅させる事は難しいので何種類かの薬品を巡回させて使う事が必要だと思う。その時、”呼吸停止”に効く農薬と”神経系”に効く農薬を使う事が重要だと思う。私の場合5種類を巡回させて使用している。(7/15朝確認すると一応対応できた様子であった)
2002.7.21
福助仕立て(鉢上げ)
今年は例年に無く暑い日が続く。福助仕立て用の挿し芽を鉢上げ(5号鉢)する準備が整った。他の人より少し早いが太い茎を作る為にこの時期に実行している。福助の挿し芽は外気温が高温の為大変難しい。新芽に水がかかると腐ってしまうし、根を張らすのも難しい。私は挿し芽床の配合に鹿沼土(微粒)・薫タン・砂を使い、三本仕立てとは若干変更している。これは外気温が高いため保温性が必要ない事が理由である。下記写真のように十分な根が張っていた。(挿し芽の仕方参考)。5号鉢に定植するが(三本仕立てのようにポットに上げて、鉢を大きくする事はしない)植え方が少し違う。無肥料の培養土を用い、鉢底にミズゴケを軽くひく。次に培養土を入れるが、この時苗の頂点が鉢の縁の高さに深く植える。(写真参考)この状態で根を張らせ、成長と共に下葉を取って茎の部分に培養土を増やすように鉢縁まで増し土していく。従って、植えたときの頂点近くの葉が最終的に一番下の葉になる。肥料は鉢上げ後10日ぐらいで乾燥肥料を7粒ぐらい置き、増し土時に置き肥する。Bナインによる調整は9月ぐらいまで4回ほど行う。尚、水を与える時はキュウスのような物を使って苗の上からかけず、土の部分に直接与える。これは新芽を腐らせない為である。又、水はねによるウイルスの伝染をを防止する為、キッチンペ−パ−を培養土の上面にひく事は効果があると思う。(ミズゴケの代わり)。
2002.7.28
夏場の園芸作業は本当に辛い。早朝に作業する為に早起きしても、外気温はそれほど変わらない。田舎なら朝露があるぐらいだから涼しいが、私の環境は市内の中なので本当にあまり変わらない。3Fだから朝日が確実に差し込むので体感的に昼間とほぼ同じである。今日から夜に作業することにした。風もあり又3Fからの景観が綺麗であるし、もっと早くこの時間帯にすれば良かった。定植も全て終わり、菊苗は順調に育っている。胴切りから2週間たち、新芽の長さは約3CM伸びた。二番手の勢いが良いが、茎が曲がった感じになるのは見た目良くないので、頂上の芽を支柱に結んでいる。脇芽も摘み取り、安全を確認したので主芽以外を摘み取った。夏場の9号鉢の内部温度はどのぐらいになっていると思いますか?本日昼間に測定してみると、外気温36℃の時鉢の中はなんと40℃に成っている。今年からは黒い鉢に断熱材を巻き対策を立ててもこれだけの温度がある。対策しなければ良い結果は得られていなかったと思う。それから、”みず遣り3年”と言うが本当に水遣りは難しい。鉢の温度がこれだけ上がっているので、水分を多く残すと根腐れの原因になってしまう。今年は鉢の中に水分センサ−を入れ、水分が無くなり始めた時潅水する方法で実験しているが、これがかなり良い結果を得ている。同じ品種をA鉢・B鉢で育て、9号鉢の7月から毎日定期的に(過剰にならない去年までの経験)潅水するものと、水分センサ−をつけて鉢内の水分がなくなり始めたときに潅水するものを比べてみて15日後に鉢から抜いてみた。結果は明らかで、センサ-で測定しながら潅水したものは、経験で潅水したものの3倍近く根がしっかり張っていた、又、苗の状態は葉がしっかりしており、現在の温度で直射日光に当たっても、全くしおれない。私の環境では7月の時点で、たっぷり潅水してから3日後に次の潅水をするのが適している事が判った。このようにする事で根腐れの防止にもなるし、外気温が今年のように大変高温でも毎日潅水する事が、必ずしも良くないデ−タが得られた。夏場の朝たっぷり潅水する方法より、最低必要な水分をギリギリで与えた方が鉢内温度も低く抑える事ができる。菊作りも過去のじいさんの経験ではなく、デ-タ収集によって環境適応させる事の重要性が必要だと思う。(質問がありましたら、分かる範囲でお答えいたします)
暑すぎる、今年の夏
