府民の森ひよしの色々な事(アンダーラインのある文字をクリックすると,リンク先に飛びます)
伊山勇雄
原油高により、ガソリンが高騰し、リッター当たり155円(平成20年1月)を超える時代になっています。偶然こ
んな時代の平成18年11月に京都府の掲げる、南丹森のエコミュージアム構想で、その専門協議会に加わることと
なり、一環として平成19年2月に「府民の森ひよし」において、かつてこの地、南丹市日吉町付近で昭和30年代
まで営まれた黒炭を作ろうと、当時を再現する本格的炭窯造りを提案し、日吉町四ツ谷在住の上原慶太郎・磯部
茂・福島隆治の各氏のご協力を頂き、当時を思い出しながら、見事にひよし窯を作り上げました。三氏には心よ
り感謝!!
平成19年中に、7回の炭を焼き、温度管理・メンテナンス・炭材管理・精錬等によって毎回出来が違い、奥の深
さを知りました。このひよし窯を発展させ次には、白炭窯造りに挑戦したいと思っています。
炭の歴史は、石器時代前期頃に人間が最初の火を発見し、およそ30万年前の遣跡から、日本と中国で最古の炭
が発見されたそうです。弥生時代には金属加工用に炭が使われ、この時期は地面に置いて焼く「伏せ焼き法」と
いう単純な製炭で作られていました。さらに奈良時代には、暖房用にも炭が使われるようになり、良質の炭が求め
られ、窯で焼いた白炭が普及しはじめ、その後鎌倉時・室町時代に隆盛したとされています。
しかし昭和30年代にガス・石油・電気が普及したことにより衰退しました。
木材は、繊維質と無機質から出来ており多量の水分を含んでいます。炭を作るには、木材を蒸し焼きにして水分
を浸み出したり、水蒸気として出して行きます。また熱で分解しやすい成分がガスと炭素に分解され最終的にガス
が抜け、炭素及び無機質(カルシウム・マグネシウム・カリウム・ナトリウム・鉄等)と若干の水分が残ります。
炭は、このように炭素成分が高く(90%前後)燃料として適しています。また無機質(ミネラル)を多く含んでいるの
で多方面への利用価値があります。炭は物理的に、多孔性・研磨性・吸光性・電気特性を持ち、化学的に反応性・
エネルギー性を持っています。一例では、汚水の浄化や脱水はこの多孔性を利用したものです。
これらの歴史や文化や用途を後世に残し、また伝統的炭窯における製炭活動を通じ、より多くの体験参加を期
待し、ご理解を得、広く地域住民に対し森林資源の活用と整備の大切さを伝えるために、本報告書を作ることと
なりました。
発刊に当たり、京都府南丹広域振興局の佐藤廣厚氏、府民の森ひよしの片山博憲氏、南丹市日吉町郷土資料館
の向田明弘氏のご協力に対し、厚く御礼申し上げます。
(いやま・いさお/府民の森ひよし森林倶楽部会長、ひよし窯クラブ代表)
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