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7.(3) 2.  京都モデルフォレスト運動と南丹エリアの取り組み
         ~南丹森のエコミュージアム専門協議会活動~
更新日時:
2024.08.16 Feb.
佐藤廣厚
1 京都におけるモデルフォレスト運動の展開
 「モデルフォレスト運動」というのは、1992年開催された世界地球サミットでカナダが提唱した、持続可能な地
域づくりの実践活動のことです。カナダでは森林整備をはじめとして、木材の活用、森林生態系調査、野生獣の行 
動調査、渓流の水量や水質の調査、生息魚類の調査など幅広い取り組みが、モデルフォレストの活動の一環として、
住民、ボランティア、NPO、NGO、企業、行政の協働で実施されています。こういったモデルフォレストの運動は、
現在、世界18カ国39地区にまで広がっています。
私たちの住む京都府には、府域のおよそ75バーセントを占める森林が広かっています。
この森林は、二酸化炭素の吸収を通じた地球温暖化の防止や災害の防止、景観の保全など様々な役割を担っている 
府民共有の貴重な財産であると言えます。
 しかし、社会経済の変化の中で、適切な手入れが遅れたり、あるいは木材をはじめとした林産物の利用がされな 
くなって機能の低下した森林が次第に増えており、森林の所有者や林業関係者たけては森林を守りきれなくなって 
います。
 そこで、京都府では、森からいろいろな恵みを受けている府民皆さんのカで京都の森林を守り育てていただこう
と、京都モデルフォレスト運動を進めています。平成17年には「豊かな緑を守る条例」を制定し、モデルフォレス 
トの理念に基つき、府内各地で動き始めた活動を応援しています。
 また、いろいろな分野を代表される方々がこのモデルフォレスト運動に共鳴され、平成18年11月に、運動の推進 
主体となる「社団法人京都モデルフォレスト協会」が設立されました。協会では、森づくりに取り組むボランティ 
ア団体などへの支援や、企業なとからの資金援助の受け皿となったり、こういった活動をめざす人々と地元との橋 
渡し役となるなど、一人でも多くの方がこの運動に参加いただきたいとの思いで活動を進めています。

2 南丹森のネットワークづくりとエコミューシアム専門協議会活動
 南丹地域の振興に取り組む京都府南丹広域振興局では、地域振興計画を策定し、実践プランに基づき様々な地域
の課題の解決に取り組んでいます。
 実践プランのひとつ「耕せ!農の力、育め!森の元気」プランでは、豊かな森林・環境を未来に引き継ぐ地域経
営を目標に定めています。
 豊かな森林資源に恵まれた南丹地域ではありますが、ここでも近年手入れか行き届かず、また、利用されなくな
ったために荒れた森林が目立ってきました。
 また、かつては地域の人々の生活に密接につながっていた里山も、そのつながりが切れてしまい、森林としての
活力が低下し、ナラ枯れのような被害も広がりつつあるなど、不健全な状況を呈しています。
 南丹地域でも、これらの森林を府民協働で守り育て利用するモデルフォレスト運動の推進が必要となっています。
 幸い、地域の人々による森林ホランティア活動も始まりつつあり、また、多くの企業も社会貢献活動の一環とし
て、森林整備に取り組み始めています。
 そのような中、南丹地域のモデルフォレストを推進するための具体的な取り組みとして、地域の生活そのものが
暮らしの知恵の博物館であるという「エコミュージアム」づくりを通じて森林と地域の人々のつながりを考えるこ
とをめざす、「南丹森のエコミュージアム専門協議会」がボランティア団体の代表、大学の先生、林業家、森林組
合、行政機関など関係の人々の参画を得て活動を始めました。
 平成18年度には第1回の会議がもたれ、基本方針の策定やこれからの活動の展開につながる拠点活動の候補地な
どの話し合いがされました。
 続いて、先導的な拠点活動として、かつて京の都の人々の生活に欠かせなかった炭や薪などを供給していた南丹
市日吉町で、元炭焼き職人をはじめたくさんの方々が参加して、伝統的な炭窯が復活しました。この炭窯つくりを
きっかけに、体験をしたい人や、炭焼きの技術を学びたい人などが集まり、盛んに炭焼きの煙が上るようになりま
した。
 昔と違って生活燃料としての役割の少ない炭ですが、それ以外にもいろいろな使い方が工夫され、地域の資源と
私たちの暮らしを見つめるきっかけになればと期待されます。
 南丹森のエコミュージアム専門協議会では、日吉で取り組まれたこのような拠点活動を、さらにたくさんの地域
で取り組んでもらいたいと、テーマを探りながら協議会活動を進めています。
(さとう・ひろあっ/京都府南丹広域振興局農林商工部 農林整備室副室長)


 南丹森のエコュージアム専門協議会は、南丹広域振興局が進める南丹森のネットワークづくりの一環として活動
しており、平成18年度は、南丹地域での取り組み方向を示す基本方針を策定、19年度は炭窯づくりの拠点活動の推
進やマッタケ山つくりの現地検討に取り組みました。
平成19年度の議会委員は次の方々です。
伊山勇雄(府民の森森林倶楽部会長)、大西信弘(京都学園大学准教授)、片山博憲(日吉ふるさと株式会社府民の森管
理課長)、禺川孝宏(亀岡市文化資料館館長)、谷口重晴(京都府林業士会指導林家)、向田明弘(南丹市日吉町郷土資料
館学芸員)、今西好文(里山整備活動家)、樋口義昭(京丹波森林組合森林整備課長)、久保理恵(日吉町森林組合森林技
術担当)、近澤康司(美山町森林組合参事)、加藤邦廣(亀岡市農林整備課長)、八木正司南丹市農林整備課長)、山田進
(京丹波町産業振興課長)、島越一朗(京都府林務課主幹)、佐藤廣厚(南丹広域振興局農林商工部副室長)、志方隆司 
(同担当係長)、近藤聡(同専門員)
※所属及び役職は、協議会開催時

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