今年の夏は本当に暑すぎる、菊も人間もまいってしまう。早く涼しい秋が来て欲しい。私の環境では(3F)菊には適していないのがはっきりした。私の住んでいる所は全国でも有名な夏の暑さがある市内です。以前、記述したように今年は今までの環境から全く変更し、3F(二階建ての大屋根の上)に栽培だなを作った。この環境を今年は調査する事も目的ではあったけれど、結論から言うと全く適していない。まあ、今年は異常だと言えばそれだけだが、梅雨明けから9月までの対策を考えないと来年も失敗する事になる。現在の環境デ-タは天井部分に60%寒冷紗をつけて太陽熱は防げるが、回りの家屋の屋根の温度が上昇し、昼間は40℃近い風になる。鉢内の温度を測ると平均40℃、これが夜になっても38℃までしか下がらない。又、水道の水の温度が28℃。このままシャワ−を浴びても十分”湯”と言える。こんな環境で菊を育てる事自体、熱帯で菊を咲かせるのと同じ事。きっとこのHPを見ている人は笑っているに違いないと思う。(本人も馬鹿げていると思う)しかし、昔のじいさんのノウハウでは通用しない現在の都会での菊つくりにチャレンジしているのだから、これを克服する方法を考えるのが現在のじいさんのテクニックと考え諦めずに努力しようと思う。新鮮な素材を使った料理は美味しくて当たり前、田舎の涼しい環境で大菊を咲かせるのは、これも当たり前。都会の最低の環境で育てて審査会で入賞させる、これが目的だから頑張ろうと思う。
本日、なんとか生き残っている9号鉢の菊を去年まで栽培していた場所に移動させた。夕方みると明らかに元気になっていた。気付くのが少し遅すぎたようである。しかし、この環境で育てた”福助”は元気すぎる。初めてのビ-ナイン(400倍)を散布した。ダニ対策の殺虫は毎週欠かさず行っている。
8/11の状態
2002.8.30
暑さはまだまだ続く
先週は一時的に秋のような気候になったけれど、まだまだ暑さは厳しい。台風の影響で蒸し暑さが続いており、私の栽培場所の昨日の温度は最高が33度、最低が26度の熱帯地方と同じ。8月11日に生き残った20鉢の内なんとかいけそうな物を去年まで栽培していた場所に移動させた。結果は明らかに変化が出た。胴切りまでは優秀なぐらい育っていたが、その部分を境に成長が止まっている。先日一鉢解体してみたところ7月10日ぐらいまでの6号鉢の良好な状態(鉢の形)から根が成長を止めていた。明らかにこの時点から暑さが厳しくなった時である。去年までの栽培場所に下ろした物は急激な成長を始めている、又、福助も同じ状態である。根がしっかり作れているので、液肥に対する反応も早く、暑さで失敗した事が悔やまれた。それでも、市内はまだまだ暑いので、郡部の田舎で育てている人とは比べ物にならない(福助も同じ)。9月の中旬から10月いっぱい、最後の花を力強く咲かせるには日光が必要である。この時期には3Fの栽培場所の威力を発揮させたい。
来年は今年の失敗をデ−タに、梅雨明けから8月いっぱいの移動場所を考えなくてはと今から思案している。
”8月30日の状態”(開祖)
2002.9.22
蕾が膨らんできた
9月になり昔から”暑さ寒さも彼岸まで”とよく言ったもので朝・晩の気温が私の住んでいる市内でも過ごしやすくなってきた。それでも3Fの温度は昼間30度ぐらいに成っている。しかし、朝は17度ぐらいまでに成るので13度ぐらいの差が出来ている。菊は温度の変化に成長が左右され又、蕾の出来栄えにも影響を及ぼす。まだ、現在の時点では影響は無いが、花びらが開く10月中旬の頃には赤色の厚物などには夜露と太陽が必要になる。本当に今年は大失敗であった。残念ながら”12鉢花壇”はエントリ-を辞退した。最後の踏ん張りで単鉢勝負をかけようと思うが選ぶだけの品種が少ない。案外、管物が元気である。本日、少し遅いが肥料抜きを行った。だるま・福助はバケツにそのまま漬けることが出来るが、大鉢はそんなことも出来にくいので案外手間が居る。葉ダニは居なくなった(油断禁物)が一部にアブラムシが居たので定期消毒を行った。暑かったからいろんな爺さんの菊を見せてもらったがやはり葉が小さかった。出来るだけ手のひらサイズは欲しいところだ。私の現在の出来は次の写真の通り。
これからがテクニックの見せ所
10月に入り秋本番の季節になった、今月は蕾の選別や菊栽培にとっては最終段階に入っているので目が離せない。第一に気をつけなければならないのが水の管理だと思う。朝には必ず水遣りを行わないとしおれさせたりしたらせっかく丹精こめた蕾が開かなくなるし、花弁も勢いよく伸びない。夏場の水の管理のようにギリギリで育てるよりも、安全を見越して多い目に与える方が良いと考える。この時期外気温が低くなったので根腐れは起こりにくい。又、表面に根が張ってきているので(水苔を置いていると絡んでくる)この根を乾燥させると開花に影響を及ぼす。従って、増し土も必要になる。厚物は管物と違いこれからの育て方が少し違う。まず管物は専門書に書いてあるように止め肥からの管理はできるだけ肥料を抜き、細く育てる。確かにその通りで、肥料が効き過ぎている(残留肥料)と花弁が真っすぐ上らない(開花初期に上に向かって上っていく)。しかし、厚物は止め肥の扱いを間違ってはいけない。”止め肥”とは乾燥肥料などの置肥を止める事で、これ以後肥料を与えないのではない。この部分を誤解していると立派な開花は望めない。周りの名人爺さんは実は10月に(実際は9月中旬から)かなりのテクニック使う。