技術の発達が酪農家に与えた影響
 この図は、国内の乳用牛の飼養戸数、飼養頭数及び1戸当たりの飼養頭数の変化を、ここ3,40年(昭和40年〜平成

12年)の調査結果を基にグラフ化したものです。


 1戸当たりの飼養頭数が増えているのは、技術の発達により効率的な牛の繁殖が可能になったことが1番の要因として挙げ

れます。その反面、技術レベルが上がっていくにつれて飼養戸数が減ってきていることも問題としてあります。例えば一般的な

受精卵移植技術は「採卵、凍結、解凍、移植」の各技術体系から成り立っています。収益率を上げるような受精卵移植を

行なうには、その全ての過程で高度な技術の知識が要求され、かつ効率的な利用法で行なう必要があるからである。もし、

どこか一カ所にでも技術水準に満たない箇所が存在すれば、結果は全てその低い技術水準に統一されることになるからです。

(例えば、受精卵の受胎する位置が少しずれる→出産の時、難産で子牛が死んでしまうなど)


 技術レベルの問題は、技術の利用の面では獣医師の仲介で解消されるのですが、問題なのは利用前後での話で、このこと

は獣医師の仲介にも限界があり、毎日牛の健康管理をしている酪農家本人によってでしか解消されません。酪農家は技術

レベルに見合った作業を求められることになり、結局は高度な知識を必要とされるわけです。

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