そば用語辞典  < Mobile 辞典へ  < PC 辞典へ

産物帳     享保元文諸国産物帳
 
享保20年(1735)から、江戸幕府,は各藩(大小名領・寺社領)に指示して産物の編集作業が始まり、幕府に報告された産物調査の控えを網羅したもの。  各藩は統一された調査と報告の仕方で報告書を二通作り、一通を幕府に、一通を国許の控えとした。  そして幕府のものは消失し、各藩国許分が残っていて、これが享保・元文の産物調べである。
享保元文諸国産物帳から「蕎麦」をみると各藩の品種の多さと多様性がわかる。北は蝦夷(北海道)松前藩から南の大隅国・日向国・薩摩国の産物帳に至るまでほとんどすべての藩に数品種以上のソバが産出している記載がある。それによると、早や蒔き(早生)、遅蒔き(おくて・晩生)、秋そばなど蒔き時(収穫時)はもちろんだが、来歴らしき名前では、しなの(信濃)・熊野・いせ(伊勢)・郡内・さつま(薩摩)・きそ(木曽)・ヤマト(大和)・朝鮮など、また、ソバの実の特徴から大そば・小そば・鬼そば・米そば・餅そば・鼻高・・・などまだまだたくさんある。
「だいこん」も品種は多いが、「からみ大こん」または「鼠大根(祢つミ大こん)」を品種として報告しているのはごく一部の藩だけで、この時代「辛い大根の総称」としての辛味大根はなかったことがわかる。
 
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