そばの文化          <  サイトへ移動

「そば口上」の文化         
                                      04年11月 記
 全麺協の素人そば打ち段位(三段)認定大会が栃木県・今市市であった。
全国大会だから各地から来た強豪もいて、その中に混じってそば打ち実技の審査を受けるので久しぶりに新鮮な緊張を味わってきた。
 2004 杉並木まつり&そばフェスタ「第3回今市そば祭り」の一環として催されたので、会場には各地の有名そば処のコーナーやそば打ちグループが出店していて、そばを食べ歩いたり、そばの打ち方に違いを見つけて刺激を受けたりしながら楽しむことも出来た。
そのなかでも特に、蕎麦の地域性の魅力に惹きつけられたのは、特設ステージで行われたそば打ち段位認定大会・結果発表前のイベントで披露された福島県会津地方の「そば口上」である。
 「そば口上」のことは知識としては知っていたが、このように間近で聞くことがでたのはもちろん初めてである。

「そば口上」の文化
 福島県・会津磐梯山の麓はそばの歴史は古く、この地域には全国でもめずらしい「そば口上」が伝わっている。
「婚礼の祝い口上」は、迎える側が「そば口上」を述べながら客人達に蕎麦を振る舞う。「祝言そば」とも言われ、昔から山鳥とゴボウでとっただしで食べる蕎麦が振る舞われるそうだ。
宴席の時も「そばのほめ口上」にのせて蕎麦を振る舞って座を盛り上げる。時には羽織袴であったり、豆絞りの手ぬぐいを鉢巻きにして登場し、一人がお椀に蕎麦を盛りそれに葱を立ててお盆にのせそれを持って口上を述べ、もう一人が客人の蕎麦を持ってそれにつくのだそうだ。
蕎麦に立てているネギは薬味でもあり箸の代わりにして食べる「ネギ箸そば」から来ていると聞いたがいまでも機会に恵まれると見る(聴く)ことができる風習である。
会津万歳の流れを汲むという口上をこの土地の方言で語られるのを聴いていると、その素朴な魅力についつい引き込まれていくとともに、ここでは蕎麦(切り)がいかに生活と密着してきたかがよくわかる。
 普段の生活(ケの生活)ではそば掻きやそば団子などであっても、「祝い」や「祭り」のハレの日にはそばを打って御馳走として振る舞い、「そば口上」とともにそばが食膳を飾ってきたのであって、一種のハレの食文化であろう。
 






        
   ネギ箸そば
                    
   栃木・今市市で行われた2004年杉並木まつり&そばフェスタ
   「第3回今市そばまつり」素人そば打ち段位認定大会のイベント
   で そば口上を披露された福島県耶麻郡磐梯町の磐梯そば・
   長谷川吉勝氏   (04年11月2日撮影)

 【そば口上】は土地によっても人によっても異なるそうだが、だいたいは「東西東西(とざいとざい)」のかけ声で始まり、「・・鳴物を止めおきまして、そそうな奴がまかり出で、ほめるようこそ知らねどもおそばでさっとほめましょう。さして目出度い祝いのそば、そばほどめでたいものはない・・・    中(夏)の土用に種を蒔き二日三日で芽を出して十日二十日で花が咲き・・・  」などとだんだん佳境に入っていく。

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