メカに手を染める。

  エンジン脱着マニュアル
 
  メカと本格的に取り組むとすれば、それはエンジン脱着に手を染めるところあたりから始まるとも言える。このGARAGEでは、常誰的な事項や、ショップマニュアルでの重複箇所は、原則として、省いているが、それら、よりもベターな方法が、あればどんどん記してゆきたいと思っている。
  さて、”S”のエンジンは、基本的にトランスミッション付きで降ろすことになる。エンジンを降ろすことは、積み込むことに比べれば、はるかにイージーな作業ではある。
  まずボンネットだが、これは、マニュアル通りにヒンジピンをぬいてはずす。ヒンジとボンネットを固定しているボルトを取り去る方法(案外この方法をよくみかける。)は、前者に比へてはるかに手間のかかる、要領の悪い方法といえる。
  さて、簡単であたりまえの事項は、省いて、EXシステムについてマニュアルどうりにする(通称レンコンガスケットからの分離)では、EXシステムのすべてを取りはずしが要求される。4個のナットを取っただけでは、エンジンは、出ない。わずかだが、スタッドボルトが、引っかかりサイレンサーが持ち上がり無理。さらに4個のナットの内、上側の1個が非常にやりずらい。規定のトルクで締められずガス漏れする場合がある。この場合どうしても、この部分からはずす必要がある時オフセットされてないストレートタイプの12−14メガネレンチをお勧めする。これだと比較的やりやすい。
 

本題に戻すと、この場合ベストな方法として、すべてのEXの取りはずしなしに、直接シリンダーヘットからEXマニフォールトを分難させる。こうすれば一切のEXシステムを取らずにエンジンを降ろすことが可能。これは昔、SFでよくやっていた方法で、実に簡単なやり方といえる。この場合、12専用のユニバーサルレンチがあると非常に便利。

エンジンを降ろすには、もちろんチェ−ンブロックを使用するが、エンジン側にある純正フックは、使わない方がやりやすい。2ポイントのみでの釣り下げは、不安定だけでなく、後述するエンジン・スタンスコントロールがやりずらいことにもよる。この場合、ロープ専門店で作ってくれる両端を輪にした長さの異なるモノを何本か用意し、これを組み合わせてフォトののようにエンジン上でクロスさせて吊り上げる。
  エンジンを降ろす場合、スタンスとして極力、前上かりにもっていく。エンジンとフロントマスクエッジの接触を防ぐためにフロントマスク上に緩衝材等を置いておくほうが安全。
  ”S”からエンジンを降ろす場合の基本的な方法として”S”を固定させる方法と、”S”自体を前後に動かせる、つまりエンジンにとっては、それぞれ逆になるが、どちらにするかは、その条件でセレクトすればいいと思う。ただエンジン側を移動させる場合は、門型の移動ツールが必要。この場合”S”のリアは可能な限り上げているほうが、やりやすい。
  さて今度は、エンジンを積み込む場合だが、降ろす場合とでは、難易度では、かなりの差があり少々困難の時がある。エンジンマウントを交換した時は、要、注意。
  まずポイントとしてあげられるのは、エンジンの吊り方で、簡単に言えばエンジンルームに入れる時は、ミッション側を下げの中に入ればシャシーに対して水平、あるいは、ややエンジン手前側を、下げ気味がベストスタンス。それを、先述のロープを使用してコントロールする。とりあえすエンジンルームヘ入れてしまえば第一段階は、OK。
  次のステップが、プロペラシャフトとのドッキング。もちろん下に着って作業しなければならないが、これは、案外簡単。間題なのは、最後までキチンと挿入できるかどうか、最後の数センチが、どうしても入らない場合がある。これが非常にやっかいで、プロペラシャフトとドリブンギアのセンターが合ってない時になる。ごく微妙な角度の変化で合体でさせる。エンジン・ミッション側をチェーンブロックで半フリーにしておき、プロペラシャフトとの角度を変えながらかなりの力をかけて押し込むとうまく合体するはず。先述のマウントラバー交換時、にやっかいなのは、その徹妙なセンターかずれるためで注意されたし。
 

