府民の森ひよしの色々な事(アンダーラインのある文字をクリックすると,リンク先に飛びます)
竹村健一
私は平成17年から、府民の森ひよし森林倶楽部のボランティア活動で自然とふれ合い、楽しく汗を流していま
す。電気とガスの便利な生活で育った私には、炭はパーベキューでおいしく焼くための燃料でしかなく、炭とは
何かさえ考えたこともありませんでした。今回、炭焼き体験に関わることが炭の見方を変える良いきっかけにな
りました。
炭焼きは手間と労力が驚くほどかかります。まず炭窯は、山の土を掘って、ひたすら叩き練り固めただけの造
りです。この中に1本1mもの長さの重い木を、立てた状態で隙間のないよう詰めていきます。窯内は暗く狭い上
に熱がこもるので、倒れてきそうな木を片手で押さえつつ、夏は大汗をかきながらの作業です。その後、焚口を
こしらえ火をつけ、翌日に窯の焚口を徐々にふさいでいきます。温度計もありますが、職人さんが煙の色と流れ
を見て、風の変化も考えながらの慎重な作業です。焚ロに手を入れてレンガや石を貼りつけてふさぐ際は、ゴム
手袋が焼けそうなほどの熱さです。火を人れてから三日後の窯を閉める前は、ドームが高温で膨らみ、ひびが広
がり燻がもれ始めます。怒り爆発しそうな雰囲気ですが、反対に、のぞき穴から見る窯内の炭は真っ赤に輝いて
表現できない美しさです。
炭焼きは大変ですが、それ以上にその魅力に引き込まれています。地元職人さんとのふれあいで、私が生まれ
る前の暮らしや歴史、ガスが普及しはじめた時の心境などを知ることができました。また、炭やそれ以外の、手
作りの知恵や大切さを肌で体験できることが勉強になりました。伝統的な技法をそのまま受け継ぎ、職人さんの
手を借りずに炭焼きができることがこれからの目標です。
(たけむら・けんいち/府民の森ひよし森林倶楽部会員、ひよし窯クラブ会員)
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