|
大坂の砂場そば 摂津名所図会 |
大坂の砂場についての記述はいくつもあるが、特筆すべきは寛政10年(1799)刊行された「摂津名所図会」の新町傾城郭の項にある「砂場いづみや」の図である。暖簾には「す奈場」と染め抜かれ、たいそう繁盛している往来の様子と立派な店構えが描かれている。二枚目には店内の様子も描かれていて、蕎麦を食べる客をはじめ蕎麦を打ち・茹で・盛り・運ぶなどの百名をはるかに超える人々と、店の切り盛りの様子が克明に描写され、臼部屋の石臼の数などからとてつもない規模であったことが窺える。まさしく往時の名物蕎麦屋といったところだ。浪速の新町で江戸期を通じて繁盛した名店であったが、残念ながら明治に入って十年ほどの後に姿を消した。 |
[PC掲載ページ] 1-1 oy-3 [Mobileのページ] 1-1 |