この作業では、当然人数として多いほうがいいのだが、たった1人でも可能なことをつけ加えておこう。

  サスペンションマニュアル前号でお伝えしたようにサス・セレーション、チェンジのマニュアルにはないオリジナル法について今回は、リポート。
 
  まずその前に卜ーションバーにセレーションで噛み合ったアジャストアームについて。右上のイラストは、アジャストアームの角度について解説したもの。この図は正面から見て左側、つまり右フロントサスのモノだが、このアームの角度が、ポイントになる。これを考えないでサスメンテナスをすると大変な疲れが待っていることになる。やっと終わったとばかりにジャッキダウンさせればなんと信じられない車高になった経験をお持ちの方も多数おられるはず。
  問題は、その角度で図のように下側、つまり下反角の場合がノーマルポジションであり、上反角の時がレーシングポジションということになる。水平がノーマルのセレーション1歯落ちとなる。このことから基本的レーシングポジションは、ノーマルの2歯落ちと言うことが言える。ただし卜ーションパー後ろ側の6角、シャシー側の支持点を変えるとセレーション側も変わってくるので要注意。言い換えれば37歯のセレーションと6角のリアエンドでアジャストアームの角度を変えることも可能だと言える。この方法だと正確なマーキングなしににすれば、泥沼に陥るおそれがありお薦めできない。さらには、ある程度の調整を信じ難い時間をかけてやれたとしても、とても微調整までは無理。だからこそ、あのオリジナル無段階ハイトアジャスターを製作することになったことがこ理解頂けるはず。また今までの話は、バラシ中のことなのだが組み上がった、つまり走行可能な状態のチェックとしては、”S”をジャッキアブしてアジャストアームが遊んでいれば、それは、レーシンクポジションといえる。
  さて本題のオリジナル・セレーションチェンジなのだが前記の苦労も半分以上楽になるはず。マニュアルどうりにやるとなるとロワーアームを取りはずすことになるが、これをやってしまうことは、フロントサス全バラシに近い。ダンバーはもちろんのことロワーアームポールジョイントもプラーを使用しての作業となる。さらにロワーアームについているラジアスロッド、加えてスタビライザーが非常に難関。それらの分離は、簡単なのだが、組み立てはやっかい至極。
  その方法は、別の機会に譲るが、とにかくサスなるものパーツが関連を持っているために1つはずすとまた1つと芋ずる式に泥沼に陥ることになる。そこで考え出されたのが以下のやり方。これは、無精すれば各サスブッシュを緩めるだけでタンパーはおろかホイールすら取らずに可能となる。
  まず、そのポイントは、アジャストアームのぬく方向にある。マニュアルによればロワーアームをはずしそれからアジャストアームを卜ーションバー・セレーションから抜くのだが、この方法ではアジャストアームを手前ではなく後方、つまりトーションバー軸方向ヘスライドさせセレーションのポジションをかえて再びドッキングさせる。こうすればロワーアームを卜一ションバー先端から取りはずすことなくセレーションチェンジが可能になる。

まず、やり方としてロワーアームのアジャポルトを取り、シャシーに8Mボルト3本で固定されているアンダーアームシャフトをその3本の8Mボルトをとり、シャシーから分離。シャシーとロワーアームになるぺく大きいタイアレバー等を差し込みシャシーとトーションバーの隙間をあける。ラバーブーツを可能な限り後方へ押しやり、アジャストアーム・ストッパーボルトを抜き、上記の様にセレーションの入れ替えを実行。ただしこのやり方では、7角のアジャストボルトを持つ機種(主に39年式)は不可。7角についているツパがじゃまをしてロワーアームをナックルにつけたままでは、取りはずし不可のため。この機種では残念ながらロワーアームを取ってやりましょう。またMタイプが中でも1番簡単。その細いトーションバーが、幸いしてゴムダストブフーツを後方へ押しやるのが楽なため。

 

セレーションのはめ変えが終わるとアジャストボルトのセットなのだか、無殺階ハイトアジャスターなら何の問題もないのだが、ノーマルアジャストボルトなら車高を低くセットする場合、問題はないが、高くする場合少々やっかいで、車高を高くするためにアジャストアームは先述のように下反角になるようにトーションバーセレーションにセットされているためにアジャストボルトのセットが困難。

  無段階ハイトアジャスターの場合は、最初から低いポジションでセット、このままボルトのねじ込みだけでノーマル車高までフォローするために低いポジションでOK。で、その方法は、左下の図をご覧になれば、だいたいのところは、こ理解いただけると思う。要するに下反角のついたアジャストアームを押しあげてアジャストボルトを入れる作業の1案で、パンククラフジャッキとソケットレンチ・エクステンションバーに特大のソケットを使った方法をご紹介。このやり方は、1・2mmの引っかけを利用したきわどいモノで注意が必要だが慎重にやれば可能。ただしジャッキは、上げすぎないように、すへてギリギリでやることが条件である。持ち上がったアームにアジャストボルトの面が1mmでもかみ込めば、後は、ハンマーでたたさ込めばいい。車高を上げるためには、このように苦労は必要だが、車高を下げることや、無段階アジャスターを入れることに関しては、このような作業は、まったく必要ない。
 
  ”S”のフロントサスについて少しだけ気になることを。”S”以外のクルマでもそうなのだが、特に”S”の場合、ロワーアームにあるブッシュが変(これに関して、別の機会に)で役たたずの状態で使ってるためにアッバーアームブッシュの重要性は、かなりのものなのだが、”S”のサス話の中では、ダンバーやトーションパーの太さがとうのこうの、というほど登場しない。かなりないがしろにされてはいるが、実にキーポイントとなるサスパーツである。
  ここまで”S”の車高調整について話を進めてさて、ラストがこのパーツになる。また車高だけでなく、固さにも多大な影響を及ぽすパーツでもある。”S”のフロントサスは基本的にブッシュラパーのねじれだけしかストロ−クしないことを肝に銘じておくべき。したがってブッシュのへたり具合やブッシュをとの位置でロックさせるかで、固さもストロークも車高も変わってくるということ。つまり古いブッシュでは、やらかく、ストロークも多くなりスプリングヘの負担も増えていくことになる。さらには、ブッシュを締める位置のミス、多いのは、ジャッキアップの状態でのロック。正解は、車重をかけた状態でのロック。
 

基本的には、タンバーのストロークにアジャストアームによるロワーアームのストロークをアッバーアームブッシュをミックスさせた立体的セッティンクが、それぞれのストロークがうまくラップさせてこそ、そのすぱらしいサスポテンシャルを引き出すことが可能となる。

左のフォトは、前号でお知らせさせて頂いたサス実験マシーンS600R。ご覧のようにほぼ基本的にでき上がっている。−応ヒストリックレースにも参加しサーキットランも無事こなしている。今後ともパワーフルに実験予定、ご期待の程を。

(1991/10)

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