パキラとカルーア

 久しぶりに静物を描いた。
 あることに使いたくて何点か静物を組み合わせ、写真に撮った。その中のひとつに、組み合わせが落ち着いているものがあったのでそれを参考に描いてみた。最初は鉛筆だけにしようと思っていたが、色を付けてみたくなった。窓から差す光が鮮やかで、ひとつひとつの静物が輝いていた印象が残っていたからだ。

 パキラは観賞用の植物としてよく売られている。寒い時期に元気をなくしていたが、光のよく差すところに移し、手厚い世話をしたおかげで、一本だけ残った枝に緑の葉がよみがえってきた。

 そういえば、今、最も注目を集めているジャズ・バイオリン奏者の寺井尚子氏のデビューアルバム「シンキング・オブ・ユー」の中に『パキラ』と題する曲が納められている。
 ジャズ・ベース奏者の坂井紅介氏のオリジナルで、「自宅のパキラを見ていたら、窓越しに見える公園の大きな木とパキラが対話をしているみたいだ。たまたまテレビでアマゾンから熱帯樹林がどんどんその姿を消しているというドキュメンタリーが放送されたとき、このメロディーがすぐに浮かんだ。」とアルバムの曲目解説には載せられていた。
 実は寺井氏は1999年1月に、このアルバムのメンバーと豊岡でライブをしている。この曲を聴き終えたときの感動は今でも覚えている。激しく高まっていった演奏、そして曲の最後に登場したベースとヴォイス(寺井氏)のユニゾン。実に感動的な演奏だった。

 カルーアは甘いコーヒーリキュールだ。カクテルをよく知らない自分はちょっとだけなめてそのままにしている。

2001,7,8

追伸
 寺井尚子氏のライヴでは、ドラムは日野元彦氏の予定だったが、体調不良と言うことで急きょ村上寛氏にかわった。その理由は後でわかった。日野元彦氏のご冥福を心より祈っています。


水彩画廊へ