又、この部分は教えないので、止め肥の事を誇張する。そして、その通り(専門書など)行うと結果的に違いが出てくる。まず、今月に爺さんは何をしているかこの部分を書こうと思う。肥料の中で窒素成分を少なくする事は重要であるが花を咲かせる以前に、受け葉(花の下の部分)と茎(導管が立派でないと花に養分を送れないし、浸透圧で花弁がしっかり開かない)を立派にしないと話にならない。やはり、この部分を成長させる為には窒素成分は不可欠になる。茎の成長が思わしくない(根張り弱い)と頂点まで栄養が届き難い、特に150cmぐらいに成ると顕著に表れる。ではどうすれば良いか、上端部の栄養不足を補ってやる事が重要である。案外知られていないのが葉面散布である、中間時点から上部にかけて1000倍ぐらいの窒素成分を含む液に発根促進剤を1000倍にしたものをブレンドし10月中旬まで四日置き位に噴霧器で散布する。こうする事で用土には残留窒素が残らないが成長に必要な成分は吸収される。中間点より下の部分は散布しない方が安全である。既に葉は硬くなっているので吸収は期待できないし、葉落としの原因にもなるから注意が必要。次にこの時期の菊は開花の準備の為開花点の細包分裂を繰り返す、これには多量のアミノ酸を必要とする。通常植物は光合成によってでんぷんを作りアミノ酸作成の為の糖分生成する。これを外部的に補う事で成長が著しくなる。あくまでも自然物に頼る必要があるので”黒糖”を使用する。黒糖1kgを1リットルに溶かした物(煮る)を1週間置いて寝かせた物を1000倍に薄め燐酸・カリの肥料(液体肥料)に混ぜる。10月中旬までが勝負どころ。肥料は止めるのではなく液肥は与えなければ最後まで勢いが保てない。あまり神経質になって”残留窒素試薬”などに頼って完全に肥料を抜くと失敗する。人間でも同じでしょ。運動会の走りの前に空腹で走れますか?名人はこんな事をこっそりやっていますよ。私は2年間で同じ品種で実験しましたが明らかに違いが出ます。表紙の大宇宙が結果です。信じる信じないは読者の自由ですが言い伝えではなくデ-タ収集と言い伝え内容の理論的な裏付けが重要だと思います。
2002.10.10
花首を太くするには
10月に入り田舎で栽培している人の大菊は、既に花弁が開き輪台を付ける準備をしているのではないだろうか。9月からの追込みで茎や葉が大きくなり、そのままの状態を維持して花首を立派に太くしたい。誰もが望む事であると思う。花首を立派に育てると、花に勢いがつきほぼ大輪が咲くのが保証されるようである。しかし、これがなかなか上手くいかない。そこで今回は”花首を太くする方法”について書こうと思う。”もう、遅いじゃないか!”と言われるかもしれないが、実際既に遅いので来年のテクニックの参考にしてもらいたい。参考書や一般に言われている事は少し間違っていると思う。確かに蕾の選定の時安全を見越した方法としては良いかもしれないが、菊花展入賞やともかく大輪を咲かせたいと考えるなら、大きな間違いがある。まず、複数の蕾を残す訳は御存知なように芯蕾が駄目な時の予備と肥料を分散させて芯蕾に集中させない為である。参考書には芯蕾から5個分ぐらいの蕾を残して発育を見ながら摘んでいくと書いてある。このようにすると芯蕾の横に副蕾が出来、次の葉の根元に3・4の蕾が出きる。この副蕾以下の物は成長が激しい。結果としてこの部分に全てを取られるので、特に芯蕾の隣の蕾(車蕾の時は周りの蕾)を2mm以上になるまで置いておくと、芯蕾の茎は太くならない。そこで、蕾がついた時摘心をする時に使うような器具(耳掻きぐらいのナイフ加工したもの)で芯蕾を残して、隣の副蕾と二段目・三段目の蕾を落とす。安全のためのスペアとしては5・6・7・8を残す。そして、芯蕾が1cmになり安全を確認して他を落とす。こうする事で、他の蕾を落とす時には芯蕾の花首は下からの茎の太さを維持したまま成長し続ける為、花首は太くなり受け葉が極大になる。花首が伸びるようならビ-ナインを筆につけ調整する。選定時は蕾がかなり小さいので芯蕾を落とさないように注意が必要です。管物はこの方法は使いませんので間違わないように!!
2002年の大菊栽培も無事終わりました。永かったけどあっと言う間の一年でした。今年は例年に無く暑い夏が続き大菊の栽培も駄目と思いましたが、名人は暑さにも対策を施して競技会にはすばらしい作品を出展されていました。暑かったからとか・・・だったから、と言っているのはまだまだ駄目ですね。やはり自分の技量不足なのでしょう。私も今年は3位が精一杯でした。来年こそはと今から準備に取り掛かろうとしています。”2002大菊栽培デ−タ”は今回で終わりですが、来年のためにデ−タは残しておきますので参考にしてください。”2003大菊栽培デ−タ”をアップしましたので、又1年間お付き合いください。有難う御座いました。