大菊栽培デ−タ 2004 HOMEへ
冬至芽の管理
二月も中旬になると”冬至芽”が活発に伸び始める、この時期の管理として殺虫・殺菌消毒がある。
消毒は植物の成長が止まっているので薬害になりにくい。薬剤として”石灰硫黄合剤・マシン油水和液”などが威力を発揮する。注意が必要なのはこの二種は絶対混ぜてはいけない。両方を使うにはまず石灰硫黄合剤を使い、一週間後にマシン油水和液を使う。逆にすると植物の表面に油分が付く為効果が発揮しない。又、石灰硫酸合剤は強アルカリ性なので金属に付いたり(車・ベラダなど)又、皮膚に付かないよう注意が必要。匂いもきつい為住宅街ではご近所に迷惑をかけ無いように注意が必要。
挿し芽
2004年の挿し芽を行った。一夜水を十分含ませた”微粒鹿沼土(硬質)*くんたん”をトレイに入れて深さは3CMとした。詳しい内容は2003年のデ−タを参考にされたらいいと思う。4月25日の早朝から36品種144本の挿し芽を行ったが、気温が低く少し肌寒い。毎年同じ事をしているが、今年は水揚げ時に発根促進用に”ある水溶液”を使ってみた。ナフサクが使用停止農薬に登録されてから、これに変わるものを探していたが実施するのは今回がはじめてである。基本実験は良い結果が出ているので問題ないと思うが3週間後が少し心配。結果が出れば又詳しく報告したいと思います。
ポット上げ完了 5.15
4月25日に挿し芽した苗を二号ポットに上げた。今年は気候の影響か、生育が良い様に思われた。ナフサクに変わる発根剤も結果は上々であり、農薬の規定が変わらない限り数年使えそう。このホ−ムペ−ジ見てられる方はベテランが多いので参考にならないが、初めての方は挿し芽の結果三週間ぐらいで根張りが良いとこの画像ぐらいに成長するので見比べてください。
ポット上げ時使用した培養土
5号鉢上げ
2号ポット上げした苗も二週間で活発に発根する、ポット時期に注意が必要なのはポット自体が黒色(中には赤もあるが)で薄いため、太陽に当たると土との接触面が高温になりせっかく新しく発根した毛根が乾燥する可能性が高い、散水の状態やポットを隣同士くっつけるとか対策が必要である。
5号鉢にアップする見極めは底から白い根が出始めたならちょうど良い時期だと思われる。五号に移し変え周りに二、三箇所乾燥肥料を置きオルトランなどの殺虫薬も軽くまいておく、この作業は十分に根が張っている時の事で、根張りが弱いと肥料に負けてしまうため注意が必要。
摘心
5号鉢に上げる作業の次は”ピンチ”が必要になる(三本仕立ての場合)。結構これが難しい!苗の頂点を取り除いて三方向に新芽を出させるのだが、深く取りすぎても駄目だし浅く取るとツクシの頭の様に伸びてくる(これは取り除けばいい)。又、私の場合は自作道具(金ノコを切って作った物)で行っている、たいした物ではないけど結構便利で上手く出来る。ピンチの時期は参考書などには10cmぐらい伸びたときと書いてあるが、ピンチしても下部の茎も成長する事を計算に入れておかないと、三枝が伸びた頃には茎も伸びて間延びした状態になるので注意が必要。
9号鉢上げ
二週間前に5号鉢に鉢上げした苗を9号鉢に鉢上げした。参考書などより1ヶ月以上早いと思われるかもしれない。私の場合、栽培所が夏季高温に成るので(又.7/11頃胴切りを行うので)、その時に成長が止まってしまう為、その対応策で早植えしている。もっともまだ三枝が伸びきっていないので支柱まで届かないが結果的には同じ事だと思っている。今年は発根促進剤を潅水時に2週間で二度与えた為その対策もあって早植えした。促進剤の結果はご覧の通り、明らかに違っていた。
発根促進剤を与えた苗
発根促進剤を与えなかった苗
9号鉢上げ
増し土のテクニック
6月20日に9号鉢に移植した苗も順調に成長し、7月11日頃には”胴切り”が実行できるようになった。スペ−スを設けて8月上旬に最後の増し土を行うが、それまでに増し土を行う必要がある。私の場合9号植え替え時に鉢の上部まで土は入れず、60%ぐらいの位置で深植えしている。これは鉢全体にしっかり根を張り巡らせるためで、これから8月上旬までで残った鉢の上部に新根を張らす方法をとっている。その方法を今回掲載したいと思う。下の写真をご覧頂ければほぼ判ると思うが、1:茎の表面に歯ブラシで若干傷をつける。これは挿し芽の時に行った事と同じで根が張りやすいようにする為に行う。注意が必要なのはやりすぎると外気温が高いので茎が腐ってします。2:傷をつけた茎の周りを”水苔”でしっかり覆う。3:新しく培養土を入れる前に”クンタン”もしくは”炭”を少し入れ、固形肥料を少し入れる。後は鉢の上部まで土を増し土する。この作業の後、茎の部分を中心に”発根促進剤”を鉢全体にたっぷり与える。特に茎に巻いた水苔には十分促進剤を保水させる。私が今年HPで挿し芽時などに書いている促進剤は粉末の物ではない。茎を傷つけたときに挿し芽と同じように粉末の物を使っても効力は見られない、又、茎が腐る可能性があるので注意が必要。
増し土をする前と実行後の状態
シェ−ド処理
遅咲きの品種は8月20日頃より9月4日位までシェ−ドをする必要がある。この処理をしないと11月5日位に全品種あわせて満開にする事が出来ない。私は三本仕立てでは一鉢ずつ写真のようにシェ-ドしている。又、一本仕立て(切花など)は支柱の頂点に輪台をつけると、黒色のごみ袋を被せる時に芽先を折ったりしないですむ。シェ−ド時間は約13時間ぐらい。私が今年シェ−ドしている品種は”開祖・沖天・光明・暁紅・富水・ひな祭り。
9月5日の状態
まだ残暑はありますが、9月に入って涼しくなり菊も生長が活発になりました。シェ−ドは昨日で終了し”開祖”には各頂点に立派な蕾が付いています。最後の追い込みももう少しで終わり、その後は窒素抜きや開花の準備に追われる毎日です。今年は台風が多いので全国の菊愛好家は神経参ってしまいますね。写真は短幹種の現在の状態です。後ろ置きの品種は135cmになっています。
窒素抜き
8月下旬から行っていた”追い込み”も終わり、鉢中の窒素成分を抜く作業を行った。第一P.Kの750倍ぐらいの溶液をを準備し、漬物樽で”ドブ漬け”をする事で鉢中に多く存在する窒素成分を抜く。潅水をする方法でもいいが、ドブ漬けをする事で鉢中に出来た”水道”を崩し隅々まで効力を発揮する事が出来る。約5分ぐらいずつ漬けるので、全鉢処理するのに約二日かかってしまった。
12鉢花壇の出品も終わり、あとは審査日を待つだけ。週一回のみの調整しか出来ないが、審査前に入れ替え予定。
今年の全ての大会が終了し3大会にに出展しましたが、12鉢花壇のみ上位入賞が出来ました。特に花壇においては品種の選択ミスが残念です。又、肥料調整・肥料抜きが上手くいかず葉が減点対象になったことは来年の課題です。満足できたのは富士の新雪・金山の花が良く咲いてくれた事でしょうか。来年こそは今年のデ−タを元にトップを狙いたいと思います。