それは舞い散る桜のように

BasiL

’02/06/28 発売

学生特有の「他愛ないやり取り」が光る佳作

最初に言っておかねばならない事があります。
(おっ、深刻そうな出だしダ!)
私は「関西人」です。
(なんじゃそら!)
他ではどうか知りませんが、関西の学生同士の会話は
ほとんど「掛け合い漫才」です。(笑
(おまえと一緒にするな!)
その為、この「ほとんど全編掛け合い漫才」の作品は
そのまま私の学生時代の会話です。(^^;
(あ〜そ〜でっか〜)
そんなこの作品に親近感がわかない筈がありません。
(だから、おまえだけだって・・・)
「ボケとツッコミ」での会話の成立に情熱を燃やすなんて、
いかにも「関西人」らしくて良いじゃないですか!
(もっと違う所にエネルギー使え!)
したがってこの作品の舞台は「関西」でしかありえない!
「関西弁」は出て来ませんが・・・。
(桜坂=大阪って説もあるもんな〜)

え〜い!さっきからゴチャゴチャうるさい!
いちいち突っ込みいらんから黙ってろ!
(は〜い)



・・・と言う事で、この作品は私が1作目の「BLESS」以来
デフォ買いブランドだった「BasiL」の最終になった作品です。
発売された作品はどれもそこそこ話題になり、
特に2作目の「21」などはプレミアがつく程でしたが、
まさかたったの3本で解散になるとは思ってもみませんでした・・・。
この「それ散る」の続編の話は一体どうなってしまうのか!
(立ち消えに決まってんだろっ!)
とうとう「ボイス」も入って「さぁこれからだ!」と思ってたのに(泣

この作品は流行にうまく乗り、「萌えゲー」としてブレイクしました。
「萌え」だけなら私の食指は動きませんが、
この作品は「笑い」と共にシナリオも秀逸なので、
私もわざわざこの作品の為に「笑わせろ!」の項目を作りました。
シナリオの「王雀孫」様の軽快なシナリオは、
プレイヤーをゲームの世界に引き込んでくれて
とても楽しい気分にさせてくれます。
只、ストーリー展開には重大な問題点があって、
どうも主人公には「重大な秘密」が隠されている様で
その事がストーリー展開の軸になっているのにも関わらず、
何処にもその肝心の「秘密」が書かれていない為に
最後のED前辺りでシナリオが破綻してしまいます。

これは私の勝手な憶測ですが、
恐らく開発当初のシナリオでは、後半がその秘密の正体と
その運命に抗う主人公の葛藤を描く内容になっていたのに、
「大人の事情」により開発半ばの状態で発売せざるを得なくなったと思われます。
その証拠に1年間のシナリオの内「春」「夏」はちゃんと描かれているのに、
「秋」のシナリオからいかにも「割愛しました」と言わんばかりの
「虫食い状態」に陥ってゆき、挙句の果てが
「冬」のシナリオはほとんどバッサリ抜け落ちた内容になっています。
シナリオの整合性から考えても、こんな事はありえないので
今にして思えばスタッフの皆様は当時から「苦しい状態」の中で
製作されていたのかな?と思います。
「物を作るには、金がかかる」
当たり前の事ではありますが、その為に「恐らく名作になったであろう作品」が
「未完の大器」のままで終わってしまった事は甚だ遺憾です。

それ程にこの作品は「魅力的なキャラ」と「丁寧なCG」を
「軽快なシナリオ」が引き立たせている理想的な作品でしたから・・・。
「割愛」された部分を軸にした続編を「新ブランド」で
製作されるのを、心からお待ちしております。