ゆきうさぎ
LiLiM
’01/06/15 発売
抱腹絶倒のナンセンスギャグの嵐!
恐らく私が全編を通して一番笑った作品でしょう。(笑
不条理ギャグ、ナンセンスギャグの固まりです。
「それは舞い散る桜のように」が会話による笑い”漫才”だとするならば、
この作品はドリフターズの様な、いわゆる”コント”の笑いです。
シチュエーションを生かしたもの、CGと連動させて笑わせるもの。
どれをとっても往年のドリフを彷彿とさせてくれます。

そんなこの作品はオーソドックスな移動先選択ゲームなのですが、
その事に気付くまでに、なが〜〜〜いOPを見なければなりません。(笑
(素で読んでると、軽く3時間はかかります(^^;)
とは言え、内容の面白さに引き込まれて決して退屈はしませんが・・・。

そして、何本かのレビューを通じて私のお気に入りになる作品の
共通点が見えてきましたが、この作品も例外ではありません。
それは「キャラが立っている事」
私は初期設定を重要視していますが、それは
「確かな世界観の構築」と言うある意味
唯一シナリオライターが自由を許された部分にこそ全てがあると思っているからです。
一度ゲームが始まってしまっては、ストーリーは一人歩きを(それぞれのプレーヤーの中で)始めます。
そうなってからでは、いかに作者と言えどもそこから逸脱する事は出来ません。
つまり作品の完成度のほとんどは「ストーリーが動き出す前」の
初期設定で決まっていると思っています。
後は表現方法などの些細な部分だけですネ。

当然その初期設定の中には「キャラ設定」も含まれている訳で、
特に実際にストーリーを動かしてゆくキャラクターはとても重要です。
それはシリアスドラマであっても、コメディであっても同じです。
特にコメディは理屈が通用しない分だけ余計に重要度が増します。
私は無意識にそこに反応していた訳です。



さて、この作品のポイントは先に書いた通りキャラ設定にあります。
主人公は何と世界一のお金持ち。
真田コンツェルンの1人息子、「真田 隼人」
別名「世界最強のお坊ちゃま」(^^;
こやつが良い味を出していて、作品の雰囲気を決定付けています。
何せ自分で「世界の真田隼人」(予定)と豪語しているだけあって、
言動全てが「オレ中」(オレを中心に世界は回っているんダ〜!)でして
その徹底振りが素晴らしいんです。

そして、のっけから更に味を出しているのが主人公の執事
「グレイ・フォン・マグナム」(通称:じぃ)です。
この作品の笑い所の1つは彼の不遇な立場です。
一言で言いましょう。「いじられキャラ」です。(笑
ちなみに名前の「フォン」は貴族称号ですが、彼もそうなんでしょうか?(爆

そんな彼らが北海道チャルキキ村の別荘「北国No、15」に来た所から
物語はスタートします。
「いつでも常夏気分!ドーム状ハワイアンクラッシャーくん2号」(時価30億円)で
スキー場にて常夏を満喫していた所に山頂から
大きな雪玉がドンブラコ・・・もとい、ゴロゴロと転がってきた挙句に、
「ハワイアン」を木っ端微塵にしてしまった訳だこれが!
主人公は「常夏満喫中」だったので現在雪山で海パン一丁・・・。
寒いよネ〜?そら寒いわ・・・。
そこで、その元凶になった雪玉の主(?)「ゆーな」に詰め寄る!
「おい!帰らせろ!」(ごすっ!)(←殴った音
「ふぎゅ!痛いヨ〜!」
「おまえのせいだろ!何とかしろ!」
「う〜ん・・・ゆーな、ココがどこだか分かんない」
「・・・・・・・・・。」
と言う事で、この山に伝わる伝説の珍獣「まるる」に助けを求める事に・・・。
まるるは「きゅぴ〜!」の一言で主人公を別荘までワープさせる!
そこで待っていたのは「鈴木ミルフィー」と名乗る天使だった・・・。

・・・出だしから、暴走全開のストーリーですネ(^^;
そんな主人公が地元の高校に編入して物語は進行していきます。
そこは「日本一の箱入りお嬢様」や「スケベ撲滅剣道娘」
「時代劇かぶれの忍者娘」や「正体不明の超能力お天気娘」
果ては「平和主義者のスパイロボット」までが群雄割拠状態であった・・・。

・・・他にもへんちくりんな登場人物がいっぱい出ますが、
疲れたんでこの辺でいいですか?(笑
ヒロインとなるのは全部で13人と大所帯。
それぞれにEDが用意されているので、ドタバタ度も尋常じゃないです。(^^;
全くなんちゅう〜ストーリーを作るやら・・・。
と言う所も含めての正に「コメディ作品」なのです。
・・・・・
・・・

この作品は他にも良い所がいっぱいあって、
特に際立っているのが声優の方の熱演です。
どのキャラでもイメージにぴったりの実力派声優の方が見事な仕事を見せています。
担当は「ロックンバナナ」のお馴染みの皆様。
全画面ノベルの形式を取ってテキストが展開していますが、
それが苦手な人でも気にならない程の演技には脱帽です。
それと忘れてはならないのは「イベントCG」の豊富さですネ。
ほぼ全てのシーンに何らかのCGが用意されていて、またそれが無い場合でも
イベント絵と変わりないレベルの立ち絵がある為に、
違和感なくゲームを進める事が出来ます。

ココまで褒めておいてなんですが、
最後に悪い点も書いておきます。
まず「Hシーンのアニメがひどい」事。
はっきり言って無い方が良い程の出来栄えです。
折角のイベントCGが台無しです。

次に「ルートによって主人公が別人になる」事。
ある時は「ヒロインの尻にしかれるお坊ちゃま」
またある時は「天下無敵の武道の達人」
果ては「純情な悲劇の主人公」
ルートによっては、あまりに初期設定からかけ離れた人物になるので
ど〜も違和感が拭えません。

そして「気を持たせて結局ストーリーに関係ないキャラがいる」事。
はっきり言うと「仙道 恋」と言うキャラです。
いかにもヒロインかと思わせる存在感でゲーム全編に登場するのに、
結局どのシナリオにも影響を及ぼさないままで終わります。
(正確に言うと1ルートのチョイキャラの扱いです)
あなた、何の為に出てきたの?(^^;

最後に「主題歌」です。
曲の内容は・・・まぁイイです・・・。
ひどいのがVo担当の「井上ケイ」さんです。
・・・これは演出上ワザとやってるんですよネ?
あの〜、だとしても二度と聞きたくない程音がハズレてるんですけど(^^;
ちょっと勘弁して下さい。(笑

と、悪い所もありますが掛け値なしに笑える作品ですので、
機会があれば体験してみて下さい。